« 「新編 吾輩は猫である」の抽選予約に申し込む | トップページ | 「桜姫」の抽選予約に申し込む »

2005.04.03

「キャンディーズ」を見る

 「キャンディーズ」G2プロデュース
作・演出 G2
出演 須藤理彩/長谷川朝晴/竹下宏太郎/新谷真弓
    木下政治/内田滋/豊原里美/草野徹
    菅原永二/廣川三憲/山西惇/陰山泰/久保酎吉
観劇日 2005年4月2日(土曜日) 午後7時開演
劇場 本多劇場 A列6番
料金 5800円
上演時間 2時間20分

 特に理由もなく「G2プロデュースの公演だからパルコ劇場だろう」と家を出る直前まで思っていて、ふとチケットを見たら本多劇場だった。本当に事前に気がついて良かった。
 本多劇場のA列は正真正銘の最前列。舞台との近さを実感した。
 ロビーでDVD等の販売も行われていて、「天才脚本家」も売っていた。Webサイトには受注生産って書いてあったのにー! よっぽどロビーで購入してWebサイトでの予約をキャンセルしようかと思ったけど、混雑するところでそんな面倒なことを言い出すのも気が引けて、おとなしくパンフレット(1200円)だけを購入して帰ってきた。
 土曜の夜公演なのに空席がちらほら。恐らく当日券も出ていると思う。お勧めである。

 感想は以下に。

 ちらしの惹句が「想いは口にすると泡のように消えてしまう。そう信じられていた時代、一人の石けん職人が、恋をした」だった。
 前作が「ざりがに魔人」だったせいなのか、てっきりファンタジーというか異世界のお話だろうと思っていたら、実は第二次世界大戦を挟んだ昭和初期を舞台にしたお話だった。昭和9年と昭和30年という2つの時代を行き来しつつ、お芝居が進んでいく。

 昭和30年では、石けん工場にたまたま友人を訪ねて来た須藤理彩演じる社長令嬢が成り行きで社員になり、工場閉鎖と闘うために労働組合を結成し、その代表になってしまう。
 親が決めた許嫁である木下政治演じる専務と労働組合代表として対決し、工場で「牛若丸」という石けんを作ることだけにこだわる長谷川朝晴演じる石けん職人と喧嘩し反発しでも惹かれ合っていく。

 一方、やけに煮え切らない石けん職人の最初の恋が語られるのが昭和9年である。石けん工場に入社し、同期入社の2人が、須藤理彩が2役で演じる事務員の女の子を挟んで三角関係になる。
 主人公の石けん職人はその女の子が好きで、女の子も彼のことが好きなのに、想いを伝えることができない不器用な2人はすれ違い、そのすれ違いが親方のショッキングな死という悲劇を招き寄せて行く。

 パンフレットを読むと、主演の2人は直球勝負の恋愛物にひたすら「恥ずかしい」を連発している。
 確かに初々しい「言葉には出せないけれど表情と態度で惹かれ合っていることが判ってしまう」感じが伝わって来た。
 作・演出のG2も「王道といえばラブストーリー」と言っている。

 でも、「恋愛物」というのはパンフレットを読んだから出てきたまとめ方で、お芝居を見ているときは、そこに集まって目的に向かって一つの方向を見ている人たちのお話に感情移入していた気がする。
 昭和9年はオリーブオイルから最高級の石けんを作ろうとしている「職人」の物語、昭和29年は今自分たちが働いている工場で働き続けたいと願う人たちの「労働組合の草創期」の物語、その2つの物語をつなげているのが主人公の「石けん職人」の恋心、という風に見えた。

 親方を演じた久保酎吉さんの頑固一徹な品質に徹底的に拘る様子や、判っていてケチな社長を自ら演じている社長をさらに演じている山西惇さんのハマリ方や、中間管理職に悲哀って労働組合ができはじめた頃からあったのねと思わせる竹下宏太郎さんの工場長や、工場で起こったことを見守り続け自分がそこにいるのに語りも務めてしまう人生を降りた感じの工員を演じる陰山泰さんの穏やかさ、特に男性陣に渋くて人間味が滲み出ていたと思う。

 ラストシーンでは昭和30年に戻り、新天地で石けんを作り続けようという希望で終わる。特に20年前の悲劇の遠因となる嘘を語った草野徹演じる永井のあっけらかんさとその彼が解決策を提供するという強引さに??という気持ちになったのも本当だ。そこだけ、まだ自分の中で整理できないのだけれど、でもいいお芝居を見たと思う。

|

« 「新編 吾輩は猫である」の抽選予約に申し込む | トップページ | 「桜姫」の抽選予約に申し込む »

*芝居」カテゴリの記事

*感想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「キャンディーズ」を見る:

« 「新編 吾輩は猫である」の抽選予約に申し込む | トップページ | 「桜姫」の抽選予約に申し込む »