「TRUTH」を見る

　「TRUTH」演劇集団キャラメルボックス　劇団創立20周年記念公演1
作・演出　成井豊　真柴あずき
出演　岡田達也／上川隆也／大内厚雄
　　　　小川江利子／細見大輔／岡田さつき
　　　　篠田剛／岡内美喜子／畑中智行／筒井俊作
　　　　川原和久（劇団ショーマ）
観劇日　2005年3月26日（土曜日） 午後2時開演
劇場　サンシャイン劇場　1階5列28番
料金　5500円
上演時間　2時間（アンコールを含めると約2時間半）

　キャラメルボックスのお芝居は久しぶりである。上川隆也がキャラメルボックスのお芝居に出演するのは2年ぶりくらいではないだろうか。
　明日が東京千秋楽ということもあり、大盛況。アンコールも4回あった。
　明日の東京千秋楽は、当日券が若干出るかも知れない、という状況のようだ。劇場に入れなかった人は、ワールドインポートの何とかホールで生中継を見ることができるらしい。

　ネタバレがあるので感想は以下に。

　ここ何本かのキャラメルボックスのお芝居は見ていない。
　去年の「スキップ」をどうしようかかなり悩んで、原作が好きだからやっぱりやめておこうと思って、ちょっと後悔した。
　それもあるし、何より上川隆也が2年ぶりでキャラメルボックスの舞台に立つと聞いて、チケットを取った。

　初演も見ていてストーリーも知っているのだけれど、やっぱり少し泣いてしまった。
　5列28番は前から3列目の一番端の席だったので、舞台全体を見るよりも、つい目の前にいる役者さんを見てしまう。殺陣を楽しむには不向きだったかも知れないけれど、その代わり舞台や登場人物をとても近く感じることができた。

　ここしばらくキャラメルボックスのお芝居を見ていなかった理由のひとつに、「話のつじつまがあっていないんじゃないの？」と思う新作が何回か続いたということがある。
　「TRUTH」はアンケートで再演希望が多かったと聞いているけれど、今回は上演中に「破綻のないお芝居だな」と思った。ストーリー展開も覚えているし、主役3人を初演と同じ役者（岡田達也、上川隆也、大内厚雄）が演じていることもあって、安心して見ていられる。楽しめた。

　上川隆也は絶好調。殺陣も笑いも一人でかっさらってゆく。屈折した裏切り者の役なのだけれど、それがまたよく似合う。誠実な好青年といった役どころよりもぴったりしているという感じがする。
　それでも「上川隆也一人勝ち」の舞台にならなかったのは、主役の岡田達也の力量だと思う。彼は有能で沈着冷静な好青年を演じているのだけれど、それがまたぴたりとはまって説得力がある。普通に考えれば屈折しまくった上川隆也演じる鏡吾の方が存在感を示しやすいと思うのだけれど、それに引けをとらない。彼が場の中心にいるときは自然に彼に目が行く。それは凄いことだと思う。

　それでも「何かが足りない」という感じがしてしまったのは、3人目の主役である大内厚雄演じる英之助の一本気さと真面目さの印象が薄いせいではないかと思う。三角形の一角がどうしても弱いと感じてしまった。

　それから、ふじを演じた岡田さつきの安定感とは対照的に、小川江利子演じる初音と岡内美喜子演じる美緒の2人の女性がさらに弱い。初音さんがもっと凛として見え、美緒さんの叶わぬ恋ががもっと切なく見えていたら、この舞台の奥行きがさらに深まったように思う。
　アンコールの3回目に岡内さんが「いけてるカツラランキングをやっています」といった内容のことを言っていたけれど、小川さんと岡内さんの顔立ちに今回つけていた日本髪のカツラが合っていないんじゃないかという気もした。

　そのアンコールは4回。
　最初に細見さんが挨拶。「ビッグなビッグなゲストを」と言ったところで上川さんが一歩前に出たのはご愛敬。もちろんショーマの川原さんのことである。
　次に岡田さんが中心になって礼。
　3回目が岡内さんの挨拶。ちなみに、現在「いけてるカツラ」の1位と2位を篠田さんが一人で争っているのだそうだ。
　最後に岡田さんと上川さんが2人だけで出てきて、一丁締め（ってこの字？）で締めた。