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2005.04.25

「SWAN LAKE」を見る

「MATTHEW BOURNE'S SWAN LAKE」
演出・振付 マシュー・ボーン
美術 レズ・ブラザーストン
照明 リック・フィッシャー
音楽 ピョートル・チャイコフスキー
出演 
 ザ・スワン/ザ・ストレンジャー ジェイソン・パイパー
 王子 クリストファー・マーニー
 女王 ニコラ・トラナ
 執事 アランーモーズリー
 ガールフレンド ソフィア・ハードリー
 幼年の王子 ギャブ・パーサンド
 外
指揮者 ブレット・モリス
管弦楽 東京フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター 荒井英治
観劇日 2005年4月23日(土曜日) 午後6時開演
劇場 オーチャードホール 2階2列30番
料金 15000円
上演時間 2時間30分(20分の休憩あり)

 バレエはほとんど見たことがない。でも、どうせ見るなら録音テープではなく生演奏で聴きたいし見たいと思った。
 2階席だったのでオーケストラピットも見えたし、舞台全体を見渡すことができた。最初は「S席なのに2階席!?」と思ったけれど、却って良かったんじゃないかと思う。
 記憶にある限りでは、「白鳥の湖」はK-バレエカンパニー版を見たことがあるだけである。
 いわゆる正統的な「白鳥の湖」を見ていれば、もっと激しいインパクトが得られたのではないかと思う。あるいは、見終わってから行ってみた公式サイトで予習しておけば良かったかも知れない。
 ネタバレもあるので、感想は以下に。
 

 毎度のように書いているけれど、いわゆる正統的な「白鳥の湖」というバレエを多分見たことがない。
 ぼんやりと「白鳥の湖」のストーリーは知っているけれど、あまりきちんと覚えてはいない。
 K-バレエカンパニー版の「白鳥の湖」は、やはり熊川哲也の踊る「王子」が主役だった、という印象が残っている。
 マシュー・ボーンの「白鳥の湖」については、白鳥を踊るのは男性であり「ザ・スワン」と「王子」が主役である、主役クラスの配役が当日にならないと発表にならない、見たいダンサーの踊る舞台を求めるリピーターが大勢いる、という物凄く断片的な情報だけを持っていた。
 そういう状態で見に行った。

 古典バレエの名作である「白鳥の湖」をここまで大胆な解釈と演出で作り替えた、というところが、「マシュー・ボーンの白鳥の湖」の最大の売りだと思う。
 だから、正統的な「白鳥の湖」を始めとする古典バレエをほとんど見たことがない私には、そのインパクトがほとんど存在しなかった。こういう「新しい解釈」を衝撃を持って受け止めるには観る側にも教養と感性が要求されるのだなということを、本当にしみじみと実感した。

 だから先に言い訳をしてしまうと、これはバレエについて本当に何にも知らない全くの素人の私が思ってしまった感想である。だから、ファンの方、怒らないでください。

・黒い衣装が多用されているシックな舞台は格好良かったけれど、床が濃いグレーなんだから黒い衣装じゃ(多分、超絶技巧が展開されているのだろう)足元が良く見えないじゃない! と思ってしまった。

・ 「子供の王子」から「今の王子」にどこで入れ替わったのか、全然気がつかなかった。

・王子は、何だか「あんまり物を考えていない、無邪気と言えば無邪気、自覚がないと言えば自覚がない、人は良いのだけれどちょっとお莫迦」というキャラクターに見えてしまった。
 そのせいか、「ザ・スワン」と王子が2人で踊っているシーンは、「ザ・スワン」が王子を誘惑し、王子があっさりとその魅力の軍門に下る、その過程を見せているように思えた。

・王子の寝室に現れる白いロングスカートの女性が女王(王子の母親)であることを、見終わってSWAN LAKEのサイトを見て初めて知ってしまった。
 見ているときは「王子が自分の女官に言い寄っているのかな」とか「幻の理想の女性なのかな」とか思っていたので、かなり歪んだ解釈をしていたようだ・・・。
 でも、白いロングスカートの女性が女王ならば、この王子は相当なマザコンということになるのではないだろうか・・・。

・「ザ・スワン」の背中がとても凛々しかった。背中で全てを語っているように見えた。「ザ・スワン」が白鳥であることを、衣装ではなく背中で表現していた。一方で「ザ・ストレンジャー」のときは、妖しい官能的なムードを撒き散らしていて(笑)、「ザ・スワン」の孤高の背中とは全く別の魅力があった。

・白鳥たちの群舞はもっと揃っていた方が綺麗なのに、と思ってしまった。2階席から見ていたので、恐らくは技量だったり個性だったりの違いで僅かなタイミングや振りの大きさや柔らかさが違っていて、それが群舞の迫力を減らしてしまっていたような気がした。
 例えばラスト近くの、「ザ・スワン」が白鳥の群れに一人立ち向かうシーンでも、白鳥たちが一糸乱れずに襲いかかっていたらもっと恐怖感と威圧感が出たように思う。
 でも、白鳥たちの群舞は大きくて迫力があって力強くて、舞台がとてもとても小さく見えた。「四羽の白鳥の踊り」も断然こちらの方が格好良かった。

・ラストシーンは、「王子が死によって救われた」のではなく、「とうとうザ・スワンが王子を手に入れた」という風に見えた。

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