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「好色一代女」
原作 井原西鶴
脚本 齋藤雅文
演出 山田和也
出演 佐久間良子/市川亀治郎/山崎銀之丞/宮本裕子
谷啓/近藤正臣/青山 達三/菊池 隆則
山賀 教弘/木下 政治/三村 晃弘 /赤司 まり子
香坂 千晶/片山 千恵子
観劇日 2005年9月10日 午後6時開演
劇場 ル・テアトル銀座 6列8番
料金 10000円
上演時間 3時間15分(20分の休憩あり)
客席後方(A席だと思われる)に空席が目立った。客層はかなり高め。
客席が色めき立つタイミングがよく判らなかった。置いて行かれた気分だ。多分、佐久間良子のファンが多かったのだと思う。
ネタばれできるほど判らなかったのだけれど、感想は以下に。
山崎銀之丞演じる若い武士と市川亀治郎演じる若い町人が竹林で出会い、道に迷い、「好奇心でやってきた」と嘘をつきつつ、竹林の奥に住むという佐久間良子演じる尼を訪ねるところから物語は始まる。
尼の庵には、宮本裕子演じる謎の若い女と、近藤正臣演じる謎の年老いた男がいる。
この年老いた男が近藤正臣であると舞台中盤まで気が付かなかった。
透明な竹をたくさん吊り、照明で本物の竹らしく見せたり、チューブ上に見せて色をつけたりする。
尼の庵は何故か黒子が回したり奥に押し込んだり前に引っ張って来たりする。舞台セットが楽しい。
よっぽど怪しい薬でも2人に飲ませたのか、尼の「好色一代記」を尼自身と若い女と2人がかりで演じ、物語って行く。2人がいつの間にか尼の一生を演じている中に入り込んでしまう。
二幕に入ると、「尼の一生」よりも「2人の若者の素性と目的」に舞台の重点が置かれてくる。
一幕は尼と若い女の嘘と正体の話、二幕は若者2人の嘘と正体の話がメインだと言えるかもしれない。
そして最後、町人の母が尼であったと判り、武士の母の敵が尼であったと判り、2人は斬り合った挙げ句に死んでしまう。
尼の庵の奥にある仏像は、尼が庵を結んでから殺してしまった人間たちなのではないかと思わせる。
若い女は、一人で竹林を出て行く。そして、佐久間良子の三味線で幕である。
見ている間中、何となく釈然としなかった。それは今もそうだ。
結局のところ、尼は自分の一生を懺悔する気持ちが本当にあったんだろうか。
公式ホームページには「盲目の尼」と書いてあったけど、そんな感じには見えなかった。
2人の若者に(つまりは舞台上で)語られた話は、どこまでが本当でどこからが嘘だったんだろうか。
何故2人の若者は死ぬまで斬り合わなければならなかったんだろうか。
「若い女」は一体何を考えていたんだろうか。
その辺りのことが曖昧模糊としたまま舞台は進み、終わってしまう。
マイクの声が時々乱れたり、台詞を噛む場面があったりした。 そして、役者さん達と役が合っていて、それぞれご自分の持ち味を活かせる役を演じていたせいか、肩の力を抜いて演じているようにも見えた。その両方が相まって、「造り込んだ舞台」という印象はあまり持てなかったのだと思う。
そう言いつつ、「謎が謎を呼ぶ」という造りに引きずられ、いつその真相が明かされるのかとかなり真剣に見入ってしまった。
どうでもいいことかもしれないけれど、本当の太夫の時代の花魁道中と、最後の最後に昔を思い出してやってみたといった風情での花魁道中では、足の運びが違っていた。多分、外八文字と内八文字の違いだったと思うのだけれど、何か意味があったんだろうか。
二幕冒頭、市川亀治郎が「人形」として女形の姿で登場し、人形振りで踊ったのが、とても綺麗だった。
大阪公演は市川亀治郎は出演しないのだが、このシーンはどうするのだろう。
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