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2006.01.08

「とってもゴースト」を見る

「とってもゴースト」音楽座ミュージカル
演出 ワームホールプロジェクト
脚本 ワームホールプロジェクト・横山由和
音楽 八幡茂
出演
入江ユキ 鈴木ほのか
かたまり様 鳥居かほり
光司 安中淳也
ガイド 広田勇二
    中村桃花/久積絵夢/清田和美/西岡由布子
    間地まどか/荒川ゆかり/中野祥子/長尾純子
    新木りえ/平木寛子/兼崎ひろみ/磯貝麗奈
    富永友紀/藤田将範/佐藤伸行/五十嵐進
    饗庭大輔/楢原潤也/渡辺修也/新木啓介
    萩原弘雄/山合大輔
観劇日 2006年1月8日 午後1時開演
劇場 東京芸術劇場中ホール P列23番
料金 9870円
上演時間 2時間45分(15分の休憩あり)

 劇場に表示された上演時間は2時間半だったけれど、カーテンコールなども入れると劇場を出られたのは上記の時間だった。
 出演者の顔写真やコメント、音楽座ミュージカルのこれまでの舞台の紹介が載った結構立派なパンフレットが無料で配布される。また、ダブルキャストが何役かあるため、「本日の配役表」がロビーに置かれていた。

 ネタバレありの感想は以下に。

 音楽座ミュージカルは、活動休止前に何本か見たことがある。「アイ・ラブ・坊ちゃん」と「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」を見ていることは確かだ。
 好みで言うと、劇団四季のミュージカルよりも音楽座ミュージカルの方が親しみやすい。

 鈴木ほのか演じる主役の入江ユキがファッションデザイナーという設定のためか、冒頭はファッションショーのシーンから始まる。衣装がコシノジュンコであったり、とても贅沢で豪華な舞台という印象が強い。

 ものすごーく傲岸不遜かつ攻撃的に生きてきたユキが不慮の事故で死んでしまい、でも「自分が死んでしまった」ことが納得できずに何とか人間界にとどまろうとする。自分の姿は人間からは見えないのだけれど、夜中の12時から3時までは姿を現し、人としゃべることもできる。
 ちょうど夜中の12時に出会った安中淳也演じる大学生で靴デザイナーを目指している光司と話したり絵のモデルになったりするうちに、「愛する」「愛される」ということを知り、ついでに自信のない光司にハッパをかけ、さらについでに愛を知らないまま死に、公園の大樹に取り憑いていた鳥居かほり演じるかたまり様も解放してしまう。
 広中勇二演じるガイドを拝み倒して1日だけ「人間」として生き、光司に「入江ユキの死亡」が知られてしまい、1日の期限も過ぎて、ある意味穏やかに死に臨んでゆく。
 あらすじだけ書き出しても判るとおり、超直球ド真ん中のミュージカルだ。

 でも、これが楽しい。
 ストーリー展開なんて最初から判っているようなものだけれど、でも、その「定番のストーリー」がとても楽しく見られるのが不思議なくらいだ。
 オリジナルの歌やダンス、メインキャスト陣を始めとする役者さん達の歌唱力と説得力の為せる業なんだろうと思う。

 冒頭とラスト、入江ユキの死後10年がたち、光司は入江ユキの会社の社長として事業を成功させている。
 大学4年生の10年後にしては老けすぎてやしないか、とか、 靴デザイナーを目指していた光司が何をどうして入江ユキの会社を継いで社長になっているんだ、しかもどうやって、という数々の疑問は放っておかれる。
 冒頭とラストをこうするのであれば、劇中で多少なりとも無理があっても説明してくれればいいのに、と思う。

 説明と言えば、「かたまり様」が公園の大樹から解放されるシーンも私には判りにくかった。
 恐らくは、ユキが愛を知り愛を語り、それに感応して自分を解放させることができた、という流れだと思う。そういう流れだとは思うけれど、それが判りやすい形では示されていないように思う。後から「多分そういうことだろう」とは思うけれど、取り憑いていた木から離れて老婆から若い女性の姿に戻る「かたまり様」のシーンは、見ているときにはかなり唐突な感じがした。

 でも、こういうことは多分枝葉末節で、「とってもゴースト」は直球ド真ん中で恋愛を語るミュージカルなのだし、それが気持ちよく楽しい舞台だと思う。

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コメント

Alissa様、コメントありがとうございます。

 ずっと判らなかった「25年後」の説明は、実は冒頭でされていたんですね。
 おっしゃるとおり、全く耳に入っていなかったか、その「25年前」の出来事である本編に熱中してすっかり頭から飛んでしまっていたか、どちらかのようです。
 教えていただいて、ありがとうございます。スッキリしました。

投稿: 姫林檎 | 2006.05.09 21:47

はじめまして。
安中さんを検索していて飛んできました。
4ヶ月前の記事に今更のコメントで申し訳ないのですが、最近全国ツアーの公演を見たものですから・・・。

ご指摘の箇所で、「ユキ先生が25年前に亡くなってから」と社員の人が言っています。私は初めて聞いたときに、なぜか「2年前」と思い込み、大学生の光司が出てきたときに若干混乱しましたので、きっと姫林檎さんと同じ状況だったんだと思います。冒頭ですし、ストーリーの予備知識なく聞いていると、案外数字って、聞き取れないものなのかもしれないですね(笑)。

投稿: Alissa | 2006.05.09 03:35

 どなたか判りませんが(笑)、コメントありがとうございます。

 そうですか、25年後だったんですか。
 それで、光司ががやけに老けていたのも、ユキの(多分)生まれ変わりだと思われる女性と出会ったのも、納得です。

 どうして10年後だと思ったのか、つらつら考えてみたのですが、部下の人が「10年前に社長がいらっしゃらなかったら」と言っていた(ように聞こえた)からだということに気がつきました。10年前にユキが突然死亡して、でも経緯を知っている光司が何とかしたのだろうと思いこんでしまったのです。
 大変失礼いたしました。

 でも、小さい声でこっそり言うと、それならやっぱりもっとちゃんと劇中で説明して欲しい・・・。
 どうして25年後だって判ったんですか?

投稿: 姫林檎 | 2006.01.13 21:50

通りすがりで失礼しますが、
「10年後」ではなく「25年後」ですよ!

投稿: | 2006.01.13 20:06

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