« アクセスカウンターを設置する | トップページ | 「モンゴル音楽祭2006−天空の響き」を聴く »

2006.09.02

「百鬼夜行抄2」を見る

「百鬼夜行抄2」花組芝居
原作 今市子
脚本 わかぎゑふ(リリパットアーミーII)
演出・出演 加納幸和
出演 水下きよし/原川浩明/溝口健二/山下禎啓
    桂憲一/八代進一/大井靖彦/北沢洋/横道毅
    嶋倉雷象/各務立基/秋葉陽司/松原綾央
    磯村智彦/小林大介/美斉津恵友/堀越涼
    谷山知宏/丸川敬之/二瓶拓也/大土居陽介
観劇日 2006年9月2日 午後6時開演
劇場 博品館劇場 J列3番
料金 5800円
上演時間 2時間35分(10分間の休憩あり)
 
 ロビーではパンフレット(1000円)やポスター(1000円)ほか、過去公演のパンフレットなども売られていた。

 後ろの席にいらした女性3人組は加納座長のファンだったらしく、出番になると必ずと言っていいほど長々と感想など言い合っているのが、もの凄く気になった。上演中のおしゃべりはお願いだから止めてもらいたいと思う。
 携帯電話の着信音は、鳴った瞬間に誰もが「まずい」と慌てて切って、以後鳴ることはないけれど、おしゃべりの場合は罪悪感がないからこそしゃべっているわけで、終演までそれが続く。感興がそがれることおびただしい。何とかならないものだろうか。

 ネタバレありの感想は以下に。

 夏に相応しい妖怪モノだ。劇場に入った途端、ぶるっと震えるほど寒かったのは演出の一環だろうか。
 そして、舞台上の幕の前には、能面をつけて巫女さんの装束を着た役者さんがお一人。どなたか判らなかったのだけれど、私が席についた開演15分前から開演までは、微動だにしていなかった。私には絶対にできない、と確信した。

 あまり記憶は確かじゃないのだけれど、カーテンコールで加納さんが「パート1はカジュアルに、パート2はしっとりと、あるかどうか判らないけれどパート3はワイルドに」と言っていた。
 パート1を見た私が今回まず思ったのは「司ちゃんが変わってる!」ということだった。第一作と配役が変わっていて、堀越涼演じる司ちゃんは何というか普通に可愛い女の子になっている!
 前作は司ちゃんが登場しただけで笑いが起こっていたけれど、今回は普通だった。まずそれで「前作とは雲行きが違うぞ」と思った。

 舞台上から「1回見たくらいじゃ判らないぞ〜」と連呼されたせいかも知れないけれど、確かに判りにくい、もうちょっと説明して欲しいな、というところがある。
 原作を読んでいて、パート1を鮮やかに覚えていたら、ストーリーも意味もすんなり入ってきたのだろうか?

 大枠のストーリーとしては、美斉津恵友演じる飯嶋律は祖父の血を継いだ見鬼で、式神として蒼い龍までついている。各務立基演じるその律の伯父は26年間神隠しに遭っていたのだけれど、ある日突然戻ってくる。それまでは冥界に閉じこめられていたのだという。
 その伯父の帰還で、冥界で一緒に暮らしていた加納幸和演じる山の神が怒り、元々妖怪遣いだった祖父の存在で不安定極まりなかった律の家が、さらに不安定になってゆく。
 様々にあった問題を一気に解決して、最後は大団円だ。

 山の神ってどうして伯父さんに取り憑いていたの? とか、箱庭で暮らす一家の意味がよく判らなかったとか、謎の男は結局のところどういう人(というか妖怪)だったんだろう? とか、律の母である八代進一演じる絹さんは「見鬼」ではないけれど結局のところ水下きよし演じる自分の夫が実は青嵐という龍に乗っ取られていることも含めて判っていたのだろうかとか、伏線なのか伏線じゃないのかよく判らないところで謎はあちこちに残る。

 そういえば、この絹さんというのがいいキャラクターだった。今回の登場人物の中では一番好きかも知れない。家の庭が冥界への通路になってしまっても、鬼が家の中をうろうろしていても全く動ぜず、自分は見えないのに鬼の存在を知って慌てず、ときどき全てを知っているような台詞を言いつつ実は悟っているだけで知ってはいないような感じもして、とにかく格好良かった。

 ダンスシーンも意外と多く、龍が舞うところは格好良い。
 緊迫するシーンと思わず笑ってしまうようなシーンが上手く組み合わされていて、複雑なストーリーを追うべく集中していたこともあって、あっという間だった。
 緊張と言えば、どういう段取りだったのか、もうちゃんとは覚えていないのだけれど、休憩に入る前の照明と音響の入り方が緊迫感を煽って格好良かった。

 昨日が初日だったせいか、台詞を噛んだり間違ったりするシーンが結構目に付いた。上手くごまかせてしまえるような間違いならいいのだけれど、司ちゃんの背中に向かって「晶ちゃん」と呼びかけてしまい、しかも司ちゃんはそのまま舞台袖にはけてしまったのだからごまかしようがない。
 他にも、素ですべったのか、演出なのか、よく判らないけれど、周りの人は素で笑いを堪えている感じだな、というシーンもあった。
 もうちょっと遅い時期(といっても10日までだけれど)に見た方が良かったかも知れない。これはきっと日を追って改善されるだろうと思う。

 今回は「飯嶋一族総出演」という感じだったけれど、思い返してみれば登場人物の多さを考えるとお話も人間関係もすんなり判ったし、そういうことを必死で思い返しながら見るのではなくて、次々と「さて次はどうなるんだろう」「これはどういう意味なんだろう」「○○はどうなっちゃうんだろう」と思いながら楽しく見ることができた。
 パート3もやるなら見てみたい。

|

« アクセスカウンターを設置する | トップページ | 「モンゴル音楽祭2006−天空の響き」を聴く »

*芝居」カテゴリの記事

*感想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「百鬼夜行抄2」を見る:

« アクセスカウンターを設置する | トップページ | 「モンゴル音楽祭2006−天空の響き」を聴く »