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2013.12.08

台湾旅行記2日目その2

2013年10月20日(日曜日)

 12時半過ぎに故宮博物院に到着した。
 チケット(100元)を購入し、日本語のイヤホンガイド(100元)を借りる。イヤホンガイドを借りるときには、パスポートか一定以上の金額を預ける必要があって驚く。
 そして、いざ入場しようとしたら、警備員さんに止められた。リュックを持っての入場は禁止らしい。手振りで「入口を出たところに手荷物預かり所がある」と教えられる。
 しかし、手ぶらで入場する訳にもいかない。たまたまエコバッグがリュックに入れっぱなしになっていたので、必要なものをそちらに移してリュックを預けた。

 大きさとしてはエコバッグもリュックも同じようなものだから、どうやら「リュック型のバッグ」がいけないらしい。今度はお咎めなしで入場することができた。
 それにしてももの凄い混雑である。入口を抜けたところの階段も「人、人、人」だ。
 3階に上がり、ルートどおり301を目指した。目指したけれど、入口前に行列ができている。入場制限を行っているらしい。他に入場制限を行っていた部屋があと二つあった。

 しかし、少なくとも見た目、301の展示物は地味である。
 毛公鼎という、お鍋のような食器のような器は青銅器だそうで、三本足の上に半球の入れ物が載っている感じだ。内側に銘文が彫られていて、その銘文が壁にあって見ることができるようになっている。
 もう一つ置かれていたのが宗周鐘という、鐘というか楽器というか、とにかく音を鳴らすものだ。現存する天子が製作した器物の中で最も重要なものとされている、らしい。
 どちらも彩色されていないし、黒っぽいし、銘文なんて読めないし、古いものだということは判るけれど、今ひとつその「有り難さ」が判らなかった。これほど「馬の耳に念仏」とか「豚に真珠」とかいうことわざが似合うシーンも他にあるまいという感じである。

 次の302の展示物は、これはもう私でも知っている。豚の角煮と白菜である。
 豚の角煮、正式名称「肉形石」についてショックだったのは、これが「加工」された石だということだ。もちろん加工されているに決まっているけれど、私はそれを彫ったりなど「形を作る」ことに対して行われたと思い込んでいた。ところが、石を染めたり、「皮」の質感を出すために細かい穴を開けたりしているという。

 白菜、正式名称「翠玉白菜」は、意外と大きくてびっくりした。
 一緒に行ったお姉さんは、初めて見に行ったときにその「小ささ」にショックを受けたそうで、ずっと「小さいよ。」と牽制されていた。だからという訳ではなく、私の中では、角煮も白菜も、両方とも5cmくらいというイメージだった。
 だから、実物の「翠玉白菜」が、高さ20cmくらいだったことに驚き、「大きいじゃん!」と思わず言ってしまった。
 考えてみたら、全体で5cmという大きさだったら、キリギリスやイナゴはどれほどの大きさなんだという話である。

 「石」としては実はあまり良くないとされている、この白から緑への色が変化する石を白菜に見立て、こうした「芸術品」に仕上げたという解説に頷いてしまった。
 「翠玉白菜」は、今は斜めに木の台に立てかけるような感じの姿が有名だし、そうして飾られているけれど、当初は、植木鉢に植わっているような感じで真っ直ぐに立てて飾られてあったらしい。その植木鉢みたいな台座が同じ展示ケースに展示されていて何だか可笑しかった。
 その「直立した「翠玉白菜」」も見てみたかったような気がする。

 「これだけは見なくちゃ!」と決めていたものがあと二つある。
 その一つが304展示室にある「清乾隆2年 陳祖章 雕橄欖核舟」だ。旅行前に台湾通の友人に聞いたところ「故宮博物院では、これだけは見て来て!」と言われていたものである。
 名前からは何だか全く判らないけれど、これは、オリーブの種に細工をして一艘の小さな船を彫り上げたもので、中に人は乗っているし、扉は開閉するし、その精巧さと来たらない。
 あまりにも小さすぎて、見学者用に拡大鏡が設置され、あまりにも足を止めてじっくり見入る人が多いためか、かつての上野動物園のパンダのように「立ち止まらないでください。」と係員さんが張り付きで人を流している。
 もっとじっくり見たかったよ、というものの一つだ。

 304の部屋には、こうした超絶技巧を凝らしたものがたくさん展示されている。
 「清  象牙鏤彫提食盒」という、食べ物を保管する箱と言われている観賞用の箱など、象牙で作られていて、箱の壁部分はもの凄く細かい間隔で直線が透かし彫りされている。鳥かごの網をもの凄く細かくしてかつその1本1本が象牙という感じで、この書き方で伝わらないだろうことがもどかしい。かつ、そこに意匠も彫り込まれているという手のかかり方だ。
 これ、網をうっかり1本折っちゃったら最初からやり直しだよなぁ、と変なことを考えてしまう。

 もう一つ、どうしても見たかったものが304にはあって、それが、「清晩期 彫象牙透花人物套球 」だ。用途としては飾りとしか言い様がない。象牙の珠が何重にも入れ子になっていて、その一つ一つが別々に動くらしい。
 何かで十七層になっていると読んだ記憶もある。本当だろうか。
 一体どうやって彫ったのか、これまた超絶技巧の逸品だ。展示ケースの周りをぐるぐる回ってじーっと見入った。

 たくさんの「お宝」があり過ぎて、何を見たのか記憶がごっちゃになっている。
 中で印象に残っているのは、「清朝 翡翠の屏風」だろうか。
 文字通り、格子状に木枠が作られ(もちろんこの木枠自体にも精巧な木彫が施されている)、そこに彫刻を施された翡翠の板がたくさん埋め込まれている。屏風だから表裏どちらから見ても美しい。
 翡翠だよ、翡翠をこれだけたっぷり使った屏風だよ、倒れかかってきたら潰れちゃうよと阿呆なことを考えながら、これまた展示ケースの周りをぐるぐる回って見た。

 あとよく覚えているのは、たくさんの「鼻煙壺」が集められた部屋だ。あとでサイトを見たら、「通嚏軽揚-鼻煙壺文化特別展」が開催されていたらしい。
 よく覚えていると書いた割に部屋番号も何も覚えていないけれど、小さな香水瓶のような、嗅ぎ煙草入れがその正体のようだ。

 本当に次から次へと出てきて、女性のアクセサリ代わり、実用品兼アクセサリだったんだろうなと思う。洋服やシーンに合わせて変えていたのだろう。
 ヨーロッパから伝わったものもあれば、中国で後に作られるようになったものもある。陶器製やガラス製のものもあるし、石をくりぬいたようなものもある。
 こうしたものがあれだけたくさん次から次へと並んでいると、「どれが欲しい」という話になるのはもうお決まりで、お姉さんと二人で、「私はこれがいい。」「あっちのが綺麗だ。」などと真剣に選ぶ。私は、紺地に桃色のグラデーションで大きな牡丹が描かれたものが欲しかった。

 その他、3階ではひたすら青銅器を見ていたような気がする。
 ちょうど、305と307で「古代青銅器の輝き-中国歴代銅器展」が開催されていて、301で見た毛公鼎や宗周鐘のお仲間のような展示物がひしめくように並んでいた。
 時々、動物を模したような器が混ざっていて、無骨でカラフルさの一切ない展示品の中で、一服の清涼剤的に嬉しかった。
 紀元前17世紀からあったといい、殷の時代のものが今に伝えられてきているというから、中国三千年の歴史ほど恐ろしいものはない。

 15時半も回って流石にお腹が空いてきたけれど、今日は18時から豪華ディナーが待っている。
 故宮博物院の4階にある三希堂で軽くお茶をした。
 この三希堂は、限られたエレベータでしか行くことができない。そして、行ってみると非常にシックな空間が広がっていて、軽い食事もできるようになっていた。
 三希堂という店名は、清の乾隆帝の書斎名から名付けられているそうだ。

三希堂でお茶 もう既に何を頼んで何を食べたのかすら忘れてしまっているけれど、こちらのお菓子(中に果物のジャムが入っていたと思う)と、烏龍茶(お店のお兄さんのお勧めに従った。)、そして、写真は撮らなかったけれど、あと、叉焼饅頭みたいなものを食べた。
 歩き疲れたし、休憩も兼ねてのんびりいただく。
 ふと外を見ると雨が降っていて、この時期の台北は結構天候不順なのかもと思った。青空も一部、見えていたくらいだ。

 お茶とお菓子でのんびりし、歩く元気を取り戻して、今度は1階で開催されている「十全乾隆:清高宗の芸術品味特別展」に向かった。
 たった今お茶とお菓子をいただいた三希堂の店名の由来にもなった皇帝である。
 イヤホンガイドもちゃんと用意され、乾隆帝が「お祖父さまに可愛がられた、父親よりも優秀な孫」という育ちであることが繰り返し強調されていて、何だか乾隆帝もそのお父さんも気の毒な感じがしてしまう。
 一流の文物に囲まれて育ち、本人も芸術的な素質に恵まれ、古今の作品をコレクションし、長く皇帝の地位にあった彼の治世の間に、清の文化は隆盛を極める。
 そのほんの少しのおこぼれが展示されている、という感じだ。

 多分、書画の展示が多かったと思う。もう、この頃になると、油断してカーディガンではなく薄手のストールしか防寒着を持たないまま冷房の中にずっといたことで寒くなり、あまりにもたくさんのお宝を見過ぎてもう前後も何も判らなくなっている。
 ただ、うっすら覚えているのは、乾隆帝の書斎を再現した展示があったことだ。
 紫檀か黒檀かの重厚な家具が据えられ、重々しい雰囲気のお部屋が作られている。ガラス越しだったのが残念だ。居心地は悪くなさそうだけれど、椅子の座り心地はあんまり良くなさそうだなとか、冬は寒そうだなとか、お宝が山とあってお掃除の係の人は大変だったろうなとか、どうでもいい感想が浮かんだ。

 「書に興味がない」とキッパリと私が言い切ってしまったせいで2階はパスする結果となり、1階でまだ見ていなかったお部屋を回る。「乾隆潮ニューメディア・アート展」は正直、よく判らなくて、二人とも早足で通り過ぎた。
 あと、マルチメディアを駆使して、書体や様々な漢字の書き方を見せてくれる体感型の展示があった。訳が判らないながらハマり、しばらく遊んだ。

 気がついたら18時になっていて、故宮博物院見学はここまでにして、慌ててミュージアムショップに行った。
 展示室を出て左手にあるミュージアムショップは結構広い。そして、お隣に郵便局が併設されているところが上手い。
 ところが、意外と「欲しい!」というものが見当たらない。隅々まで見て回り、お菓子も売っているなぁとか、翠玉白菜のキーホルダーもあるなぁとか、絵はがきはどうしようとか、ちょっと迷ったものの何となく決め手に欠け、結局、何も買わなかった。

 荷物を受け取って夕食に行こうと外に出たら、手荷物預かりの窓口が閉まっている!
 まだ開館時間中なのに何故? と半ばパニックになる。大事なものは手元にあるとはいえ、明日取りに来てくださいとか言われたらどうしようと思う。
 館内に引き返してその辺りにいた警備の方に引き換え用のタグを見せると、何も言わないうちに言いたいことが伝わったらしい。イヤホンガイドを借りたのとは反対側にあるカウンターが指さされた。そちらに窓口か何かがあるらしい。

 カウンターでタグを見せると、中に入って来いと身振りで示された。不安になりつつ中に入ると、目の前のテーブルにぽつんと私のリュックが置かれていた。あー、良かった。
 案内のお姉さんもほっとしている感じだったから、「持ち主不明だったらどうしよう」とかウワサになっていたのかも知れない。
 ご迷惑をおかけして申し訳ない。

故宮博物院ライトアップ 故宮博物院に来るときはタクシーでピュッと入口まで連れて来てもらったから、まだ外観を見ていない。
 故宮晶華に向かう途中、ライトアップされている建物の全景を写真に撮った。
 故宮晶華は、「晶華」の名前のとおり、リージェントホテルプロデュースのレストランである。
 行ってみると、席の予約はできていたけれど、「国宝宴」コースの予約は通っていなかったらしい。普通にメニューを渡される。圓山大飯店のコンシェルジュのお姉さんに、よく確認するべきだった! と思う。
 こういうときに交渉力を発揮するのがお姉さんで、私があわあわしている間に、「こういうときは、上の方の人と直談判!」と宣言し、国宝宴が紹介された記事をコピーした紙を見せ、「これが食べたい!」と言うとあっさりOKが出た。
 前日までの予約が必要と聞いていたけれど何とかなるらしい。

メニュー

 流石に2階の個室に変更はできなかったけれど、最初よりもテーブルの広い余裕のある席に変えてもらい、「国宝宴」コースが始まった。
 立派なメニューをいただけるのが嬉しい。紺色の布張りの表紙がつき、日本語と中国語でメニューの説明、そしてメニューの元になった故宮博物院のお宝の説明が書かれている。お姉さんなど「これが一番いいお土産だわ!」と喜んでいる。

 3800元の中華フルコースのお料理など、今後、食べることもないような気がするので、いただいたお料理を一挙大公開する。

前菜
前菜

翠玉白菜
翠玉白菜
 台湾中部で採れた白菜の中心部を、ハムとチキンのスープで煮たお料理である。
 あっさり味で美味しい。
 どうやって食べたらいいのか、最初、相当に迷った・・・。

白玉錦茘枝
白玉錦茘枝
 このお料理は、メニューに載っているお料理とは変わっていた。
 でも、元になったお宝が「白玉錦茘枝」であることは確かだと思う。
 甘みの強い苦瓜を使っているらしく、それほど苦みは感じず、優しいお味だった。

肉形石
肉形石
 言わずと知れた、豚の角煮だ。
 何というか、普通に美味しい角煮である。

弦紋鼎
弦紋鼎
 弦紋鼎とは、蓋のついた円形の青銅器のことで、両側についた立て耳や、蹄のついた三本足、三つの飾りが付いた半球形の蓋などが特徴だそうだ。
 その弦紋鼎を模した器に、佛跳牆がたっぷり入っている。
 佛跳牆はいわば五目煮で、和尚さんも香りにつられて垣根を跳び越えたというエピソードから名付けられたそうだ。この佛跳牆はとにかくその「五目」が贅沢極まりない。
 しかし、この時点でかなりお腹がいっぱいになっていたし、高級食材に慣れていない私は、滋味溢れるという言葉がこれほど似合うスープもないだろうと、スープだけをいただいて満足した。

元朝雲林鵝
元朝雲林鵝
 お姉さんが「ハンバーグみたいのが来る!」と言って戦々恐々としていたところに供されたお料理である。
 「雲林堂飲食制度集」というレシピ本のような書物があり、そのレシピ本を書いた画家からこの料理を紹介された詩人が、雲林鵝という名前をつけたと言われているそうだ
 蒸したガチョウ肉版の北京ダック、という感じだった。意外とサッパリしている。

香苗蔵凰袖
香苗蔵凰袖
 鶏の手羽に蒸した餅米やハム、香菜、干した貝柱とエビを炒めたものを詰め、黄金色になるまで揚げてある。
 外側はパリッとし、内側はジューシーで、美味しい。
 出されたお料理の中では、これが一番好きだった。

 ここで、工芸茶が供され、あとはデザートである。
 このタイミングで、今日はこれから足つぼマッサージに行って帰ろうと相談し、昨日、ガイドさんから「好きなところに迎えに来てくれて、ホテルまで送ってくれるから便利だよ。」と教わったお店にお姉さんが予約してくれた。携帯電話はやはりつながらず、お店のスタッフがメモを見てサクサクと予約の電話を入れてくれたそうだ。

多宝閣甜点集・鮮果毛公鼎
多宝閣甜点集
 いくつもの棚に様々なお菓子が載せられた多宝閣甜点集と、氷職人が毛公鼎の形に作り上げた器に果物が盛られた鮮果毛公鼎でフィニッシュだ。
 流石にこのお菓子全部は食べきれず、いくつかはテイクアウトにさせてもらった。

 私たちがこのコースをいただいていたら、周りのテーブルにいた方々が次々と興味を持ったようで、お店の人がメニューを見せて説明していたのがちょっと嬉しかった。我ながら単純だ。
 高級料理を食べ付けていない私には、3800元の価値は今ひとつ判らないけれど、見て楽しく、食べて美味しく、2時間半をかけた優雅な夕食だった。

 約束の時間より少し前にお迎えの車が来てくれ、そのまま、温莎堡視廳理容名店(ウィンザーマッサージ)に向かった。
 到着すると、店内のお客さんは日本の方がほとんどのように見えた。繁盛しているらしく、それほどの売り込みもない。足裏マッサージ(30分コース 700元)と、明日は変身写真を撮りに行くのだから少しでもと美顔マッサージ(800元)の二つをお願いした。

 美顔マッサージは、生まれて初めて受けたと思う。夜市などでよくある、糸を巻いてピッと吹き出物などを取る感じで2〜3ヶ所、あとはスチームを当てたり、マッサージをしたり、ひんやりして気持ちのいいクリームを塗ってそのまましばらく放置されたりした。
 お姉さん曰く「何となく調子がいいように感じるのは、お店の人のテクニックじゃなくて、クリームのおかげだと思う!」ということだ。確かに「手をかけてもらった」という感じではない。
 それでも、栄養分を足しました、という感じはある。すっきりした。

 足つぼマッサージはかなりソフトだった。胃のツボを押されて「痛いっ。」と思わず言ったらおじさんに笑われ、「やさしくね。」とそれ以降はさらにソフトな感じになった。ツボを押しているというよりは、マッサージしているという感じだ。
 なかなか気持ち良かった。

 マッサージを終え、お店の車でホテルに戻ったら、やっぱりライトアップは終了していた。23時になっていたのだから仕方がない。当たり前である。
 結局、圓山大飯店のライトアップは、泊まっていながら(というか、泊まっていたからこそ)見逃した。残念である。
 荷物の整理や、お風呂や、何やかやで、寝たのは0時を回っていたと思う。
 明日は、10時までに変身写真のお店に行くので、今日よりも少し早起きする予定である。

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