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「レ・ミゼラブル」
作 ラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
潤色・演出 ジョン・ケアード/トレバー・ナン
出演 <ジャン・バルジャン>山口祐一郎
<ファンティーヌ>マルシア
<コゼット>知念里奈
<ジャベール>岡幸二郎
<テナルディエ>徳井優
<アンジョルラス>坂元健児
<エポニーヌ>笹本玲奈
<マリウス>泉見洋平
<マダム・テナルディエ>森公美子
観劇日 2005年5月5日(木曜日)午後5時開演
劇場 帝国劇場 1階L列12番
料金 13500円
上演時間 3時間20分(30分の休憩あり)
ミュージカルはほとんど見ないので「レ・ミゼラブル」も今まで見たことがなかったのだけれど、上演回数が2000回になると聞いて、これは1度は見ておかなくては、という気持ちになった。
キャストが複数いてその組み合わせも様々というのは、ミュージカル初心者にとってはかなりハードルが高い。他の回を見たことはないので比べることはできないけれど、でも私の中ではいいキャストで見ることができた、と感じた。
カーテンコールの最後、少なくとも1階席はオールスタンディングになっていた。
感想は以下に。
帝国劇場でミュージカルを見たのは、10年くらい前の「マイ・フェア・レディ」と、昨年の「SHIROH」と、今回の「レ・ミゼラブル」で3回目ではないだろうか。それくらい、帝国劇場にもミュージカルにもあまり縁がなかった。
「レ・ミゼラブル」は正統派のミュージカルなのだと思う。台詞が全て歌になっていて、ソロで歌うシーンをつないで物語を運んで行く。もちろんソロの歌の後では大きな拍手が起こる。せっかく物語に入り込めそうなのに、それを中断され覚まされてしまうことに、何となく違和感があった。
印象だけれども、本当にソロ中心のミュージカルで、いわゆるアンサンブルによる歌がとても少ないように感じた。ミュージカルといえばアンサンブルでしょう、という勝手なイメージがあったので、余計に違和感があったのかも知れない。
逆に言うと、ソロを歌った役者さん達はそれぞれがみな、歌っているときにはたった1人であの大きな舞台を支えて、支えきってしまう。客席をその歌のカラーで支配してしまうパワーを感じた。
その物語は、「レ・ミゼラブル」は、子供の頃に少年少女世界文学全集で「あぁ無情」というタイトルになっているものを読んだだけである。
子供の頃に読んだこの物語の主人公は薄幸の美少女であるコゼットだった。
ミュージカル「レ・ミゼラブル」という物語の主人公は、もちろんジャン・バルジャンである。力強く歌い上げる山口祐一郎ももちろん迫力があって格好良かったけれど、どちらかというとリトル・コゼットに話しかけるように歌っているところの方が合っている気がした。
でも、このミュージカルで誰が印象に残ったかと言えば、岡幸二郎が演じたジャベール警部だった。この舞台の主役はジャベール警部なんじゃないかと思ったくらい、彼が舞台を支えて背負っているように見えた。逆に力強くパワー全開で歌い上げる方が似合う役だし役者さんだと思った。
そして、エポニーヌも印象に残る。終演後に私の頭の中を回っていたのは笹本玲奈演じるエポニーヌが夜の街を雨に打たれて彷徨っていたときの歌だった。後半は彼女の想いがストーリーを運んで行く。いい意味で美味しい役だな、と思った。
マリウスよりもアンジョルラスの方が力強く印象に残ったし、ストーリーの進行上の重要性とミュージカル・ナンバーのインパクトが一致していない、不思議なミュージカルだな、という印象だった。
あと印象に残ったのはテナルディエ夫妻。今回の徳井優と森久美子のコンビは凸凹ぶりが強調されて、全体的に暗くて重いミュージカルの雰囲気を和らげていた。2人とも嫌な奴なんだけど、コミカルで抜けていて嫌な気持ちにならない。
なんだかんだ言いつつも、しっかりミュージカルの世界を満喫した。いい舞台だった。
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