「十二夜」を見る
「十二夜」
作 ウィリアム・シェイクスピア
翻訳 小田島雄志
脚本・演出・出演 山崎清介
出演 伊沢磨紀/福井貴一/円城寺あや/佐藤誓
植本潤/戸谷昌弘/土屋良太/大内めぐみ
観劇日 2006年3月11日 午後1時開演
劇場 新国立劇場小劇場 C4列7番
料金 5250円
上演時間 2時間15分(15分間の休憩あり)
いつもは夏に上演されている「子どものためのシェイクスピア」シリーズが、新国立劇場で「子どものための」という枕詞なしで上演された。
でも、シェイクスピア人形、黒い帽子と黒いコート、クラッピング、開演前のイエローヘルメッツと道具立てはいつもと同じなのが嬉しい。
ネタバレありの感想は以下に。
「十二夜」は、「子どものためのシェイクスピア」シリーズで上演されたものと、野村万斎が狂言に翻案して上演したものを見ている。
去年の夏に蜷川幸雄演出で歌舞伎にもなっていたから、シェイクスピアの戯曲としてはポピュラーなんだろうか? それとも玄人好みの戯曲なんだろうか。その辺りはよく判らない。
「子どものためのシェイクスピア」シリーズとは、配役が違っていたと思う。
前回は、伊沢磨紀が双子の妹ヴァイオラを演じていたように思うのだけれど、今回はその兄であるセバスチャンを演じていた。
男装する妹のヴァイオラを大内めぐみが演じ、男装したヴァイオラに恋するオリヴィアを植本潤が演じ、双子の兄のセバスチャンを伊沢磨紀が演じる。元々「男装の双子の妹」という存在がややこしいのに、円城寺あやが演じたfoolも男性の設定だろうから、物語以上にお芝居は男女の枠組みが入り組んでいる。
でも、それが変ではない。女優さんが男性を演じ、女優さんが男装している女性を演じ、男優さんが女性を演じているのだけれど、何故だか普通のことのように思えるし、特に違和感もなく見てしまえるのは、このカンパニーの実力と演出の山崎清介の手腕の為せる業なのだろうと思う。
そんなわけで、男装したヴァイオラは主人であるオルシーノー侯爵(パンフレットを購入しなかったので判らないのだけれど、もしかしたら公爵かも)に恋している。オルシーノー侯爵は兄を亡くしたばかりのオリヴィアに恋している。オリヴィアは、オルシーノー侯爵のお使いで来た男装のヴァイオラに恋している。そこにヴァイオラそっくりの双子の兄までやってくる。変則四角関係の物語だ。
でも、先月に見た「間違いの喜劇」ほどのごちゃごちゃ感や、大団円にならないんじゃないかという「ちょっと嫌な感じ」はなかったように思う。
それは私がストーリーを知っているせいかもしれないし、山崎清介の脚本と演出の力業のためかもしれない。
それにしても、シェイクスピアはこの「離ればなれになっていた双子が出会う」「周りが双子を見分けられないために起こる喜劇」が好きなのだろうか。
恐らくは設定や背景が異なっているのだろうけれど、そういった予備知識のない私にとっては「間違いの喜劇」と「十二夜」はかなり近い内容の物語だ。というか、3年くらいたったら絶対にごちゃまぜに記憶している自信がある。
「恋する心」のお話だからなのか、「何だか今、もの凄く大切なことを聞いたような気がする」「もの凄く大切なことが判ったような気がする」という瞬間があった。あれはどのシーンだったのか、それすらきちんと意識できなかったのだけれど、絶対にそういう瞬間があった。
それが、いつもの「子どものためのシェイクスピア」シリーズとの一番大きな違いだったかも知れない。
土曜日の昼公演で、1階の前方にも空席がちらほらあったのが勿体ない、いつもながらの安定感とまとまりと楽しさとに溢れたお芝居だった。
先月の朝日カルチャーの講座に行けなかったことが、返す返すも悔やまれる。
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