「サラ」を見る
「サラ」追想で綴る女優サラ・ベルナールの一生
作 ジョン・マレル
演出 宮田恵子
出演 麻実れい/金田龍之介
観劇日 2005年10月30日 午後2時開演
劇場 サンシャイン劇場 1階14列5番
料金 8000円
上演時間 2時間30分(15分間の休憩あり)
チケットを取ったときには「2001年が初演、2003年に再演されているそうだ。まだ見たことがない。」と書いたけれど、見てみて、(恐らく再演を)見たことがあるということに気がついた。
私が見た回が千秋楽だったのだけれど、空席も多く(私は通路側の席で、反対側の通路まで1列誰もいなかった・・・)、少し寂しい感じだった。おまけに勿体ない。こんなに凝縮された舞台なのに。
ネタバレありの感想は以下に。
サラ・ベルナールという女優の生涯を、晩年の本人が、自分の世話をする召使いと演じ、彼に語り書き取らせることで表すという舞台だ。
サラの生涯は11歳から現在まで麻実れいが演じ、召使いと彼が演じることになるサラをとりまく人々を金田龍之介が演じる。二人芝居だ。
我が儘で癇癪持ちの「奥様」が、でもとても魅力的な老婦人に見えるのは、麻実れいの迫力の為せる業だ。
声色ひとつで、修道院に置き去りにされた11歳の女の子を演じ分ける。でも、「今のサラが演じている」証拠に、彼女の切断された足は何歳のサラを演じていても不自由なままだ。何だか凄い。
だから、彼女が舞台で演じた役を見せるときにマイクでエコーがかかるのは少し邪魔に感じた。照明がひときわ明るくなっただけで十分だったような気がする。
「奥様」の命じた内容を何度も忘れ、苦言を呈し、「演じろ」と言われて「それは私と奥様の雇用契約には含まれていない」と返し、「もう少しゆっくりと」と注文しながら聞き書きをする。金田龍之介演じるピトーはとてもチャーミングな人物だ。
そして、「奥様」を愛しているんだなと感じさせる。
この2人が、時にというよりはもう少し頻繁に客席を笑わせながら、何だかあまり幸せではなかったサラの一生を語ってゆく。母の愛と、夫の愛と、その両方に欠落感というか飢餓感を感じ続けたのがサラという人物だという印象を受けた。
ラストシーン、私はてっきりサラ・ベルナールが亡くなるところで幕だと思っていたのだけれど、全く違った。
サラが太陽に向かって「あなたもいつか死ぬんだ」と穏やかに、でも非常に通る声で告げるところで終わる。
何だか意外だったけど、でも、これで良かったんだという気もする。サラには「回顧録を完成させる」という義務と責任があるのだ。それが終わる前に死ぬわけにはいかない。
カーテンコールの挨拶でも、二人の役者はそれぞれの役の人物のままだった。
その二人の仕草のやりとりがとても温かく微笑ましく見えた。
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