「メタル マクベス」を見る
新感線☆RS「メタル マクベス」
原作 W・シェイクスピア
脚色 宮藤官九郎
演出 いのうえひでのり
出演 内野聖陽/松たか子/森山未來/北村有起哉
橋本じゅん/高田聖子/粟根まこと/右近健一
逆木圭一郎/河野まさと/村木よし子/インディ高橋
山本カナコ/礒野慎吾/吉田メタル/中谷さとみ
保坂エマ/皆川猿時/冠徹弥/村木仁
川原正嗣/前田悟/上條恒彦/他
観劇日 2006年6月9日 午後6時開演
劇場 青山劇場 T列38番
料金 12000円
上演時間 3時間55分(25分間の休憩あり)
新橋演舞場以外で、25分間の休憩が入るお芝居に初めてだ。
お手洗いの混雑に、きっと20分間の休憩では席に戻れない人が続出したんだろうな、と余計なことを考えた。列に並んでいるときに「妊婦さんは先にご案内します」と係の方が声をかけているのも初めて見た気がする。
初めてと言えば、客席の右前方に小さなテレビが置いてあって、舞台の一部が映されていた。何のためにあるのだろう、バンドの人たちは舞台上にいるのにと思っていたのだけれど、セットの関係で客席によってはほとんど見えない場所があったらしい。見切れてしまう部分を生中継で見せているのだということに気がついた。
もう一つ、初めてと言えば、舞台上で背景として映されている映像が一瞬乱れた。Windowsの画面になり、不具合を起こしたというメッセージが出る。でも、(多分)すぐに回復し、その後は画像が乱れることはなく、違和感なく舞台は進行していた。
そんなアクシデントはない方がもちろんいいのだけれど、でもあまりのその後の普通さに何て見事なのかしら、と思ってしまった。
パンフレットはDVD付きで3000円。その他、Tシャツやトートバッグ、CDなどグッズが多数。悩んだけど購入しなかった。
地下1階の売店は、開演前と休憩時間は過去作品のDVDを販売しているけれど、終演後は「メタル マクベス」グッズのみの販売となっていた。
ネタバレありの感想は以下に。
2026年(だったと思う。>kaoruさんからのコメントで2206年だと判明。感謝! 以下、修正済み)に設定を変えた「マクベス」の世界と、1980年代に売れた人気バンド「メタル マクベス」の世界を行ったり来たりしながら、内野聖陽と松たか子演じるマクベス夫妻とバンドのリーダーとマネージャの物語を重ね合わせ、ロックに乗せて綴っていくミュージカルだった。
と書いてはみたものの、実は、この「メタル マクベス」がミュージカルかどうか自信がない。印象としては、ミュージカルとは銘打っていないいつもの新感線の公演と変わらない気がした。
3時間55分は長い。
しかも、ストーリーとしてはほぼ「マクベス」を踏襲しているから、次はどんなことが起こるのか、最終的にマクベス夫妻がどんな運命を辿るのか、あらかじめ判って見ていることになる。
でも、これが何故か退屈しない。あっという間にマクベスが王になったところで休憩に入り、その後もどんどん落ちていって気がついたときにはマクベスはお城ごと吹っ飛んで終わっていた。
そういう意味では、最初と最後のシーンも2206年のマクベスの世界だったし、1980年代のメタル マクベスというバンドの世界と行ったり来たりしていたというよりも、1980年代の世界が「メタル マクベス」というバンドのCDによって少しずつ2206年の世界に侵入していたという感じだったのかも知れない。
3人の魔女の予言はもちろん、マクベスの運命は全てこのCDによってあらかじめ歌われていた、ということになる。
そういえば、2206年のマクベスの世界では、何故か「マクベス」とか「バンクォー」とか「マグダフ」という名前が、「ランダムスター」「エクスプローラー」「グレコ」という名前に置き換えられていた。どうも楽器メーカーか、楽器の種類の名前だったようなのだけれど・・・。
不思議に思いつつ、ロックに詳しくない私は格段の思い入れもなく聞き流してしまった。申し訳ない。
1980年代の世界では「ローズ」と呼ばれていたマクベス夫人は、2206年の世界でファーストネームが呼ばれることはなかったような気がする。何故だろう。
それにしても、思い込んだら一直線で気が強くて男を叱咤激励して思うとおりに動かしていく、というタイプの女性を演じさせるとどうしてこう松たか子という人はハマるんだろう。惚れ惚れしてしまう。
それでいて、後半の狂ってしまったマクベス夫人もまたハマっているのが不思議である。
1階席のかなり後方から見ていたせいか、「メタル マクベス」というミュージカルは、誰かが一人勝ちしている舞台ではなくて、総力を結集したという感じの舞台に思えた。
その分、ある意味でマクベスを演じた内野聖陽の印象がうすくなってしまったのは仕方がないのかも知れない。多分、舞台に近い席から見ていたら、全く印象は違ったんじゃないかという気もする。
歌でいうなら、要所要所でハーモニーを聴かせた右近健一と村木よし子と山本カナコ演じる3人の魔女が印象に残った。
それから、マクベスに殺される王を演じた上條恒彦の声量はやっぱり圧倒的だった。一段違う、という感じがした。
マクベスが題材で新感線が作るならもっと面白くできるんじゃないか、という欲は出てきてしまうし、1980年代のバンドの話との絡みはもっと強く裏表という感じにした方が良かったんじゃないか、という感想も持ったのだけれど、でも、とても面白かった。
やっぱり、もっと前の方の席で見たかったと思うけれども。
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コメント
kaoruさま
コメントありがとうございます&教えていただいてありがとうございます
おっしゃるとおり、王国の世界は2206ですね。
2026年というわずか20年後にCDという媒体がなくなっているという設定はちょっと考えられないですものね。
教えていただいてありがとうございます。早速、修正させていただきました。
舞台奥の映像が見えにくいお席だったんですね。それは残念でしたね。でも、最前列ならたっぷりと臨場感と内野さんと橋本さんの「変な顔」を堪能されたのでは?
私はT列というかなり後方の席だったので、舞台全体を見渡すことはできたのですが、一長一短というところなのでしょうか。
長いけどあっという間のお芝居という感想、私も同感です。
またぜひ遊びにいらしてくださいませ。
投稿: 姫林檎 | 2006.06.11 00:14
初めまして。
以前より時々覗かせていただいてました。
今日,私も「メタルマクベス」観てきました。
e+で運よくチケットを手に入れたのですが,
最前列の一番端の席でした。。。
でも,所々背景に映し出される映像が,門扉によって
見えなかったのが残念です。
(私もパンフレットは高くて手が出なかったので
確認は出来ませんが,年代は確か2206年だった気がします。)
今日は,松たか子さんのお誕生日らしくアンコールの後
ちょっとしたお祝いを皆でしました。
本当に長い時間だったので,ちょっと腰が痛くなって
しまったけど,気が付けばあっという間で,
面白かったですね。
投稿: kaoru | 2006.06.10 23:25