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2016.12.11

京都旅行記(2016)1日目その2

2016年11月20日(日曜日)

 妙心寺退蔵院に17時20分に集合し、秋のお食事付き特別拝観に参加する。
 道に迷ったら困るし、暗くなってから退蔵院を探すのは大変かも知れないと、早めに仁和寺を出て妙心寺に向かったのに、退蔵院はもの凄く判りやすいところにあって、17時過ぎには場所を確認できた。
 集合時刻までヒマだ。もう辺りは暗いし、妙心寺の拝観も終了している。何となくうろうろしていると、恐らく同じプランの参加者だろうみなさんが同じように手持ちぶさたにしていて、ほっとした。

 待ち人が多かったためか、17時15分には開門された。
 入口で名前を言って受付してもらい、同時にご朱印帳をお願いする。そのまま上がると、PCとプロジェクタがセットされて椅子が並んだお部屋に案内された。
 ご夫婦らしい方々が多い感じがする一方で、お一人の方もちらほらいて、ここでもまた少しほっとした。

 時間になると副住職の方がいらして、スライドを使って「退蔵院」について説明してくださった。
 退蔵院は妙心寺にある46の塔頭の中で最古の塔頭で、創建は600年以上前だ。
 退蔵院の「退」は陰徳を表し、その「徳」を「蔵」のようにたくさん積むという意味になる。
 1597年に再建された本堂では、後の宮本武蔵が修行をしたとも伝わる。
 退蔵院で一番有名なのは「瓢鮎図」という日本最古の水墨画だ。残念ながら、このときは上野の東京国立博物館で開催されていた臨済禅師1150年・白隠禅師250年遠諱記念 特別展「禅―心をかたちに―」 に出張中だった。

瓢鮎図 「瓢鮎図」は国宝で、禅の公案が描かれている。
 下の方に、「小さな瓢箪で大きななまずをどうやって捉えるか」という問題が絵で描かれ、上半分に京都五山の高僧31人の回答が文字で書かれているという。
 この回答は、適当というか、本気で考えていないよねー、という内容のものが多かったように記憶している。
 この「瓢鮎図」は足利四代将軍が描かせたものだという。
 副住職の方曰く、禅問答というのは、太陽を指差している姿によく例えられるそうで、お日様が「悟り」を表し、そのお日様を指差すその「指」が禅問答に当たるという。
 判らない・・・。
 禅問答を解くことが目的ではないということだけ辛うじて理解した、ような気がする。

 「瓢鮎図」というタイトルについて、「鮎」と書いてあってどうして「鯰」ではないのかと言われるそうだ。
 しかし、中国では「鯰」という字はなく、なまずのことを「鮎」と書くそうなので、このタイトルで間違いないという。なるほどね、公案のお題も元々は中国から入って来たのね、と納得した。

 方丈からは、元信の庭と呼ばれるお庭を見ることができる。
 絵師として有名な狩野元信が作庭したそうだ。
 狩野元信は絵師なので、まず襖絵にお庭を描いてから、本物のお庭を作ったという。いかにも絵師っぽいエピソードだと思う。
 今は、京都のお庭は桜や紅葉の美しさで人を呼んでいるけれど、京都の伝統の哲学においては「季節によって変わらない」「普遍」がテーマで、この元信の庭のように常緑樹で構成することが普通だったそうだ。
 
 10分ほどの説明の後、元信のお庭が見渡せる場所に案内され、床の間に飾られた「瓢鮎図」のレプリカも含め写真撮影はご自由にどうぞ、10分ほど自由時間にしますと案内があった。
 その後、方丈から出て、普段はお茶を供しているという大休庵という建物に移動し、お夕食になる。
 方丈から大休庵に向かう途中に通る余香苑というお庭は、安達美術館のお庭を造った中根金作氏が作庭したそうで、真ん中にひょうたん池が配されている。なかなか洒落た構成だ。
 「食後に時間はたっぷりとあるし、みなさんだけの貸切なので、お食事前に写真撮影に夢中になってはぐれないでください。」と注意があって、移動となった。

お膳木皿

 お夕食は、精進料理として京都で唯一ミシェランの星を獲得したという阿じろのお料理だ。
 お膳が二列、1mくらい離れて向かい合わせに並べられている。横は5人分くらいずつに分かれている。
 スタッフの方に「あなたはそちら。」「こちらから詰めてください。」と指示され、言われた場所に座る。お膳は用意されていて、ごはんやお味噌汁は後から運ばれてきた。

 お品書きは、こんな感じである。

木皿 人参紅葉 南瓜羹いちょう型 義省豆腐 小巻湯葉 長芋昆布巻 菊かぶら
木皿 白和合(林檎・蒟蒻・菊菜)
煮物 達磨うどん(葱・うす葛餡)
焼物 湯葉しんじょう パプリカ しめじ
練物 胡麻豆腐(三葉・山葵添え)
酢物 柚和合(菠薐草・菊・しめじ)
汁  国清汁(大根・人参・椎茸・揚豆腐・小芋)
御飯 白的(ひじきしぐれ添え)
香物 茎大根 塩昆布 柴漬
退蔵院謹製 紅葉のお干菓子

 ここには書いていないけれど、水菓子として梨が付いていた。
 また別料金でお酒を注文することもできる。

うどん パッと見たところでは「少ないな」と思ったけれど、これがどうして、お腹がいっぱいになった。
 何というか、気取ったところのない、素朴な感じのお料理という印象だ。噛みしめて味わえ、という感じがする。
 最後の方で出て来たおうどんは、おうどんというよりはお蕎麦といった見た目だ。きな粉を練り込んだうどんを丸めて揚げてあり、ほぐして食べてくださいという案内があった。
 お食事の最後に、焼きおにぎり(本当に真っ黒に焦がしてある)とお塩にお湯を注いだ飲み物が「お茶代わり」として供された。本来はお焦げのごはんで作ったけれど、今はおこげもできないので焼きおにぎりで作るという。
 18時半くらいまで45分くらかけてお食事を堪能した。

大休庵 食後はお庭の自由散策である。
 お食事がメインの目的の方が多いのか、食べ終わるとすぐお庭のお散歩もそこそこにお帰りになる方が多かった。
 大休庵からは、余香苑のひょうたん池を望むことができる。
 また、こちらのお庭に水琴窟があって、手水を(今さらだけれど)使わせていただき音を楽しむ。地中に素焼きの壺が埋められており、そこに水が当たることで澄んだ音を響かせてくれる。耳を澄まさないと聞こえないくらいの音であるところがまたいいと思う。

陽の庭 一度、陰陽の庭まで戻る。
 こちらは、白砂が敷き詰められた「陽の庭」と、黒砂が敷き詰められた、「陰の庭」が左右に配されている。
 陽の庭には8つ、陰の庭には7つの合計15の岩が置かれている。やっぱり偶数は陽って感じがするよね、と何となくその数を決めた誰かに親近感を持つ。恐らくは、仏教的なというのか、禅的な根拠があると思うけれど、「感じ」は重要だ。
 この余香苑には大きなシダレザクラの木があって、春には見事な花を咲かせるそうだ。

 せっかくの「独占」である。
 そう思って、もう一度ひょうたん池まで戻ってお庭のライトアップをしっかり目に焼き付け、19時頃、妙心寺退蔵院を後にした。
 妙心寺からJR花園駅まで歩き、19時16分発の京都行きに乗る。駅のホームで時間があったので母に電話すると、東京も相当に暖かい1日だったらしい。

ミニキッチンお部屋 京都駅の伊勢丹で本日のおやつ兼自分のバースデーケーキとしてジュヴァンセルのケーキを購入してから、宿に行き、チェックインした。
 お昼に預けておいた荷物とお部屋の鍵はお部屋に入れておいてくださっていた。
 簡単にお部屋の説明を受け、チェックアウトの予定時間を聞かれる。もし会えなかったら鍵はフロントのボックスに入れておいてくださいねと言われ、門限はありませんのでご自由にという説明があって終了である。
 気軽で良い。

 お部屋には既にお布団が敷かれている。
 廊下にウォータサーバがあり、コーヒーや紅茶も用意されている。
 お部屋には、加湿器や無料のwifi、ミニキッチンにはマグカップやスプーンなども用意され、滞在型の宿で「あったらいいな」と思うものがほぼ取り揃えられている感じである。
 ケーキを冷蔵庫に入れ、荷物を整理して少し減らし、20時ころ、東寺のライトアップに出かけた。

東寺入口 東寺まで宿から歩いて行ったら、30分くらいかかってへとへとになってしまった。
 帰りは電車に乗ろうと決心する。
 ライトアップと金堂と立体曼荼羅の特別拝観で800円だ。広い駐車場があって、交通整理のおじさんがいて、何というか「大々的」という感じがする。
 東寺は京都駅からも近いし、新幹線で来ると東寺の五重塔はかなり目立って「京都のシンボル」という感じがする。
 初めて来たけれど、入口を入ってすぐの水路越しに見える五重塔はやっぱり端正な姿だ。

五重塔 お庭に入ると池があり、その池越しに五重塔を望むことができる。
 入口でいただいたパンフレットを見ると、こちらのお庭の池も「瓢箪池」というらしい。
 この東寺のお庭で見た紅葉(こちらこちらこちら)が、この1泊2日の京都旅行で見た中で一番綺麗だったような気がする。

 うっかり忘れるところだったけれど、東寺の夜間拝観では、ライトアップだけでなく、金堂と講堂の立体曼荼羅を特別拝観することができる。
 まずは、金堂に向かう。
 五重塔も金堂も、まず建物が国宝である。
 そして、金堂にお祀りされているご本尊の、薬師如来座像、日光菩薩と月光菩薩はいずれも重要文化財である。薬師如来の台座には十二神将も配置されている。
 薬師如来は何故か半眼になっていて、パッと見のお顔が怖い。
 怖いと思うのに、不遜ながら「この薬師如来は私と顔が似てる」と思ったのだから、我ながら図々しいにも程がある。

 お隣の講堂は重要文化財で、その中に配されている立体曼荼羅の仏像はほぼ国宝である。
 立体曼荼羅って何? と私などは思ってしまう。要するに、絵ではなく仏像で「曼荼羅」を描いたということらしい。
 よく判らない。
 真ん中に大日如来を始めとする五智如来、向かって左に五大明王、向かって右に五大菩薩が配されている。
 それらを囲むように帝釈天や多聞天らが外側にいる。
 中心にいる大日如来の目がパッチリというかぎょろりというか、大きく眼が開かれている。お顔も薬師如来と比べるとふくよかだ。
 そして、この立体曼荼羅が立体だからなのか、やけに陰影が濃い。昼間に拝観してもこの影の濃さを感じるのだろうか。

 金堂も講堂も、端っこのベンチ状になっているところに座ってじっくりご覧になっている方が多かった。
 残念ながらそこまで向き合う素養も教養も落ち着きもない私は、それぞれ5分ずつくらいの滞在時間だった。勿体ないことである。
 出口に向かう途中の売店で御朱印(紙に書いたもの)をいただけるようだったのでお願いした。また、ここに来て龍安寺で手ぬぐいを買い忘れていたことを思い出し、明日の汗拭きタオル代わりに般若心経が一面に書かれた手ぬぐいを購入する。

 帰りは東寺駅から一駅近鉄に乗って京都駅まで戻った。やはり全部歩くより楽である。
 近鉄もSUICAが使えるのねと思う。もしかして、京都市バスもSUICAで乗れたんだろうか。
 今日は青空を見ることはできなかったけれど、夕食後にポツッと来たかなというくらいの雨があっただけで降られずに済んだ。ラッキーである。
 そして、ライトアップは雨さえ降らなければ空模様が関係ないところが素晴らしいと思う。

バースデーケーキ 宿のお部屋に戻って、お風呂にお湯を溜めつつ、ミニキッチンでお湯を沸かしてコーヒーを入れ、夕方に買ってきたケーキをいただいた。
 美味しい。
 数えるほどしか京都に旅行していないけれど、でも、その数少ない京都に来る度に食べている気がする。

 23時過ぎにお風呂に入り、iPadの目覚ましをセットする。
 歩きすぎて疲れてしまい、荷物の整理や買って来た絵はがきを書くなどやりたいことが色々とありつつ、日付が変わる前に就寝した。

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