「走れメルス」千秋楽を見る
「走れメルス 少女の唇からはダイナマイト!」 NODA・MAP
作 野田秀樹
演出 野田秀樹
出演 深津絵里/中村勘太郎/小西真奈美/河原雅彦/古田新太
小松和重/浅野和之/松村武/腹筋善之介/六角慎司/櫻井章喜
野田秀樹/峯村リエ/濱田マリ/池谷のぶえ
観劇日 2005年1月30日(日曜日) 午後2時開演 千秋楽
劇場 シアターコクーン 1階Q列24番
料金 9000円
1本のお芝居を複数回見ることは滅多にしないのだけれど、珍しく2回見に行ってきた。
2階席からは見えなかった一部の映像が、1階席から見て初めて判ったのが嬉しかった。
急病で休演していた六角慎司さんが復帰していた。休演していた前回も、復帰していた今回も、アンサンブルに不安も違和感もなくお芝居が演じられていたことに驚く。途中までは六角さんが戻っていることに気がつかなかった。
4回(だったと思う)のアンコールの最後はスタンディングオーべーション。幸福な時間だった。
お芝居の感想は以下に。
今回は後方だけれど1階席で、それだけでも舞台との近さが違う気がした。舞台からの直線距離はほとんど変わらないと思うのだけれど、舞台上の役者さん達の視線が確かに届いている、という感じがした。2回目の観劇だということで、見る側の私の心持ちも違ったのかもしれない。
今回は、私の中で「走れメルス」というお芝居は、深津絵里演じるところの芙蓉と中村勘太郎演じるところのスルメとの恋物語だった。あまりにも待ちすぎてしまった芙蓉さんが向こう岸を作り、メルスを作り、集積回路工場の事故のその後を作ってしまった。そして、その待つ力に引き寄せられたスルメが芙蓉さんに恋をして、どんどん壊れていって、スルメに殺されることで芙蓉さんの待つ時間がやっと終わり、向こう岸も消える。
そういう物語に見えた。
根拠とか傍証とかは全くない。単純に私にはそう見えた、ということだ。
でも、お芝居の中で鳥肌が立った瞬間は、芙蓉さんとスルメのシーンではなく、小西真奈美演じるところの零子さんが、艦隊を率いている河原雅彦演じるところのメルスの隣で日本艦隊の軍船の名前を連呼しているシーンだった。何故だろう。理由はよく判らない。
野田さんと古田さんのシーンは「いつもより余計に遊んでおります」という感じだった(笑)。
このシーンを見ているときに、アカドクロのDVD副音声で古田さんが「息を切らしているのは演技だっちゅーの!」と強調していたのを思いだした。きっと今回も、野田さんも古田さんも、息を切らしているのは演技だったんだろう。それが笑えて、かつうるさくならないのは、お二方とも自分を突き放しているからじゃないか、という気がした。
ラストシーンに零子さんだけが登場しないのは何故なんだろう、とふと思った。
アンコール、拍手、スタンディングオーべーション。
多分、誰も泣いていなくて、みんな晴れやかに笑っていた、と思う。
悲しいお芝居だったけど、幸福な時間だった。
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