2012.05.20

姥湯温泉旅行記の入口を作る

釜の越桜 ここは姥湯温泉旅行記への入口である。
 以下の日程の日付部分をクリックすると、その日の旅行記に飛べるようになっている。

 1日目 2012年5月4日(金曜日)

 2日目その1 2012年5月5日(土曜日)

 2日目その2 2012年5月5日(土曜日)


 持ち物リスト(姥湯温泉編)

 この1泊2日の旅行にかかった費用は、一人分約45000円だった。ここには、交通費、宿泊費、食事代、おやつ代、立ち寄り湯代が含まれているが、お土産代は含まれていない。

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姥湯温泉旅行記2日目その2

 2012年5月5日(土曜日)

兎の耳? お土産を買い込んだ後は、桜巡りの後半戦である。
 まず最初に向かったのは十二の桜である。
 「十二の桜」の「十二」は「十二薬師堂」の意味の地名だそうだ。桜が十二本ある訳ではない。それでも何本かの桜が植えられ、中に樹齢400年ほどのエドヒガンの老木の古株が含まれている。現在、一番の大木になっている桜はその3代目だそうだ。
 大きな枝が2本、上に向かって伸びている様子がちょうど兎の耳のようにも見えて、ここが白兎の桜かと思ったのだけれど、違っていた。そもそも「白兎」は地名である。

十二の桜と水仙花びらの絨毯 十二の桜は、田園風景のど真ん中にある。
 そして、その畑の際には水仙がたくさん植えられ、桜の周りにも植えられ、ピンクと黄色の組み合わせがきれいだ。
 何とかそのピンクと黄色の組み合わせのきれいな写真を撮ろうと奮闘する。
 桜の木のすぐ近くに電線があって、順光で撮ろうとするとその電線が写真に入ってしまうし、妙な姿勢でがんばっていたらお二方に笑われてしまった。
 そういえば、ここの十二の桜だけは、桜の根本にまで近づいて見上げることができた。他は木道がめぐらしてあったり、ロープがあったりで、近寄ることはできなかったと思う

 今回めぐった置賜さくら回廊の一本桜には、ほぼ必ず売店とお手洗いが併設されていた。
 ここでは、「夜中のかいもち」というのぼりが出ていた。「かいもち」は、蕎麦がきのことらしい。「どうして夜中なんですか?」と尋ねたところ、山形県内からこの観光バスに乗ったという方が「昼間は農作業で忙しく、かいもちを作るのは夜中にしかできなかったからだそうですよ。」と教えてくださった。
 もうちょっとお腹が空いていたら食べてみたかったなぁと思う。
 食べるといえば、バスガイドさんが、山形県内では最近、水仙の葉っぱをニラと間違えて食べて食中毒になる人が出ていると言っていて驚いた。

薬師の桜 薬師の桜は、エドヒガンザクラで、推定樹齢が1200年だという。といっても、いわゆる大木ではない(という印象だ)し、樹もだいぶお疲れの様子だけれど、「老いたりといえど」という感じで花を咲かせている。
 この桜は、満開の花を見るよりも、コブだらけで捻りも加わった幹を鑑賞すべきなのかも知れない。
 木道が木の周りに巡らせてあり、横にはさらにひっそりと薬師堂が佇んでいる。
 何というか、全体として「翁(おきな)」という印象だ。

 薬師の桜からは、バスガイドさんに先導されてアスファルトの道と土の遊歩道を歩くこと5分少々で釜の越桜にたどり着いた。
 裏手から入っていく形になり、見ごたえのある、大きな3本の桜が並んでいる。
 その中心は、樹齢800年といわれるエドヒガンザクラの巨木で、捻りの入った幹を支えられ、こちらもまた翁の風格のある桜である。

釜の越桜 この一番手前にある樹齢800年のエドヒガンザクラを正面から見ると、その右奥に勝弥桜が大きく枝を張っている。
 こちらは樹齢90年と若く元気な桜の木である。この村の勝弥さん(名字は何というのだろう)が翁の桜から接木で育てた子どもの桜だそうだ。勝弥桜が釜の越桜の子どもであることは、村人の間でも言い伝えられてきており、ほぼ間違いなく確定情報だという。
 その左奥にある更に若い桜は、やはり釜の越桜の子どもで樹齢20年(30年だったかも知れない)だそうだ。
 後で調べたところ、桜の木の下にある3個の巨石は、八幡太郎義家が西片の三麺峰に居陣したときこの石でかまどを築き兵糧を炊いたとの伝説があるそうで、そうとは知らずに、「じゃまっけな石だなぁ」という不埒なことを思いつつ見て申し訳なかった。

釜越の桜と朝日連峰 花坂爺さんの扮装をしたガイドさん曰く「釜の越桜は、借景に朝日連峰をみることができ、置賜さくら回廊のパンフレットのトップによく使われている。」ということだそうだ。
 確かに、遠くに山並みがくっきりと見えていて、なかなか格好いい。見応えのある風景である。
 ちょうど朝日連峰を望む位置に用意されたベンチにのんびり座り、その「表紙になるくらい絵になる」桜を眺めたり、かなり大きく保護のためのロープが張られているのでその周りの土の道を歩いて一周したり、置賜桜回廊の白眉ともいうべき桜を堪能した。

 ところで、最上川がひとつの県だけを流れる川としては日本最長という話はバスガイドさんがり返し強調したところである。
 さらに、確かこの釜の越桜にいたガイドさんから、いわゆるエドヒガンサクラは最上川左岸にしかないという説明を聞いたような記憶があるけれど、本当だろうか。我ながら、どうも自信がない。

釜の越桜

白兎のしだれ桜 この次に向かった白兎のしだれ桜は、再び白鷹町から長井市に戻ったところの葉山神社の境内(というよりは、境内からはみ出しかかっている場所)にある。
 流石の私にも、これまで見てきたエドヒガンザクラとこのシダレザクラとの違いは判る。シダレザクラも風情があっていいものだ。
 葉山神社にお参りし、シダレザクラを色々な角度から見て楽しむ。このシダレザクラも特に囲い等はされていなかった。樹齢が若く元気だからか、神社の境内だからか、位置的に観光客に蹂躙されるようなこともあるまいということかも知れない。

草岡の大明神 桜巡りのトリを取ったのは、草岡の大明神と呼ばれる、国の天然記念物に指定されている桜である。
 この桜は何と個人のお宅の庭にあり、お庭の外から拝見させていただく。
 立て看板の説明によると、胴回りで比べると日本で2番目の巨木だそうだ。上背のある桜という印象で、何故かガリバー旅行記の巨人が思い浮かんだ。
 1番胴回りが太い桜の木は鹿児島県にあるそうで、特に通称はないという。なかなか好もしい話である。

 バスガイドさんの山形県民謡や「りんごの歌 山形弁バージョン」などを楽しんでいるうちに、観光バスは予定よりも20分くらい早く、赤湯駅に16時20分くらいに到着した。渋滞もなかったし、かなり順調に走ったようだ。
 私たちは赤湯駅19時13分発の新幹線の指定席を押さえてあったので、駅では降りずにそのまま赤湯温泉街まで行った。
 赤湯温泉の立ち寄り湯で温泉を楽しみ、夕ごはんを食べようという計画である。
 バスは「いきかえりの宿瀧波」の前で停まったので、まずはこちらの宿で立ち寄り湯が可能かどうか聞いてみたところ、「チェックインのお時間までとなっております。」と言われてしまった。残念である。
 近くにいわゆる銭湯もあるけれど、その荷物では宿の立ち寄り湯を利用した方がいいでしょう、ただ立ち寄り湯ができるかどうかは各宿に聞いてみてくださいと、地図兼宿のリストをくださった。

 バスの中から足湯も見えたゆーなびからころ館に行ってみる。観光案内所兼お土産物屋兼休憩所兼足湯、みたいな場所である。
 からころ館の隣にも公衆浴場である「赤湯元湯」があり、受付のお姉さんにも紹介されたけれど、もう少し風情を感じたい気もする。
 観光情報のパンフレットを集めた棚に立ち寄り湯が可能な宿一覧の紙があり、1軒だけ17時近いこの時間でも立ち寄り湯を受け付けている宿があるのを見つけた。しかも、ここから近い。
 きっと宿の方がアメニティも充実しているだろうと、大和屋に向かった。

 大和屋では、立ち寄り湯は500円、タオルが別売りされていた。「立ち寄り湯をお願いします。」と声をかけると、女将さんがフロントから出てきてくれ、その場で料金支払い、あちらですと目の前にある大浴場を示された。あっさりしたものである。
 大浴場が2つあり、岩風呂と大理石風呂が時間で男湯と女湯に入れ替わるらしい。私達が行った時間帯は、大理石風呂が女湯になっていた。
 お風呂は内湯のみでそれほど大きくはない。源泉掛け流しのお湯は熱く、無色でさらっとしている。窓が開けられていて「窓を閉めるとお湯が熱くなりすぎて入れなくなります」という張り紙があるのが何となく可笑しい。
 熱い熱いと言いながら、髪も洗ったし、ここでもかなり長湯した。

シャガールのリトグラフ さて夕食をどうしようと先ほどの女将にお聞きしたところ、「隣でうちがお店をやっています。」という非常に判りやすいお返事をいただいた。
 うん、そんな気がしていたんだと言い合いつつ、お勧めに従って、お隣にある味考で夕食をいただくことにした。
 テーブルの席をお願いしたら、20人くらいでパーティができそうなお部屋に案内された。シャガールのリトグラフが部屋をぐるりと取り巻いている。凄い。

 和洋折衷のお任せコースを選び、「19時までに赤湯駅に行きたいので、タクシーを呼んでおいていただけますか?」とお願いする。
 さらに、ここでお食事をいただくと大和屋の無料入浴券をいただけることに気が付いて「今、温泉に入ってきたところなんですが。」と言ってみたところ(正確にいうと、私はこれを言うのはちょっと勇気が必要だったので、お姉さんにお願いした)、入浴券についても「期限はありませんから。」といただき、「サービスでデザートをおつけしますね。」と言っていただいた。有り難い。

グラタンにぎり寿司

 和洋折衷のコースは、前菜にはじまり、山菜のお浸しやグラタン、米沢牛の陶板焼き(これは、最初、火元の小さなものを持って来られてしまい、弱火で焼いたので、時間がかかり、水が出てしまって勿体なかった!)、えびしんじょ、サーモン等々のお刺身、にぎり寿司とお汁という内容である。
 サービスにいただいたデザートは桜のアイスクリームで、こちらも嬉しい。
 新幹線に乗り遅れたら洒落にならないので急いで食べつつ、でも、(失礼ながら)意外と美味しかったので残すのは勿体なさ過ぎる。3人ともほぼ完食し、大満足で赤湯温泉を後にした。

 赤湯駅には19時くらいに到着した。
 駅のお土産物屋さんは特にワインが充実していて、朝の到着時に当たりをつけていたとおっしゃりつつお姉様はワイン選びに余念がない。
 私も何となくつられ、2月に来たときに買いそびれたラフランスのジャムをお土産に購入する。
 駅のお土産物屋さんは19時までだったらしく、私達が店を出るのと同時くらいに閉店になっていた。

 19時13分に乗り込んだ山形新幹線は満席のアナウンスがあった。
 3人でおしゃべりしたり、眠り込んだりしつつ、それぞれまたばらばらに新幹線を後にして帰宅した。

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2012.05.17

姥湯温泉旅行記2日目その1

2012年5月5日(土曜日)

 朝、5時半に目覚ましをかけていただいた。
 私自身は目覚まし時計もその代わりになるものも持っていなかったので、お二方の携帯電話に頼らせてもらったのだ
 寝る直前まで部屋の暖房を設定温度24度で動かしていたし、お布団は毛布に羽毛布団でこの毛布が暖かい。窓から冷たい空気が落ちてきているような気もしたけれど、でも暖かく寝むことができた。暖かすぎて、朝、目が覚めたときには毛布を蹴っ飛ばしてかけていなかったくらいである。

 目が覚めると外はもう明るくなっていて、障子を開けると結露ができていた。相当の強風で寒そうである。渓谷のはるか先、山の方から日が射しているのが見える。しまった、日の出を見そびれた、と思う。
 恐ろしいことに小腹が空いていたので、お茶をいれ、「おめざ」と称して昨日食べ切れなかった力餅をいただいた。少し固くなっていたけれど、やっぱり美味しい。

内湯 その後、この強風では露天風呂は辛かろうと内湯に向かった。
 昨夜よりも湯温が下がっているような気がする。夜の冷気に触れ、ここまで流れ込んでいる温泉の温度も下がっているのだろう。
 露天風呂に行ってらした方が「寒くて寒くて。」とおっしゃりつつ内湯に入りにいらっしゃった。露天はもっと湯温が低くなっているだろうし、この強風ではむべなるかなという感じだ。
 朝風呂はさっとあがろうと思っていたのに、つい、汗ばむまで入ってしまった。

朝食 朝食は、夕食と同じ広間で7時15分からである。送迎車で出発する人から先に案内しているようで、少し早めに朝食を食べ始めることが出来た。有り難い。
 お味噌汁がお鍋で出てきたのが嬉しい。熱々を飲める。各自で干物を焼く朝食は伊豆のどこかの宿であったけれど、朝食のお味噌汁というのは初めてだったような気がする。
 朝食後に割とすぐ出発なので腹八分目で抑えたら、お姉様方お二人に怪訝な顔をされた。よっぽど大食漢だと思われているらしい。

スタンプ帳 部屋に戻るとやはりお布団が片付けられていた。歯磨きや最後の荷造りをする。お二方が寛いでらっしゃる間に先に会計を済ませる。このメンバーで旅行するときは、大抵、定額を3人で出し合ってその共有財布を私が管理するのが定番だ。
 お会計のときに、日本秘湯を守る会のスタンプ帳を頂いたのが嬉しい。
 日本秘湯を守る会の会員宿に泊まるごと(ただし、朝日旅行以外の旅行社を通した場合には押してもらえない)スタンプを押してもらえ、有効期間の3年の間に10軒分のスタンプが溜まると会員宿に1泊無料で宿泊することができる。
 ぜひ達成したいものだ。

 宿の方は「いつもこんなに寒いわけではないけれど、春先はやはり寒暖の差が激しい。寒いときにはこれくらい寒くなる。」とおっしゃっていたけれど、そもそも、GWを「春先」とはなかなか言うまい。
 あまりの寒さにヒートテックのタンクトップに長袖のタートルネックシャツ、フリースにレインコートのジャケットを重ね着し、7時50分、送迎車に乗り込んだ。

 一度来た道なので帰りは早く感じる。実際、下り坂だし行きよりは早かったと思う。行きの車の中で爆睡されていたお姉様が「腹八分目って言っていた意味がやっと判ったわ。」とおっしゃっる。道は舗装されているけれど、かなりくねくねとしているのだ。そして、狭い道ゆえにスピードの変化も大きい。
 8時41分発の電車まで20分くらいは余裕がある感じで駅に到着したと思う。線路の向こう側の桜が昨日よりも色濃くなっているのが不思議なくらいの寒さである。
 せっかく持っているのだからと、更にレインパンツも重ね履きし、ホーム上の待合室に入って電車を待つ。
 ホーム端のお手洗い横の水道に「11月から3月までは凍結防止のために水を止めます」という張り紙があった。

 やっと来た電車に乗って米沢まで、米沢駅で乗り換えて赤湯駅まで行く。標高が下がれば暖かくなるのではないかと思ったけれどとんでもない。寒いままだ。
 赤湯駅に9時26分に到着した頃、これから追いかける観光バスのガイドさんから電話が入った。私は携帯電話を持たないので、了解をもらって同行のお姉様方の番号を知らせてある。観光バスはちょうどその時間に烏帽子山公園に到着したらしい。「追いかけます。」と答えてもらう。

八重桜 タクシーで烏帽子山公園の大型バス用の駐車場に到着すると、そこに大型バスは1台しか停まっていなかった。間違いなく、この山交バスの観光バスが私たちが追いかけてきた観光バスである。バスガイドさんに挨拶し、代金(1人3500円)を支払ってバスに乗り込む。
 烏帽子山公園の桜は、タクシーの運転手さんが言っていたとおり、見事なくらい散ってしまっている。ツアーの方々も集合時間前に三々五々戻っていらっしゃったようだ。
 駐車場の周りでぽつんと八重桜だけが花を咲かせていた。
 こうして、私たち3人が加わって総勢22人が揃った観光バスは、次の目的地である伊沢の久保桜に向かった。

伊佐沢の久保桜 伊佐沢の久保桜という一本桜は、小学校のすぐ隣にあった。周りを木道で囲われ、60本という支えの木で何とか立っていられるという満身創痍の様子である。
 そして、キッパリと桜は終わっている。桜吹雪も舞わないくらいの残り方である。
 でも、(強がりのような気もしなくもないけれど)葉桜になりつつある今くらいの状態の方が、その枝振りがはっきり判って、樹齢1200年の重みを感じることができるように思う。
 バスガイドさん曰く、「先週来たときは咲いていなかったのに、今週来てどうして散ってしまっているの!」ということだった。もうほとんど悲鳴交じりである。

 花咲かじいさんの格好をしたボランティアガイドの方の説明によると、3本のように見えるこの桜は実は1本の桜で、江戸時代にその根元で焚き火をした人がおり、その火事が原因で分かれてしまったという。
 実は説明を聞いているときにはこの「江戸時代」というのを聞きそびれ、かつガイドさんが「ホームレスの人が。」とおっしゃったものだから、私はてっきりここ10年くらいの話だと勘違いしていた。だから、さらに強く、「何ということだ!と憤りを感じていたと思う。
 その後は地元の方が保護に努め、再生しつつあるそうだ。
 駐車場から桜まで売店が並び、そこで桜保護のための寄付金を集めていた。心ばかり寄付して、カードをいただいた。

 ここで説明を聞いて初めて知ったところによると、桜は古木になると中心部が洞になってしまうので、幹の内部から不定根と呼ばれる根を発生させて地面に伸ばして太らせて世代交代を行うそうだ。
 でも、この伊佐沢の久保桜はその内部が火で焼けてしまっているので、不定根を発生させにくい状況にあり、樹にも勢いがないという。それはそうだろう。
 平成18年からこの不定根を発生させる「治療」が行われており、シートで覆われているのはその治療中の部分だそうだ。ぜひ元気になってもらいたい。

 この後は、フラワー鉄道長井線の長井駅から荒砥駅まで乗車する。硬券の記念乗車券がもらえるのが嬉しい。そして、懐かしい。
 長井駅に来たのは、2月に蔵王に樹氷を見に来たとき以来だ。そのときは雪が積もっていたけれど、当然のことながら、今は雪も溶けている。そして、電車を待っている間に、青空が広がってきた。
 私はどうやら長井鉄道限定晴れ女らしい。
 雪景色も良かったけれど、青空に映える山並みや、たんぽぽや濃いピンクの花(梅か桃か、木の花であることだけは間違いない)とまっすぐ伸びる線路もまたいい感じである。

長井駅長井駅

 今日の長井鉄道は1両編成で、車掌さんの乗務はなしだった。ちょっと残念である。
 運転席の後ろに陣取って、しばし車窓を楽しむ。車窓からは満開の(ような)桜を何本か見ることができた。「THE 田園風景」といった景色も清々しい。
 乗車時間20分、11時33分に電車は終点の荒砥駅に到着した。

鮎そば 先回りしていたバスに乗り込み、道の駅白鷹やな公園に向かった。昼食タイムである。
 集合が50分後と意外と時間がないので、まずはあゆ茶屋に向かった。かなり混雑していたけれど、早めにお店に入ったこともあって、割とすぐにテーブルに案内してもらうことができた。
 イチオシらしいあゆ定食を食べている人が多く、見るからに美味しそうだ。でも、そんなにたくさん食べるお腹の余裕も時間もない。
 私は鮎そばを頼んだ。焼いた鮎がおそばに丸々一匹入っている。香ばしくて美味しい。お二方は、鮎の塩焼きとざるそば、鮎の塩焼きと山菜蕎麦という組み合わせでオーダーしていらした。その手があったか! と思う。
 窓から見えた行列の先では、山菜汁が無料で振る舞われていた。その他、鮎の塩焼きはもちろんのこと、豆腐の味噌田楽や鮎ごはん等々も販売されている。屋台ごはんとも美味しそうだ。

鯉のぼり ごはんを食べ終わって、車窓からもあゆ茶屋からも見えていた鯉のぼりを見に行くと、突然、突風のような強い風が吹き始めた。
 最上川を遡るように並んだ鯉のぼりも一斉に泳ぎ出す。最上川の水量も相当に増えていて、ヤナ場には上流から押し流されてきたのだろうごみが溜まっている。
 濁流の上、桜吹雪の中を泳ぐ鯉のぼりに見とれた。
 そして、何より嬉しかったのは、この風で完全に雲が吹き飛ばされたことだ。

 13時前に道の駅を出発し、バスガイドさん曰く「食事の後はスイーツですよね。」ということで、やまり菓子舗へと向かった。
 バスガイドさんの事前情報では、もっちりどら焼きと蕎麦饅頭がお勧めということだったけれど、残念ながらどちらも売り切れてしまっていた。かなり蕎麦饅頭に心惹かれていたので残念である。
 しかし、気を取り直して、試食した桜羊羹に心惹かれつつも、ずんだ豆餡のお饅頭と、桜の花を閉じ込めた桜ゼリーを購入した。

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2012.05.08

姥湯温泉旅行記1日目

2012年5月4日(金曜日)

 5月4日の朝、家を出ようとしたら突然雨足が強くなった。
 これは、それなりの装備をしなければ1日濡れた服で過ごさねばならなくなる。姥湯温泉は相当に寒いらしいので、そんな羽目に陥ったら風邪をひくのは必定だ。
 慌てて荷物と着て行く服を選び直し、レインパンツとレインジャケットを着てレインポンチョを荷物から外し、折りたたみ傘を差して出かけることにした。ただでさえ多い荷物は増える一方である。

 なかなか咲かなかった東北の桜が一気に咲いて一気に満開になり一気に散り始めたというオソロシイ情報はなるべく見ないようにし、天気予報に一喜一憂するのも疲れた。天気のことはなるべく考えないようにして、東北新幹線で福島駅に向かう。
 3人がそれぞれ東京・上野・大宮からの乗車なので、全員が揃ったのはつばさ79号が大宮駅に到着した11時25分のことだった。
 このつばさは臨時列車で、この後は福島までノンストップである。旅に出るには遅めの時間だからか空いていて、2列の座席を引っ繰り返して向かい合った4席を3人で占拠できたのが嬉しかった。気兼ねなくおしゃべりが出来る。

チキン弁当 新幹線が大宮駅を出発してすぐ、持参した駅弁を開いて早速お昼ごはんにした。
 私は、チキン弁当と、駅構内のデリで九条ネギとじゃこと水菜のサラダを選び、ペットボトルのジャスミンティを買った。チキン弁当を選んだのは、和食だと夕食や明日の朝食と被る可能性があるけれど、間違ってもこの旅行中にチキンライスを食べる機会はあるまいという判断による。
 お昼ごはんを食べつつおしゃべりしていたら、12時35分、あっという間に福島駅に到着した。

 福島駅で、奥羽本線(愛称として「山形線」と呼ばれているらしい)の米沢行きの電車に乗り換える。12時54分発の電車はすでに到着している。2両編成のその電車は、ぱらぱらと人が乗っていて、3人で並んであるいは向かい合って座れそうな席がなかなかない。30分をずっと立ったままでは辛そうなので、端の方の席を確保した。
 外は雨が降っているのか降っていないのか、雲に覆われた空ではあるけれど明るい。
 梨畑(だと思われる)やブドウ畑(だったと思う)が広がっている。なかなかいい眺めである。
 並行して流れている川(今調べたら、松川というらしい)の水量が随分と増えていて、茶色く濁った水がすごい勢いで流れているのが見える。

 車窓を眺め、おしゃべりしていたら、あっという間に今夜の宿、姥湯温泉枡形屋の最寄り駅である峠駅に到着した。
 この峠駅ホームでは「力餅」が、往年の(?)駅弁売りのように売られている。その風情と姿にノックアウトされ、1箱10個入りなら3人で食べ切れるかもということで、1箱(1000円)購入した。今日のおやつである。

峠駅 この峠駅はかなり変わった姿の駅である。山形新幹線開通まで、この路線では、板谷峠付近の急勾配と豪雪によりかなりの難所となっており、スイッチバックで上っていたという。そのための複雑な線路やポイントなどの施設が駅構内に設けられ、その施設を雪から守るためにシェルターで覆われていたという。
 現在はスイッチバックは行われていないけれど、そのシェルター等々を再利用するような形で新しく駅が(というか、ホームが)作り直されたらしい。
 線路まで含めて大きく覆われ、駅ではない元線路(今はアスファルトで舗装されている)までそのシェルターは続いていて、何とも不思議な眺めだった。

 峠駅では既に枡形屋さんの送迎ワゴンが待っていてくれた。おじさんの持っていたメモに名前があることを確認し、ほっとする。
 今日、この送迎を利用するのは私達の他には二組しかいないらしい。
 送迎車は13時50分発なので20分くらい時間がある。駅の中を歩いたり、すぐ近くにある峠の茶屋(力餅の発売元でもある)に行ってみたり、駅のシェルターから外に出てすぐのところにつくしが群生したりふきのとうがあちこちに生えているのを見つけて写真を撮ったり、線路の向こうの(推定)山桜を眺めたりしていた。
 何より驚いたのは、駅(標高626m)の周りにたっぷりと雪が残っていたことだ。寒いはずである。

つくしふきのとう

 駅前でおじさんが食材を積み込み、宿に向けて出発した。
 駅から8kmだというけれど、くねくねと細い山道を行くので時間がかかる。対向車とすれ違うには双方がものすごく慎重にそろそろと進むか、どちらかが少し道幅が広くなっているところまで戻るか、どちらかしかない。
 雪は普通に道端に積もっている。それも、「雪かきして端に寄せて積んだ雪が残っている」のではなく、ごく普通に積もった雪が残っている。木の周りから溶けてきているところが、何だかいかにも雪国・山国である。

 ここ数日の雨で崩れたのか、アスファルトで舗装された道が30cm幅ほど崩れ、土を押えていた木材も谷底に落ちているような場所をそろそろと通り抜けたときにはかなりドキドキした。下手に振動を与えたらもっと崩れるのではないかと思ってしまう。
 その他、スイッチバッグを指示する標識の立った曲がり角(スイッチバック用のスペース)を通り抜けたときには(普通乗用車は恐らく軽く切り返すか、それも必要ないくらいのスペースはあったように思う)、「おぉ! これか!」と思った。
 雨模様だったので遠くまで見晴らすことはできなかったけれど、水芭蕉が群生する心和む風景も長めながら、30〜40分ほどで宿の駐車場に到着した。

 到着した場所は、宿の「駐車場」である。
 姥湯温泉枡形屋は、駐車場から先、車が入ることはできない。吊橋を渡り、細い急な坂を登って行く。重い荷物は、おじさんが駅で仕入れてきた食材と一緒にゴンドラ(というとものすごくいいものに思える)で運んでもらえるということだったので、お願いする。
 雨はそれほどでもなかったけれど、谷間だからか、風ビュービュー吹きすさんで折り畳み傘などちょっと油断するとあっという間におちょこになってしまう。かなりの急坂を一歩一歩登って行った。

 宿に到着すると、日帰り入浴に来ていたらしい方々が雨宿りをしていらした。途中、駐車場に向かっていた方々も誰一人として傘を持っていなかったから、この雨はきっと突然降り出したのだろう。
 この寒さで、温泉に入った後ずぶ濡れになったら風邪をひいてしまうのではないだろうか。かといって、下手に雨が止むのを待ち続けて日が落ちてからあの山道を車で下るのは相当に難儀なことである。日帰り入浴の場合は駅からの送迎はない。

 案内していただいたお部屋は2階だった。
 お部屋に入ってまず窓から外をのぞくと、宿の前の細い川を轟々と音を立てて茶色い水が流れているのと、その向こうの切り立った崖が目に入る。案内してくださった方に「みなさん、まず窓から外を見られるんですよね。何かいいものがありますか?」と笑われてしまった。

宿の部屋力餅

 まずはお部屋に落ち着き、レインコートを掛け、お茶を入れる。ティーバッグではなく茶筒にお茶っ葉が用意されているのが嬉しい。
 そして、もちろん、お茶のお供は先ほど買ってきた力餅である。
 「力餅」という名前の、要するにお饅頭である。お饅頭というよりは大福に近いかも知れない。
 中に入っているのは漉し餡で塩気が効き、周りの餅も柔らかで美味しい。
 あっという間に2個ずつ食べてしまった。

 雨も小止みになってきたので、お風呂に行った。何しろ、夕食が17時30分からと早い。今食べた分くらいはお腹を空かせておく必要がある。
 枡形屋では、内風呂は24時間入浴可、大きな露天風呂は混浴で夜2時間だけ女湯になる。その他、女性用の露天風呂があるけれど、黒の板塀で囲われていて眺めはやはり大きな露天風呂の方に軍配が上がる。
 混浴の広い露天風呂にもかなり惹かれたし、バスタオル着用可の案内ももらったけれど、何人かの男性が入浴しているらしく、この明るさの中を入って行くのはなかなか勇気が必要で、我々は断念した。

女性専用露天風呂 そんな訳で、まずはその女性専用の露天風呂に入った。
 それでもやはりこの断崖絶壁下のお風呂は気持ちがいいものである。
 お湯も乳白色が少し青みがかっていて、湯の花が浮いているのが判る。この風だから、湯船に落ち葉が浮いているのは仕方がないだろう。
 湯口に近いところに陣取って、温かい温泉を満喫する。

 露天風呂を堪能した後、やはり外気にさらされて温めになっていたお湯と冷たい風に「温まりきった」という感じが薄かったのと、露天風呂には手桶がひとつ置かれているだけで洗い場がなかったので、内風呂に入った。
 内風呂はヒノキのお風呂で、洗い場が一つある。ボディシャンプーとリンスインシャンプーがあったと思う。
 内湯の方が露天風呂よりも湯温が高い。窓を少し開けて冷気を取り込むとちょうどいい感じである。
 こちらでさらに温まってから上がった。

宿から見下ろす宿を見上げる 部屋に戻って外を見たら、青空がのぞいていた。夕食まで時間が少しあったので、浴衣から着てきた服に戻り、外に写真を撮りに行く。もちろん、そんな酔狂なことにお姉さまお二方は付き合ってはくださらない。
 急坂を下ると、雨は上がっているものの、坂を流れる水の流れは未だにあって、宿のサンダルで歩いているとつま先を濡らしそうで不安である。第一、サンダルでは急坂を下るのも登るのも歩きにくい。
 それでも、吊橋の辺りまで下りて、辛うじて見える青空とともに宿や川、遠い景色の写真を撮った。
 薄手のフリースのシャツに薄手のフリースの上着で歩いていたらすっかり冷えてしまった。宿の入口に用意されていた幸福茶が温かく、美味しかった。

秘湯ビール 17時30分から夕食である。
 日本秘湯を守る会の会員宿でしか飲めないという秘湯ビールを頼んだ。秋田県のわらび座という会社で作っているらしい。
 飲みやすい、まろやかな味のビールだったと思う。
 そして、ごはんも美味しい。
 食べると口の中いっぱいに山菜の香りが広がる。サーモンのお刺身も甘いし、鯉のお刺身も(少し乾いているような気もしたけれど)こりこりしていて美味しい。
 鯉こくも、冷めて固くなっていたところが惜しいけれど、それでも美味しいというのは逆に凄いような気もする。
 そして、もちろん、米沢牛の陶板焼きは絶品である。
 3人揃ってほぼ完食した。

陶板焼きお刺身

 食事後、フロント周りにある売店(というか、フロントに絵葉書や湯の花が置かれ、フロント前のスペースの棚にお酒やおつまみなどが入り、壁には売り物の絵葉書がレイアウトされた額が飾られている)を覗いた。
 姥湯温泉の石鹸もあって、ちょっと迷ったけれど500円は高い!
 内湯で試しに使えていたら、もしかしたら購入していたかもしれないけれど、どんな感じか判らないのはなぁと思い、湯の花を購入した。200gで10回分だそうだ。

 大きな露天風呂が女性専用になるのは18時から20時までである。
 食休みを少ししてから、露天風呂に向かった。
 ランプが点されていい雰囲気である。脱衣場はかなりオープンな感じで、すだれのようなもので覆われてはいるけれど、お風呂に向かって大きめに開いていて、混浴の時間帯にここで着替えるのはかなり敷居が高い感じだ。
 夜になって雨は止んだものの冷え込んできたため、湯口に近づいて温かいお湯が注ぎ込まれていることを感じつつ、しばらくおしゃべりに興じた。
 お天気がよければ空に満天の星が見えたろうし、月が出ていれば切り立った崖下のロケーションも目にできたと思うけれど、曇っていたのでひたすらお湯を楽しむことになった。
 それでも30分程度では「温まりきった」という感じにはならず(のぼせないように肘を出していたせいもあるかも知れない)、再び内湯で温まってから部屋に戻った。

 食事の際にお布団は敷いていただいていたので、あとはごろごろしたり、端に寄せてもらったテーブルで宴会(もどき)を行ったり、いつもの温泉の夜である。
 外を流れる川の音なのか、雨音なのか、よく判らない水の激しい音がなかなかの迫力で迫ってくる。障子を閉めないと冷気が窓ガラスから直接入り込んでくるようだ。
 たまたま、この3人で見に行った映画「K-21」がテレビで放映されていた。「懐かしいね」などと言い合いながら見た。
 ・・・と言いたいところだけれど、お二方とも途中で寝てしまっていらして、23時過ぎにテレビを消し、電気を消そうとしたところで目を覚まして「結局、映画の最後がどんなだったか判らなかったわ。」と言っていた。

 -> 姥湯温泉旅行記2日目その1

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2012.05.06

無事、帰宅する(姥湯温泉)

 2012年5月4日(金)から1泊2日で熊野古道旅行以来のお付き合いとなったお姉様方お二人と姥湯温泉に行って来た。
 目的は、秘湯温泉の一つである姥湯温泉に泊まることと、置賜の桜を見ることである。
 今年のGW後半の東日本はどこへ行っても荒れ模様だった訳だけれど、雨女の私としては、大雨じゃないときに露天風呂に入れ、青空をバックにした桜(ただし、かなり散りかけ)を見られたので良しとしようと思う。晴れ女のお二方に大感謝である。

 1日目は、新幹線車内で駅弁のお昼ごはんを食べ、峠駅からの宿の送迎を利用した枡形屋さんまで行った。
 2日目は、宿を7時50分に出発して8時41分の米沢行き電車に乗り(ちなみに、この電車の後は13時台まで電車がない)、赤湯駅まで行ってタクシーで観光バスを追いかけ、置賜の一本桜を巡る観光バスに追いついて乗車した。

 今年の桜は、冬に雪が多かったために開花が遅く、でも4月後半に一気に高温になったために開花と満開はほぼ同時か差があっても1日程度、4月29日に咲いて4月30日には満開になり、5月2日の風雨でほぼ散った、という展開だったらしい。
 いつか、リベンジしたいと思う。

 この1泊2日の旅行にかかった費用は、一人分約45000円だった。ここには、交通費、宿泊費、食事代、おやつ代,
立ち寄り湯代が含まれているが、お土産代は含まれていない。

 出発直前、我が家の辺りはけっこうな降りの雨に襲われ、慌てて荷物を入れ替えてレインコートを装着して行くことにした。
 そんな訳で、本当の直前まで入れ替えを余儀なくされた持ち物リストは以下に。
 この持ち物リストには、着て行った服も含まれている。荷物が多くなったのは、雨と、姥湯温泉が非常に寒いという話を事前に聞いていたためである(そして、実際にもの凄く寒かった)。

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