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2006.10.01

「オレステス」を見る

「オレステス」
作 エウリピデス
翻訳 山形治江
演出 蜷川幸雄
出演 藤原竜也/中嶋朋子/北村有起哉/香寿たつき
    吉田鋼太郎/瑳川哲朗/他
観劇日 2006年9月30日 午後6時開演
劇場 シアターコクーン 2階C列17番
料金 9000円
上演時間 2時間30分
 
 明日が千秋楽のためなのか、ロビーでパンフレットと布製のバックのセットが2000円のところを1800円で販売されていた。
 その他に、ホリプロ主催公演のチケットも販売されていた。

 ネタバレありの感想は以下に。

 「オレステス」は知らなかったけれど、彼の姉の「エレクトラ」はよく聞く名前だと思う。もっとも、私が覚えていたのは、「エレクトラとオレステスの姉弟は、父を殺した母を殺した」ということだけだった。
 何年か前にシアターコクーンでやはり蜷川幸雄演出でギリシャ悲劇の連続上演をしていた。舞台は見ていなくて、テレビ放映されたときに見たのだけれど、そのときは寺島しのぶと尾上菊之助の姉弟が演じていたことしか覚えていない。
 だから、筋立てとしてはほとんど判らないまま見ていた。

 シアターコクーンで蜷川幸雄演出のお芝居は、ここのところ何だか舞台セットのイメージが似ている気がする。天井まで届く壁が舞台を半円状に取り囲み、2階に窓が切られていたり、中央に扉があったりする。
 舞台自体の天井が高いからこそのセットなのだけれど、毎回イメージが似ていると、うーんと思ってしまう。今回は2階席だったこともあって、ギリシャにある野外円形劇場の雰囲気を出そうとしているのだろう、確かにこの見下ろす感じと見下ろされている感じが醸し出すものがあるような気がする、とは思った。

 お芝居は、全編、中嶋朋子演じるエレクトラと藤原竜也演じるオレステスが嘆き続ける。
 「自分たちは父親の仇を討ったのに、どうして母殺しの罪で殺されなくてはならないのだ」「殺せと託宣したアポロンに従ったのが間違いだった」と言い続ける。彼らは今日にも処刑が決まるのだ
 彼らが嘆いているとき、舞台上に大雨が降り、舞台両脇に控えた打楽器奏者が太鼓を打ち鳴らし、黒いドレスを着た女優陣が「コロス」になる(という言い方で正しいのだろうか?)。

 父の弟の吉田鋼太郎演じるメネラオスが帰国したが、頼みにしていたこの叔父も全く助けようとはしてくれず、オレステスの親友である北村有起哉演じるピュラデスだけが唯一の味方だ。
 姉弟の運命を決める人々の集会の様子も、そこで石持て追われることが決まり、エレクトラはメネラオスの妻であるヘレネを殺し娘を人質に取り、メネラオスの協力を取り付けようと思いつく。

 屋敷内にヘレネを殺すべく入っていった、オレステスとピュラデスはヘレネを殺し損ね、しかし娘は人質に取り、メネラオスに相対する。屋敷に火を放つ。

 舞台は赤く燃え上がり、劇場後方に明るいスポットが当たり、アポロンの「天の声」が聞こえる。
 そして、ヘレネは神となる、オレステスはメネラオスの娘と結婚せよ、オレステスはこの地の王となれ、メネラオスはスパルタの王となれ、ピュラデスとエレクトラは結婚して幸せになる、とあっという間に交通整理をし、「そもそもこの事態を招いたのは自分の託宣のせいだからな」とやけに人間くさい述懐も残し、唐突に消え失せる。
 あぁ、これが「デウス・エクス・マキナ」か、と思った。初めて見てしまった。

 確か「ノルウェイの森 (村上春樹著)」にも主人公の「僕」が今学んでいることを説明するシーンで、エウリピデスを習っており、彼の書くギリシャ悲劇のラストシーンによくこの「デウス・エクス・マキナ」が出てくるのだ、という説明がされている。
 ウィキペディア(Wikipedia)によると、「デウス・エクス・マキナ」とは「古代ギリシアの演劇において、劇の内容が錯綜してもつれた糸のように解決困難な局面に陥った時、いきなり絶対的な力を持つ神が現れ、混乱した状況に解決を下して物語を収束させるという手法を指した。」のだそうである。

 ギリシャ悲劇はこうやって終わっていたんだな、にっちもさっちもいかなくなった状況を神様が勝手に交通整理をして解決してしまう、こういったラストシーンを見て古代ギリシャの人々はカタルシスを感じていたんだな、それってもしかしてもの凄くストレスが高かったのではあるまいか、と思ってしまった。
 アポロンが消えた後、客席に国旗と国歌の歌詞が印刷されたビラが大量に撒かれ、芝居が終わる。このビラが何を示しているのか、私にはよく判らなかった。

 藤原竜也も中嶋朋子も、嘆かせたら右に出る者はいない、という感じがする。その分、あまりにもはまりすぎてしまって、「型」を見ている感じもちょっとだけしてしまった。
 北村有起哉の個性なのか、ピュラデスという役のせいなのかはよく判らないのだけれど、中で比較的現代的だった北村有起哉演じるピュラデスが、逆に印象に残った。

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