「贋作・罪と罰」を見る
「贋作・罪と罰」NODA・MAP
作・演出・出演 野田秀樹
出演 松たか子/古田新太/段田安則/宇梶剛士
美波/マギー/右近健一/小松和重/
村岡希美/中村まこと/進藤健太郎
観劇日 2005年12月29日 午後7時開演
劇場 シアターコクーン P列24番
料金 9000円
上演時間 2時間10分
年の瀬だからなのか、空席がちらほら。勿体ない。
パンフレット1000円は悩んだ末に購入しなかった。年明けにもう1回見る予定なので、そのときに買うかも知れない。
2005年最後の観劇が「贋作・罪と罰」で、2006年最初の観劇も「贋作・罪と罰」の予定だ。
何だかそれはとてもとても贅沢なことのように思う。
ネタバレありの感想は以下に。
「贋作・罪と罰」の初演は見ている。原作は(多分)読んでいない。
「すっくと舞台にたつ大竹しのぶ」「自分の正義を叫ぶ大竹しのぶ」をビジュアルでくっきり思い出せるので、それは確かだと思う。
けれど、今回見始めてすぐに、ストーリー・登場人物その他諸々全く覚えていないことが判った。
NODA・MAPの公式Webサイト内、初演の公演記録はこちら。
見ていてずっと印象としてあったのは、「今回のお芝居は随分ゆっくりなんだな」ということだった。
野田秀樹のお芝居は圧倒的な情報量を凄まじいスピードで並べてゆく、という印象が強くて、いつも「あ、また聞き逃した」とか「あ、今何かを取りこぼした」と思い続けながら見ることになるのだけれど、今回はそれが全くと言っていいほどなかった。
特に「ええじゃないか」を企てる人々のシーンや酒場のシーンでは、普通の速度でみんなしゃべっているにも関わらず、まるでスローモーションのような印象を受けた。
コクーンの劇場を作り替えて、前後から舞台を挟む形で客席が作られている。
コクーンはもともと横にも座席があるから、ほとんど四方八方から見られている状態だ。当然のことながら、後ろ向きで話される台詞も横顔しか見えないことも多いのだけれど、ちゃんと聞こえたし見ることができた。
舞台には幕はなく、代わりにカーテンのような布が両脇から出てきたり引かれたりして、「ある場面」を隠したり際だたせたりする。
舞台の周りを一周して通路があり、椅子などのセットが置かれ、役者さん達は音響や大道具を兼ねている感じだ。「全部見せます」という感じだ。
松たか子の「英」は、似合っていたと思う。こういう強気で、己の信念を通そうとする役がどうしてこう似合うのだろう。それでいて、弱いところもちゃんと見ることができる。
古田新太の「坂本竜馬」は文句なく、そのいい加減そうに見せているところも含めて格好良い。ちゃらんぽらんそうに見せていて実は己の信念を貫いてしまう格好良さがこんなに光っていいんだろうか。
この2人はかなり年齢差があると思うのだけれど、ラストシーンが英から竜馬への手紙だったせいもあって、「英と竜馬」の恋物語が印象に残った。
しかし、「贋作・罪と罰」が幕末のお話だということすらすっかり忘れていたし、こんなにくっきりと「説明できる」ストーリーがあることも忘れていた。
そう考えると、実はこのお芝居は恋物語ではないような気もする。本当は何か、権力とか意志とか正義とか理想とか生命とか、そういった何かが語られていたのに、私が受け取り損ねたんじゃないかという感じがとてもとてもしてきた。
今回はやっぱり「英」を中心に見てしまったので、次回は「英」以外の誰かを中心に見てみようと思う。そしたら、やっぱり見るべきは美波演じるところの英の妹「智」だろうか。
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