「トランス」を見る
「トランス」KOKAMI@network
作・演出 鴻上尚史
(elder ver.)
出演 松本紀保/みのすけ/猪野学
観劇日 2005年11月26日 午後2時開演
劇場 紀伊國屋ホール D列1番
料金 5800円
上演時間 2時間
(youth ver.)
出演 高橋一生/すほうれいこ/瀬川亮
観劇日 2005年11月26日 午後7時開演
劇場 紀伊國屋ホール D列15番
料金 5800円
上演時間 2時間
千秋楽の1日前に1日で両バージョンを見た。
流石に印象が混ざる部分はあるけれど、1日で両バージョン見てかつこの順番で良かったんじゃないかと思う。
ロビーで、両バージョンの半券を提示するとクリアファイルがもらえた。もちろんいただく。
鴻上さんの著作(全てサイン入り)とサードステージ作品のDVDが販売されていて、「ビューティフル・サンディ」のDVDを購入した。売り子のお兄さんに「パンフレットは?」と聞かれたけれど、今回は見送り。両バージョン込みで1冊1500円。
ネタバレありの感想は以下に。
ネタバレありとは言っても、再演の作品で、鴻上尚史作品としては(多分)珍しいことに台本をあまりいじっていない。細かいギャグも結構そのまま使っていたりする。
なので、特に初演を見ていたり、私のように直前にDVDを見てしまったりすると、ついつい比べてしまうことになると思う。
かつ、この2つのバージョンで台詞の違いはほとんどなかったと思う。夜にyouthを見ているときには、初演と直前に見たelderとを思い浮かべつつ比べてしまうことになった。
それはそれで面白かったし、elderからyouthという順番で見て私としては正解だったと思うけれど、まっさらで見たらどんな印象を受けたんだろう、とも思う。
両バージョンのセットは壁は一緒だけれど、床が違う。
elderでは抽象的な感じでキューブを椅子に見立てたり机に見立てたりするけれど、youthでは椅子や机がある。全体的に白っぽい色彩のない感じは共通している。
舞台セットについてひとつだけ文句を言うと、両バージョンとも舞台の一番手前の両脇にスピーカーが立てられている。elderを見たときは一番端の席だったので、そのスピーカーに邪魔されて俳優さん達が見えないシーンがいくつかあった。もう少し何とかならなかったのかな、という気がする。
両バージョンとも開演前の音楽は、「ピルグリム」のオープニングで使われていた曲(ごめんなさい、タイトルetc.は知らないので)だった。
elderの方はそのままノスタルジックに、初演を意識した作りになっていたように思う。音楽もいくつか初演と同じものを使っていたし、「古今東西有名人」で陛下が出題するのも同じ「鬼太郎のおやじ」だったし、(私の受け取り方の問題かも知れないけれど)俳優さん達の演技も初演を意識して、少し無理をしているように感じられた。その中で、みのすけさんの「陛下」と「雅人」が際立って自然だったと思う。
ただ、受け取り方というなら、そもそもelderの客席は初演を知っている人が多かったんじゃないかと思う。ギャグに対する反応なんかを聞いていてそう思った。
引き続き夜に見たyouthの方が、3人のバランスが良いように思えた。
少しやんちゃな感じの天皇になっていた高橋一生と、何故かおかまがハマって見えた瀬川亮と、私好みのよく通る声とイントネーションでしゃべっていたすほうれいこ。はしゃいで遊ぶシーンでも、この3人で遊んでいると無理なく自然にはしゃいでいるように見える。
演出なのか、役者さん達の個性なのか、割と多い長めの台詞のときに殊更間を置かないようにしゃべることで、初演ともelderとも違う雰囲気が漂っていたと思う。
再演や木野花演出バージョンを見たときにはあまり感じなかった「初演」のイメージが、どうしてもダブったり透けたりした。それって、もしかしてやっぱりビデオやDVDの功罪なんじゃなかろうかと思う。
それから、DVDを買ったから言うわけでもないのだけれど、瀬川亮がヒロを演じる「ビューティフル・サンディ」を見てみたいな、と思った。
<2005年11月30日 追記>
初演と今回の再演とで印象が似ているのは、登場人物3人の関係性というかバランスが似ているんじゃないだろうか。それは役者さん達の個性のバランスかも知れないし、役者さん達が演じようとしている方向性かも知れないし、演出で作り出そうとしている世界観かも知れない。
もの凄く単純な例で言うと、雅人が体育会系で、参蔵がひ弱な美少年でも良かったんじゃないかしら、ということなんだけど、この例ではあまりにも私の頭が単純すぎる気もする。
でも、例えば、体育会系の雅人とひ弱な美少年の参三と雅人よりもっと体育会系の礼子では、「トランス」というこのお芝居は成立しないのかしら、とふと思った。
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