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2006.09.09

「アパッチ砦の攻防」より『戸惑いの日曜日』を見る

「アパッチ砦の攻防」より『戸惑いの日曜日』
脚本 三谷幸喜
演出・出演 佐藤B作
出演 中澤裕子/西郷輝彦/細川ふみえ/小林十市
    市川勇/小林美江/あめくみちこ/佐渡稔/山本ふじこ
    小島慶四郎/角間進/市瀬理都子/斉藤レイ
観劇日 2006年9月9日 午後1時開演
劇場 サンシャイン劇場 20列29番
料金 8400円
上演時間 2時間50分(15分間の休憩あり)
 
 理由はよく判らないのだけれど、劇場ロビーに全くお花が飾られていなかった。その旨の張り紙があり、名前が一覧で張り出されていた。何故だろう?

 パンフレットが1500円、ポスターが500円で販売されていた。迷ったけれど、結局、購入しなかった。

 客席は私が見るお芝居の中では、若干年齢層が高めだったかも知れない。

 ネタバレありの感想は以下に。

 どうして「アパッチ砦の攻防」というタイトルなのか、しばらく判らなかったのだけれど、マンションの一室が舞台で、そのマンションの名前が「アパッチ」というらしい。1億5000万円もしたという高級マンションだ。
 舞台はそのマンションの一室から動かず、お話の時間の進行と実際の時間の進行が一致している(セット上の壁の時計は多分普通に動いていた筈だ)、三谷幸喜の定番中の定番ともいえる設定のシチュエーションコメディだったと思う。

 でも、正直に言って、一幕目はとてもいたたまれなかった。
 佐藤B作演じるそのマンションの前の住人のカブラギ(パンフレットを購入しなかったので字は不明)という男が、お金に困って1億5000万円で買ったマンションをつい最近7000万円で売り払った。そのことをずっと離れて暮らしていた中澤裕子演じる娘に言えず、娘が婚約者を連れてくるというので、今は自分の家ではないマンションに電気屋のふりをして入り込み、今も住んでいるかのように振る舞う。西郷輝彦と細川ふみえ演じる今の持ち主であるカモダ夫婦がいるにも関わらず、だ。

 そんな危ない橋が順調に渡れる筈もなく、一幕は状況説明と登場人物説明も兼ね、次々と入れ替わり立ち替わり人がやってきて、カブラギがどんどん窮地に陥っていく。
 その丁々発止というか、綱渡りのような展開が何だかとても心臓に悪くて、いたたまれない感じがして、落ち着かなかった。
 今にして思うと、カブラギが、真面目で小心ないい人間に見えていて、何かの間違いで見栄を張ってしまっただけのように見えていたせいかも知れないと思う。
 でも、一幕を見ているときは、その綱渡りの展開に耐えられなくて、時々舞台を正視することができなかったし、「私はこんなに三谷作品が苦手だったのか・・・。」と真剣に考え込みそうになってしまった。

 でも、二幕に入ったら、何故かすっと落ち着いて、安心して舞台を見て、成り行きに笑えるようになった。何故だろう? 理由はよく判らない。
 一幕で張り巡らされた伏線が次々と収束していったからだろうか。
 カブラぎの元妻が出てきたせいだろうか。あめくみちこがやたらとこの気っ風のいいちょっと伝法な感じの女性にはまっていたせいだろうか。
 カブラギの現在の妻であるフィリピン人(と自称している)女性が出てきて、「あ」から始まることわざで状況をやけに的確に評価し始めたからだろうか。
 もうあとは、一気に大団円に向かって走り始めた舞台に安心して集中し、笑っているうちにあっという間に二幕は終わってしまった。

 もしかして、二幕に入って、「よし、大団円に向かうぞ」と判ったり、「カブラギだけでなく、カモダ家にも問題がありそうだ」と匂わされたり、「カブラギは結局のところお調子者でとんでもないヤツみたいだぞ」と思い始めたりしたせいかも知れない。

 佐藤B作・あめくみちこの二人はもちろん抜群の安定感だったし、西郷輝彦の堅めの感じも役に上手くマッチしていた。
 細川ふみえ・中澤裕子のあまり舞台では見たことのない女優陣二人もとても自然に舞台上にいる感じがした。

 とにかく、ノンストップ・シチュエーションコメディの醍醐味を、特に二幕で十分に味わうことができた。楽しかった。
 多分、ストーリーを知った今なら、一幕も心の底から楽しく見られるような気がする。

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コメント

こみ様、コメントありがとうございます。

 ロビーにお花が並べられていなかったのは、そういう合理的な理由があったのですね。教えていただいてありがとうございます。納得しました。でも、何だか寂しいような気もしますね・・・。

投稿: 姫林檎 | 2006.09.22 23:03

こんばんはー
東京は公演後の花の処分も劇団側がしなければならないとか花がもったいないなどの理由で最近は花の代金で
御弁当を差し入れしたりご祝儀にしてもらったりする場合が増えているようです。その代わりロビーに張り紙をするという感じで。
どこかの劇団の方が話されていたか書かれていたかを読んだもので
一概にそうとは言い切れないかもしれませんが…

投稿: こみ | 2006.09.22 00:17

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