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「モーツァルト!」
脚本・作詞 ミヒャエル・クンツェ
作曲 シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞 小池修一郎
出演 中川晃教/西田ひかる/久世星佳
/高橋由美子/山口祐一郎/市村正親/他
観劇日 2005年7月14日(木曜日)午後5時45分開演
劇場 帝国劇場 2階A列16番
料金 12500円(e+の得チケで8000円で購入)
上演時間 3時間20分(25分の休憩あり)
どうしてこんなに中途半端な時間に始まるのかと思っていた。
帝国劇場に入ってみたら、昼公演は休憩が30分なのに夜公演は25分だった。そして、夜公演の終演予定が午後9時ジャストになっている。
ますます不思議に思っていたのだけれど、子役が最初から最後まで出ずっぱりだったのを見て納得した。
多分ネタバレを含んでしまうので、感想は以下に。
最近見た「レ・ミゼラブル」は出演者一人一人に見せ場があって歌いつないでいくイメージで、今日の「モーツァルト!」はどちらかというとアンサンブルやメインキャストの歌の掛け合いで魅せていくイメージだ。どちらが好きかと言えば今日の「モーツァルト!」の方が好みのタイプだ。
アンサンブルが舞台いっぱいを占めて歌い踊るシーンはコミカルな振り付けが多くて楽しかったし、メインキャストの掛け合いとぶつけあいも歌の力を堪能できた。
でも、何故かミュージカル全体の印象としては「レ・ミゼラブル」の方が強い。
何故だろうと考えてみたのだけれど、「レ・ミゼラブル」にはミュージカル音痴の私でも知っている曲が歌われていて、それで音楽の印象が強く、帰りに道につい口ずさんでしまったからじゃないかと思う。今日は帰り道につい口ずさんでしまった楽曲がなかった。
コロレド大司教の山口祐一郎、モーツァルトの父の市村正親、ナンネールの高橋由美子と役者は揃っている。Wキャスト陣も、モーツァルトの中川晃教に、ヴァルトシュテッテン男爵夫人の久世星佳、舞台では初見で正直言って少し心配だったコンスタンツェの西田ひかるも役に合っていて無難にこなしていたと思う。
何人かで掛け合いのようになったり、ハーモニーを聴かせたり、それぞれの歌詞とメロディーをぶつけ合ったり、見せ場はたくさんあったし、思わず拍手してしまうシーンもあった。
でも「鳥肌が立つ」というところまでは行かなかったように思う。
それと、実はビクトル・ユーゴーの「レ・ミゼラブル」を読んだことがない。子供用の「あぁ無情」を読んだことがあるだけで、私にとっての「あぁ無情」は少女コゼットの物語だ。だから、お話の解釈に思い入れはないし、ミュージカル「レ・ミゼラブル」によって物語の新たな面を見ることができた。
でも、モーツァルトは実在の人物ということもあるし、「アマデウス」という有名な作品もある。もっとも、だから逆に「モーツァルト!」にはサリエリは出てこないし、モーツァルトが宮廷の第二楽長になったことも語られなかったのだろう。
でも、私の中でモーツァルトの真実は「モーツァルトは子守唄を歌わない(森雅裕著)」で語られた物語なのだ。
すると、ついつい「こういう解釈しかしないの?」とか「この話は全く出てこないの?」と思ってしまって、舞台に集中できなかった部分がある。
この「モーツァルト!」というミュージカルでは、「神童」「天才」と呼ばれた頃の小さいモーツァルトが、成長したモーツァルトに常に寄り添っていた(だから子役が出ずっぱりだったのだ)。その意味が今ひとつ判らなかったのも、集中をそがれてしまった原因かも知れない。「しゃべってよ! 君が何を考えてモーツァルトの服のすそをひっぱっているのか、投げ飛ばしているのか、全然伝わってこないよ!」としょっちゅう心の中で叫んでしまった。
また、一幕と二幕の始めと幕切れに、コンスタンツェがモーツァルトのお墓を掘り返す博士に協力しているシーンが置かれているのだけれど、ここも膨らませればお話にもっと奥行きが生まれたと思う。
コロレド大司教の脳コレクションに加えられる、ということが示されていたのだと思うけれど、それだけではコンスタンツェの思いが宙に浮いてしまう。
ストーリーとしては、タイトル通りのモーツァルトの天才の物語だったと思うのだけれど、もしかするとその物語の造りと、ミュージカルとしての造りが合ってないことが違和感の元だったのかもしれない。
でも、違和感を残しつつも楽しかった。アンサンブルが楽しいので、舞台全体を見渡せる2階席はお勧めかも知れない。
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