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2006.07.16

「おかしな二人」を見る

「おかしな二人」
作 ニール・サイモン
演出 星田良子
出演 浅丘ルリ子/渡辺えり子/宇梶剛士/深沢敦
    杉嶋美智子/伴美奈子/明石多佳子/田根楽子
観劇日 2006年7月16日 午後2時開演(千秋楽)
劇場 ル・テアトル銀座 3列23番
料金 9800円
上演時間 2時間20分(20分間の休憩あり)
 
 千秋楽だったためか、カーテンコールで浅丘ルリ子と渡辺えり子のお二方に大きなバラの花束が贈られていた。
 その浅丘ルリ子が意外とお茶目で、しずしずと下がってくる幕の下から、しゃがんで手を振っていた。

 パンフレットは1000円。その他に、渡辺えり子の著書やCD、浅丘ルリ子お手製のスワロフスキーのビーズのアクセサリーなども販売されていた。

 感想は以下に。

 前から3列目のそれほど端ではない席で、かなり見やすかったと思う。
 それでも舞台がやけに遠く感じたのは、「大女優だ」という気分が私にあったからかも知れないし、渡辺えり子と浅丘ルリ子の登場シーンに期せずして起こった拍手のためかもしれない。

 何年か前に鈴木裕美演出で「おかしな二人」は見ていて、ストーリーも結構覚えていた。
 そのときは、出演者の性別をひっくり返した男バージョンと女バージョンがあって、それだけで随分と印象が違うなと思ったけれど、今回はまた違うお芝居を見た感じがした。
 鈴木裕美演出の男バージョンは「よし、もう一度結婚生活をやり直そう」というラストで、女バージョンは「心機一転、新しい生活を始めるのよ」というラストだった。
 今回は「ケセラセラ、なるようになる」で、ラストシーンでは客席も巻き込んで「ケセラセラ」の合唱だった。もっとも、余り歌っている人はいなかったように思う。
 私としては「心機一転、新しい生活を始めるのよ」が一番好きだ。「ケセラセラ」じゃ、渡辺えり子演じるオリーブと、浅丘ルリ子演じるフローレンスの今後が心配である。

 そんな感じで、全編、鈴木裕美演出の女バージョンを思い出しつつ、比べつつ見たような感じになってしまった。
 そして、お芝居は出演者と演出によってこんなにも印象が変わるものなんだと、改めて思うことになった。
 このお芝居は、演じる役者さんとその顔合わせによって、どんな風にもできるし変われる、何十通りもの楽しみ方ができるお芝居なんじゃなかろうか。

 今回のお芝居では、とにかく、渡辺えり子と浅丘ルリ子のコンビが秀逸である。
 地なんじゃないかと思うくらい、自由に楽しげに舞台の上で動いている感じがした。
 ふくよかな渡辺えり子と信じられないくらい細い浅丘ルリ子と体型まで対照的で、体のあちこちが痙って固くなって妙なポーズで止まるフローレンスと、大汗をかいて地団駄を踏むオリーブといった風に、2人の違いがこれでもかと示されてゆく。
 この2人が強烈すぎて、オリーブの友人達の女性が霞んでしまうくらいだ。

 一方で、オリーブとフローレンスの2人に負けない強烈なインパクトがあったのは、オリーブと同じアパートメントに住むスペイン人の兄弟だ。大柄な宇梶剛士と小柄な深沢敦が演じるこのスペイン人兄弟は、果てしなく胡散臭くて可笑しい。

 このお芝居は、役者さんの個性は登場人物の個性ということで、その「地」ぶりを楽しんでしまったもの勝ちである。
 面白かった。でも、9800円は高いとも思った。

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