「ルツェルン・フェスティバル・イン・東京 2006」を聴く
「ルツェルン・フェスティバル・イン・東京 2006」
オーケストラ コンサート 2
指揮 クラウディオ・アバド
ピアノ マウリツィオ・ポリーニ
曲目 ブラームス:ピアノ協奏強第2番 変ロ長調 op.83
ブルックナー:交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」(ノーヴァク版)
公演日 2006年10月19日(木曜日)午後7時開演
場所 サントリーホール大ホール 1階9列7番
料金 45000円
ホールの入口で「チケット求む」と書かれた紙を掲げた人を何人か見かけた。
私はこういう光景を見たのは初めてだったので、かなり驚いた。数メートル後ろにはホールの人がいるのだ。
こんなに聴きたい人がいるのにほとんど何の知識も造詣もない私がチケットを持っているのだから、心して聴かなければと思った。
ロビーでは、ネスカフェの試飲サービスが行われていた。
「ルツェルン・フェスティバル・イン・東京 2006」全体のプログラムが2000円で販売されていた。
指揮者のクラウディオ・アバドとピアニストのマウリツィオ・ポリーニが入ってきたときにまず思ったのは「うわ、おじいさんだ」ということだった。アバドは1933年生まれ、ポリーには1942年生まれだからもちろんお年を召していらっしゃるのは判っていたのだけれど、もっと何というか「年齢を感じさせない」という感じなのかと思っていたのだ。
だから、かなり驚いた。
ブラームスのピアノ協奏曲は、曲の特徴なのか、オーケストラの特徴なのか、ピアニストの特徴なのか、何だか柔らかい、少し霞がかったような感じの曲だと思った。
ピアノも、「超絶技巧」という感じではなくて、やわらかく優しく弾かれ響いている感じがした。
ピアニストの右手がばっちり見える席だったので、「うーん、動きが速すぎて指先が見えない」なんていうこともあったのだけれど、それよりも、優しいタッチだな、という印象の方が強い。
指揮者もピアニストも「楽しんでいる」というよりも「熟練した職人が仕事をこなしている」というイメージだった。外見も「老練」という言葉が似合う方々だったと思う。
休憩は20分間。
もしかしたら、交響曲が演奏される場合、通常はコンサートマスターが最後にステージに現れるのだろうか?
一人、ヴァイオリン奏者で遅れてステージに入ってきた人がいて、コンサートマスターだと思ったのか、拍手がぱらぱらと起きた(このときには既にコンサートマスターは席についていた)。拍手を聞いたこのヴァイオリン奏者は茶目っ気のある人で、胸に手を当ててお辞儀をしてから席についた。
会場からもステージ上でも笑いがこぼれて、何だかリラックスしたムードになったと思う。
ステージ上で談笑する人々を見て、オーケストラの人々は英語でコミュニケーションを取るんだろうかとか考えてしまったくらいだ。
そして、ブルックナーの交響曲が始まったら、いきなり、オーケストラの音がクリアになった。人数も増えているのだけれど、そういうことではなく、ピアノ協奏曲のときはそっと撫でてていたとすると、今度はパンと殴っている感じだった。音が実体化して形がある感じがする。
ホルンとフルートが追いかけっこをしつつ主役を張っているように感じられた。
ホルンのソロが多かったせいか、山のイメージが強い曲だった。
1時間半近くかかる大曲だったけれど、のんびりと楽しく聴くことができた。これぞ最高の贅沢だ。
カーテンコールは何度もあったけれど、アンコールがなかった。
どんなコンサートでも概ねアンコールがあるという状態自体がおかしいのかもしれないけれど、アンコール曲が演奏されなかったコンサートは、私は初めてだった。何だか却って潔い感じがした。
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