大山 山歩き旅行記
2019年5月25日(土曜日)
ニュージーランドから帰ってきて、そういえば全く歩いていないし山にも行っていないし階段も使わなくなったし、何より4月に職場が変わってからストレスフルな毎日で残業ばかり、元々ない体力がさらに低下していたにも関わらず、うっかり「山歩き講習会<楽になる山歩き編>丹沢大山」に申し込んでいた。
キャンセルするという発想も浮かばず、前日も残業して帰り、それから荷造り、だいぶ寝不足のままで出かけた。
9時30分に大山ケーブルバス停に集合である。
伊勢原駅に8時22分に到着し、45分発のバスに乗るまでにお手洗いも済ませられるだろうと思っていたところ、間に合いはしたものの、だいぶ混雑していて驚いた。
大山行きのバスもすでに列ができている。
バスを待っている間も、このピーカンのお天気で日差しも強く、暑くなってきて驚いた。
駅前に阿夫利神社の鳥居が立っていて、どれくらい手前から鳥居が立っているんだろうと思う。
バスに次々と並んでいた人が乗り込み、ぎりぎり座れたときにはほっとした。25分の山道のバスを座れるか座れないかはかなり重要である。
9時10分くらいに大山ケーブルバス停に到着した。
スタッフの方がすでに2名待機されていて、受付をしてもらう。
集合は9時30分なので、お手洗いもありますし身支度を済ませてまた集まってくださいと案内があった。
今持っている水分が500mlと300mlのペットボトル1本ずつで、30度近くまで気温が上がるという天気予報だし、もう1本買い足すかどうか迷って、とりあえず見送った。
9時半に再集合したところ、本日の参加者は11名だった。
簡単な自己紹介があり、本当の初心者は私くらいなもので、みなさん、日常的に山登りをされている方ばかりのようだ。
まずは、湿度は低いものの今日は暑くなるので水分補給はこまめに多めにしましょう、山頂にも売店がありますが開いていないときもあるので当てにしないように、ヒルが出ることもあるので藪の中には入らないようにしましょう、後は追々、という説明があり、まずケーブルカー駅に向けて歩き始めた。
この、ケーブルカー駅までの道のりがまず辛い。
10分くらいのものだけれど、階段、平らな道、階段、ちょっと上っている道、階段、という感じになる。
暑いし、階段ばっかりだし、果てしない心持ちがしてきて、ケーブルカー駅までの道のりですでにバテてしまった。
大汗もかいたし、サングラスを持ってくれば良かったなぁと思う。
各自でケーブルカーの片道切符を購入して列に並ぶ。結構な列が出来ていて、10時発のケーブルカーは満員で乗れず、10分発の臨時便にも乗りきれず、ツアーメンバーのうち3人は10時20分発のケーブルカーでの移動となったらしい。
眺めを楽しむも良し、神社にお参りするも良し、売店で飲み物等を買い足すのも良し、お手洗いもありますという案内があって、10時30分に阿夫利神社境内に集合になった。
あら、御朱印帳を持ってくれば良かったかしらと思った。忘れ物の多い山歩きである。
神社の境内にある木陰で講習開始となった。
まずは服装(レイヤリング)からである。
登山では身体のコンディションを整えることが重要であり、かつそれをなるべく少ない装備で達成することが望ましい。
つまりは「組み合わせ」で工夫することになる。
ベースレイヤーはつまり「肌に一番近い場所」に着るもののことだから、速乾性がポイントである。
夏でも、汗をかいた後で休んでいるときに風が吹けば冷えてしまい、低体温症になることがあるそうだ。
常にさらっとしている必要があるので、吸水性たっぷりで速乾性のない綿は全く不向きである。化繊のTシャツがいい。
ミドルレイヤーは「ちょっと肌寒いときに羽織るもの」というイメージのようだ。
風を通さなず、かつ裏地が付いていると「寒さと風から身体を守る」という役目を果たせる。
こまめに脱ぎ着して体温調節ができるよう、ジャケットタイプのものの方が便利である。
アウターは、夏はもうレインウエア兼用で決まりだ。
何故「夏限定」なのかといえば、レインウエアは風は通さないけれど裏地はついていないので保温性がないから、だそうだ。
夏でとんでもなく寒いと思ったら、この3枚を全部着込んで、ミドルレイヤーの保温性をアウターで守る、ということになる。
冬山でも基本的に選び方は同じだけれど、体感温度などは人によって違うので、組み合わせはそれこそ千差万別だ。
荷物についても「効率のいいパッキング」の方法があるという。
基本的に下の方と外側(身体から遠いところ)に軽いもの、上の方と背中側に重い物を入れる。けれども、すぐ使うものは上の方に入れておきたいので、なかなか理想通りには行かないものである。
かつ、重い物を入れるときも左右のバランスを考え、一番重い物は真ん中に入れると良い。
ザックは「大は小を兼ねない」そうだ。
あまりにもパンパンになっていると出し入れが大変になるので、8割くらいがちょうどいい。
逆に余裕がありすぎると、ザックの中で荷物が動いてしまうので、背負いにくく疲れやすくなると言う。なかなか難しいものである。
ザックの背負い方も順番があって、まず最初に締めるのは腰のベルトである。
容量の小さいリュックの場合は細い紐であることも多いので、この場合は「横揺れ防止」の機能だと考えれば良い。一方、パットがあるような太いベルトの場合は腰骨を覆う位置にベルトを締めると、そこにザックの重量がかかるので肩への負担を減らせる。
肩紐は、背中とザックが付くようにひたすらぎゅっと締める。
チェストベルトは「好みです」と突然にアバウトになるのが可笑しい。
靴の履き方もあって、つま先に余裕が必要なので、靴紐で締める前にまず靴と足を踵で合わせるのが重要である。
その上で、靴紐に指が入れられないくらいの加減で上まで靴紐を順番に締める。
靴が足にフィットしていれば靴擦れしないし、軽く感じるし、いいことずくめである。
紐の結び方は、以前に山ツアーでおじさんに教わった方法と同じだった。
準備体操をし、身支度をし(ここで羽織っていた長袖シャツを脱いで半袖Tシャツ1枚になった)、再度、水分補給に注意があって、10時50分くらいに神社(下社)の奥にある登山口をスタートした。
今日は富士見台を経由して山頂にある神社の本社まで行ってそこでお昼、ヤビツ峠に下りてバス停で解散という行程である。
スタッフの方も「まず急登」とおっしゃっていたとおり、いきなり階段である。
この辺りで、早くも「ストックを持ってくるべきだった!」と後悔する。迷った末、置いて来たのが恨めしい。
石段が終わっても、ずーっとこんな感じの上り坂か、岩の階段が続いた。
暑いし、ずっと登りだし、とにかくバテる。
チョコやドライフルーツを口にして、エネルギー補給をする。ついでに水分も摂る。
登り坂の途中で「歩き方講座」も入る。
トレッキングシューズの底は固い。それは足場の悪さを靴で吸収して足に影響させないためである。
しかし、固いということは屈曲しないということなので、トレッキングシューズではつま先で蹴り出して歩くということができない。
そうなると「足を平らに置いて歩く」のが望ましいということになる。
足を平らに置くことにより、接地面が広くなるので摩擦も大きくなり滑りにくいという効果もあるし、何より疲れにくい。
疲れにくいように歩くには、さらに歩幅が小さい方が良い。
段差などで足を大きく上げると疲れるので、段差も刻みながら、なるべく小さく身体を持ち上げながら歩くと疲れない。
ペースとしては日常で階段を上る際の半分くらいの気持ちで、できるだけゆっくり、息が切れないくらいのペースを維持する。
ついつい足下を見て歩きがちだけれど、たまに上を向くと肺が広がって空気が入りやすくなるという。
11時半くらいに夫婦杉に到着した。
もうとにかく登るのが大変で、辛いし、前を歩くツアーメンバーの方々も見えなくなるし、写真を撮るどころではなかった。
夫婦杉は全体で休憩が入ったので、「あったな」ということを覚えている。
そして、12時ジャストくらいに「天狗の鼻突き岩」に到着した。
暑いせいもあるし、スタートが遅れたこともあって、予定よりもだいぶ遅れていたようだ。先頭を歩くスタッフの方が時計を見るのを結構見かけたように思う。
ここではザックを下ろしての、ちょっと本格的な休憩になった。
まだ半分は来ていないと言われて、心が折れる。
12時半前に、(多分)富士見台に到着した。
富士山が見える。
今の時期は湿度で霞んでしまうことが多いそうで、これだけはっきり見られるのはラッキーだ。
「一気に疲れが吹き飛ぶ」とは言わないまでも、嬉しい。
みなさん、パシャパシャと写真を撮っていた。
スタッフの方に「ここからはなだらかになりますから」と言われて期待した割にはなだらかにならず、気分は黙々と足を運ぶ。
息も切れるし、思ったよりも足が上がっていないらしく、時々つまずいてヒヤっとする。
下りてきた方から「あと少しだよ」と声をかけていただき、鳥居が見えたときにはかなりほっとした。
それでも、鳥居からは石段が続き、山頂までさらに15分くらいかかったと思う。
よろよろになりながら、13時15分に山頂に到着した。
山頂で45分休憩かつお昼ごはんになった。
お社は工事中でカバーがかかっていたけれど、売店も今日は開いているようだ。
スタッフの方がお二人とも、モンベルで販売しているガーリックリゾッタを持参していた。リゾッタ・シリーズには他の味もいくつかあるらしく「それなのにお揃い」というところをお二人とも気にしているのが可笑しい。
フリーズドライでお湯を入れれば3分で温かいものが食べられるというスグレものだ。
「軽くていいんです」とおっしゃっていたけれど、お一人はバーナー持参だったし、お一人はお湯を魔法瓶に入れて持参されていたし、その分の重さを考えたら「軽い」とは一概に言えないんじゃないかなぁと思う。
とはいうものの、「傷まない」というのはポイントが高い。
私自身のごはんは、昨日の帰りにスーパーで買った菓子パンである。
もそもそとパンを食べ、水筒の麦茶を、飲みきった小さいペットボトルに移し替える。
小さいペットボトルに入れて、ウエストバッグに入れておくと、ザックを下ろさなくても水分補給ができて便利だ。背負って来たチャチャパックの外ポケットは、ペットボトルやお水を背負ったまま取り出しやすいようになっているものの、私にはまだ上手く使いこなせない。
山頂には綺麗なお手洗いがあるのも有難い。
大山のコースは「売店とトイレが整っている」ところがポイントが高いと思う。
そのお手洗いが混んでいたこともあって、山頂出発は、予定より15分くらい遅れて14時15分になっていたと思う。
今度は、ひたすら下りだ。
しかも、結構な急勾配である。
そもそも下りというのは怪我のリスクが高いそうだ。
下る場合には、特に太ももの前の筋肉を「伸ばす」ことになる。筋肉にとって「伸ばす」というのは本来の機能ではなく、「無理をしている」状態である。
また、登ってから下りている訳で、その足の持ち主である人間も体力を使い切っている。とっさの反応も鈍くなろうというものだ。
14時45分くらいにヤビツ峠への分岐に到着した。
そこから少し下りたところで「下り方講座」の開始である。
足裏全体で歩くのは、上りのときと同様である。下りの方がよりコケやすい訳だから、足裏全体で摩擦を利用しようということだと思う。
さらに、下りの場合は「一歩」ではなく「半歩ずつ」歩くくらいの気持ちでちょうど良い。
つま先から足を下ろし、そのまま平らに下ろす。足を下ろすときには膝をできるだけ柔らかく使うと良い。
上に残した方の軸足の太ももで踏ん張って身体を支え、両足の膝を緩めて「ドン」とならないように着地する。
ストックがあれば筋力不足をある程度カバーできるので、ストックが活躍するのは登りよりもむしろ下りだと言う。
段差が小さいときはそれでいいけれど、ある程度以上の段差の場合は、後ろを向いて下りると足腰への負担が軽くなるし、怖くない。
段差に座って下りようとすると、ザックが引っかかって前につんのめるような格好になることもあるので危ない。ここでつんのめったら顔面から突っ込むしかなくなってしまう。
流石にそれは避けたい。
途中、短い「鎖場」もあって、なかなか変化に富んでいる。
ヤビツ峠まで1.1kmの地点に到達したときには15時15分になっていて、15時30分到着予定を守るのは難しそうである。
スタッフの方に「30分には着きませんが、51分のバスには間に合います」と言われ、大分緩やかになった坂道を下る。
確かに、15時48分、ヤビツ峠バス停に到着した。
バスの時間も迫っているので、お話や挨拶もそこそこに解散である。
バス停にもお手洗いがあるのが有難い。
まだお一人は到着しておらず、またバスは結構な乗車率で16時11分の次のバスまで待って座って行こうかと迷いつつ、結局は「早く帰りたい」という誘惑に負けてバスに乗り込んだ。
秦野駅に到着したのは16時35分くらいだった。
ちょうど41分発の快速急行があったので、ペットボトルのお茶だけ買って乗り込む。涼しい。
買ったお茶をごくごく飲んでしまい、歩き始めた時点で800mlというのはちょっと足りなかった、大汗もかいたし、水分補給に失敗したかも、と思う。
重いので敬遠してしまったけれど、お水は多すぎるくらいでちょうどいいのかも知れない。
丁寧に「歩き方」を教えてもらい、ペースも作ってもらい、体力の落ちている私にはかなりキツめのコースではあったけれど、なかなか楽しかったしためになった。
少しずつまた歩けたらいいなぁと思っている。
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