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「エドモンド」
劇作・脚本 デイヴィッド・マメット
翻訳 山内あゆ子
演出 長塚圭史
出演 八嶋智人/大森博史/酒井敏也/小松和重
中村まこと/平岩紙/明星真由美/小泉今日子
観劇日 2005年9月2日 午後7時開演
劇場 青山円形劇場 Cブロック46番
料金 6500円
上演時間 1時間35分
かなりの逡巡の末、仕事を持ち帰ることで自分を納得させて(笑)、お芝居を見に行ってしまった。
えんぺの一行レビューでの評判はあまり良くない感じで、少し斜めに見てしまったのが残念。
パンフレット(600円)はどうしようか迷った末に買わなかった。
ネタばれありの感想は以下に。
最初から最後まで私の頭を離れなかったのは、「八嶋さんってこんなに小柄だったんだ」ということと、「八嶋さんって頭が大きく見える」ということだった。
ずっとエドモンドを演じる八嶋智人のことが頭から離れなかったのは、エドモンドが出ずっぱり、台詞しゃべりっぱなしの舞台だったからだ。
他の役者さんたちは入れ替わり立ち替わり、出てくるたびに役も違っていたのに、エドモンドの八嶋さんだけは最初から最後まで「エドモンド」。それだけでもインパクトがある。
妻と喧嘩して家を飛び出したエドモンドが、何だかあっという間に(恐らく一晩で)殺人を犯して警察に逮捕されるところまで堕ちてゆく、そして刑務所に入ったその後、というお話だった。
最初のシーンが「あなたは自分の居場所にいない」とエドモンドが占い師に言われるシーンだったせいか、妻に「家を飛び出す」と宣言するエドモンドの主張がかなり身勝手すぎるものだったからか、「普通の人生を送っている男」が堕ちてゆく物語には見えなかった。
どちらかというと「堕ちる素質を元々持っていた男」が堕ちてゆく物語に見えてしまった。
多分、エドモンドが切れたときの台詞回しがまるっきり翻訳調で、外国映画みたいだったのもその理由のひとつだと思う。
堕ちてゆくその最初の契機がエドモンドの「女を抱きたい」という欲望だったところも、何だか気に入らない。
何ていうか、完全に人間をモノとして見ている感じがした。
そういう居心地の悪さも含めて、エドモンドの堕ちてゆき方を追って行くに連れて、もの凄く嫌な暗い気持ちになった。それはこのお芝居の力だし、希求するところの一部ではあったと思う。
青山円形劇場の周りの壁を赤い布で覆い、舞台は黒い円形、そこに一本道が通っている感じ。
黒い床には赤い色が散っている。ペンキなのか血なのか液体の散り方だ。
その舞台の一部にライトを当てることで舞台の形や大きさや色を変えて、雰囲気を出している。
一人一役だった八嶋さん以外は、それぞれが複数の役を演じる。それが入れ替わり立ち替わりなのだけれど、小泉今日子のエドモンドの妻とグレナは二人が似ていることに意味があった筈だからそれは別にして、「またさっきの人が出てきた」という感じはない。
出てくる度に違う人物になりきっている役者さんたちがこのお芝居を本当に支えていたのだと思う。
久しぶりの明星さんは少し抑えめの感じ。もっとはじけた役の彼女を見たい。
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