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「ゴクネコ」 花組芝居
作 小池竹見
演出 加納幸和
出演 竜小太郎/桂憲一/八代進一/水下きよし/秋葉陽司
加納幸和/各務立基/山下禎啓/溝口健二 他
観劇日 2005年6月18日(土曜日)午後1時開演
劇場 全労済スペース・ゼロ 12列5番
料金 5800円
上演時間 2時間45分(15分間の休憩あり)
ロビーでは「竜小太郎グッズ」と「花組芝居グッズ」が賑々しく売られていた。和服の生地で「花」の文字をアップリケした生成の布製バッグに惹かれたけど、いつ持ち歩くんだ? という自問自答の末、自制した。
もうひとつ、ロビーでは、磯村智彦が研修生を経て正式に座員となり、「乙貝屋(おとがいや)」という屋号もつき、とびうおの模様のお印(と書くと皇族のようだけれど)も決まりました、というご挨拶のビデオが流れていた。そのビデオでは、今回は出演していない植本潤が紹介のコメントを述べていた。
ネタバレがあるので感想は以下に。
開演前、「流し目のスナイパー」という物凄い異名を持つ竜小太郎がアナウンスをしていた。
私はもちろん初めてだけれど、周りの客席が何となくざわついたような気もした。着物姿の人もちらほら見かけたし、カーテンコールでは本当におひねりを手渡している人がいたし、熱狂的なファンがいるんだろうな、と思った。
そのアナウンスで「お話が判らなければパンフレットを買いましょう」といった趣旨のことを言っていて、「?」と思っていたのだけれど、終演後にちらしを手にとって納得した。ちらしに書いてあるあらすじと、今回の舞台のあらすじと、全く違っているのだ。
劇中で歌われる歌の歌詞は配ってくれたのだから、その紙を一回りでも大きくしてあらすじを書いておいてくれればいいのに、とちょっと思ってしまった。
私自身はちらしに書かれたあらすじをすっかり忘れていたので、全く問題なかったのだけれど。
「お話が判らない」と自ら言ってしまっているように、確かに少し判りにくい。
時間軸を飛ばすお芝居は珍しくないと思うけれど、一人二役と見せて実は同一人物だった、という設定があったりして、登場人物の関係図が複雑だからかもしれない。
お話の基本としては戦国時代から江戸時代頃のお家騒動だ。
城中の場面では特に衣装もきらびやかだし、化け猫が出没する廃寺とか、追われたお姫様が10年かけて許嫁を訪ねて行ったり、そこでは鶴ならぬ猫が恩返しをしていたり、「来た人を楽しませよう」という要素が満遍なく散らしてあるエンターテイメントだった。
だからこそ、こんなに歌と踊りが多かったんだろうと思う。
そして、それがとても楽しかった。最後まで「エンターテイメント」で貫き通した方が良かったんじゃないかと思う。ラストで正体を現した化け猫がお説教めいた話をするのに、ちょっと違和感があった。
ただ、複雑なストーリーを歌で説明して話を展開させている部分もあり、その歌のところで(恐らく)マイクの不調で聞き取りにくくなってしまったのは残念だった。
少なくとも私が見た回では、音響は全体的に不調で、不具合が多かったように思う。
竜小太郎は所作も容貌も綺麗だったし、早変わりも見事だった。今回はずっと女形をやっていたけれど、「流し目」という武器は男役のときにこそ生きるのだろうと思う。視線で殺されるところまでは行かなかった。
その竜小太郎の向こうを張って花魁から側室、果ては化け猫まで演じた加納幸和も格好良かった。加納さんの歌が一番聴きやすかったし上手かったように思う。
でも、私は八代進一ファンなので、彼が4匹の化け猫の1匹として出てきたり、奥女中のリーダーとして出てきたりすると、ついつい視線が吸い寄せられてしまった。
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