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2005.10.09

「翼をくださいっ!さらばYS-11」を見る

「翼をくださいっ!さらばYS-11」ギンギラ太陽's
作・演出 大塚ムネト
出演 大塚ムネト/上田裕子/上野亜由美/北川宏美
    古賀今日子/杉山英美/立石義江/田中慎一郎
    中島荘太/中村卓二/吉田淳/新田玄/林雄大 他
観劇日 2005年10月9日 午後2時開演
劇場 パルコ劇場 G列3番
料金 4500円
上演時間 2時間(終演後30〜40分のおまけコーナーあり)

 終演後のおまけコーナーは、客電をつけて、舞台上にずらっと並んだ出演者のみなさまと質疑応答コーナー&この時間に限って写真撮影OK、ということだった。
 明日までの公演で、果たして見る前にこのブログを読んでくださる方がいるのかどうか不明だけれど、そんなわけでファンの方はカメラの用意を忘れずに。客席には、携帯ではなく(用意良く)デジカメで撮っている方も結構いた。

 ネタばれありの感想は以下に。

 作・演出・出演の大塚ムネト氏によると「歌舞伎のつもりでやっている」ということだったけれど、 私の印象を一言でまとめると「かぶり物で見せるプロジェクトX in 福岡」だった。
 登場人物は全員「モノ」である。スカイマークエアラインズ1号機だったり、雁ノ巣飛行場だったり、福岡空港第2ターミナルビルだったりが「登場人物」である。いわゆる「人」の登場人物は出てこない。擬人化された「モノ」が、その「モノ」に思い入れのある人々の気持ちを代弁し、それによって舞台には立っていない人の気持ちを際だたせる。

 国産飛行機のYS-11、福岡空港でもの凄く端っこに押しやられている(らしい)スカイマークエアラインズ、戦時中の特攻機、それぞれの時代に福岡空港を離発着していた飛行機達が、それぞれの思いと福岡空港を歴史の縦の連なりから語ってゆく。
 気球に占拠されている(らしい)佐賀空港や、福岡空港より長い滑走路を持つ海上空港の長崎空港が、福岡空港を横の地理的な広がりから語る。

 「かぶり物」ということだけは事前知識としてチラシから得ていたので、もっととことんエンターテイメントに徹したお芝居なのかと予想していた。
 けれど、よく考えてみれば「モノ」に語らせるということは、硬派というか社会派というか、そっち方面(いい加減な言い方で申し訳ない)に近しいところにいるということでもある。
 特攻隊の訓練に使われていたことを語るシーンや、進駐軍による飛行機の焼却処分の映像などを見ながらそう思った。
 でも、小さい声で正直に言うと、とことんエンターテイメントに徹するか、とことん風刺の面を強調するか、極端に走った方がより面白くなるんじゃないかという気がした。

 スカイマークエアラインズが黒字になったシーンから始まり、雁ノ巣飛行場から昔の話を聞き、チャーター便としてやってきたYS-11から話を聞き、最後はスカイマークエアラインズは34年ぶりの新規参入と、戦後6年目に初めて日本の空を日本の飛行機が飛んだシーンをオーバーラップさせる。
 要素が色々と詰め込まれている分、特に最初の頃はシーンのつながりが判りにくいところがあった。もう少し整理するとストーリーがつながって話に入り込みやすくなるように思った。

 それにしても「東京銘菓」として売られている「ひよこ」が元は福岡銘菓だったとは知らなかった。
 ついでに、ロイヤルホストが元は機内食サービスの会社として出発したことも知らなかった。 

 おまけコーナーは、「ゆるーい感じですから」「適当に帰っていただいていいですから」と何度も自ら言っていたけれど、本当にそんな感じだった。
 何かオチがあるんじゃないかと最後まで見ていたけれど、本当に「質問コーナー」で終わってしまった。
 「○○さんの高校の同級生です」とか「20年ぶりの再会です。あとで楽屋に行ってもいいですか」なんていう質問が出ていたのが可笑しかった。
 裏話は聞かなかった方がお芝居として楽しめたような気もする。と思うくらい、ほとんどの質問に正直にまじめに答えてもらえていたのは確かだ。

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