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2006.11.11

「リーディングカンパニー Vol.5」を聴く

「リーディングカンパニー Vol.5」大沢在昌・京極夏彦・宮部みゆき自作朗読会
作・出演 大沢在昌/京極夏彦/宮部みゆき
観劇日 2005年11月11日 午後5時30分開演
劇場 ヤクルトホール K列23番
料金 4200円
上演時間 1時間55分(15分間の休憩あり)

 この朗読会はチャリティー公演で、今回の売り上げは日本赤十字社に寄付されるのだそうだ。
 昨年は終演後に物販のコーナーが非常に混雑していてパンフレットなどを買いそびれてしまったのだけれど、今年の会場はロビーも広く、開場時間が開演の50分前に設定されていたためか余裕をもって買うことができた。というわけで、パンフレット(2000円)を購入した。
 昨年までの朗読会のCD-ROMも販売されていたのだけれど、考えた末断念した。
 その他、ジッポのライターやブックエンドなども販売されていた、ようだ。

 感想は以下に。

 リーディングカンパニーを聴くのは昨年に続いて2回目だ。
 構成としては毎回同じようで、一幕は3人の作家が1人ずつ朗読し、二幕は3人が一緒に一つの作品を読む。昨年は、一幕ではそれぞれ他の作家の作品を読んでいたのだけれど、今年は自作を読んでいた。どちらも楽しい。

 トップバッターは大沢在昌で、「気つけ薬」。昨年と同様に「一年分、冷えている」という角川文庫に収められている作品だ。椅子に座り、足をもう一つの椅子の上に投げ出した格好で幕が開き、そのまま読んで、最後は被っていた帽子を深く顔を隠すように被り直すことで終わりを告げる。
 ハードボイルドな感じが、やっぱり衣装も含めてよく似合う。
 照明もシンプル、読み手もほとんど動きはない。それが良かった。

 次は京極夏彦で、「遺言にするほど」「引いてみた」の2編だった。いずれも「幽」連載の「旧耳袋」から選んだのだそうだ。
 このタイトルはパンフレットを購入したからこそ判明したので、多分、朗読の最初にも最後にもタイトルは言っていなかったように思う。
 本当に何もない舞台上で、スポットを浴びて、着物姿で歩きながらの朗読だった。
 原作を読んでいないからかもしれないけれど、江戸時代の話らしいのに、「Aさん」とか「Kくん」「Yさん」「Nちゃん」と仮名がアルファベットなのが気になって気になってしょうがなかった。最初に「Aさん」と言われたときは、無理矢理に「永さん」と頭の中で変換して聴いてしまったくらいだ。
 ぞわっとした雰囲気になったところで終了。

 最後は宮部みゆきで、「ブレイブ・ストーリー」の世界を使ったサイド・ストーリーをこの朗読会のために書き下ろしたのだそうだ。
 ピアノの生演奏、丸っこい鳥のぬいぐるみがたくさん、ご本人は「魔道師」の扮装で黒のとんがり帽子に黒の長いローブ姿。これが可愛い。
 台詞に合わせて照明が光ったり、一番凝った舞台だった。

 それぞれ15分間ずつくらいで、ここで15分間の休憩が入った。

 一幕の途中で、恐らく携帯電話で写真撮影をした人が会場にいたらしく、スタッフの方(2006.11.12追記:コメントでご指摘いただきましたが、観客同士のやりとりだったのかも知れません。私の席からは確認できませんでした。推測で書いてしまい、申し訳ありません。)が「預かるから。」「信用できないから電池を抜いて。」と注意している声が聞こえた。
 写真撮影はもちろんのこと、携帯電話の電源を入れたままのマナー違反はとんでもないと思う。
 作家と作家の朗読の幕間で幕も閉まっていたとはいえ上演中、しかもかなり離れたところに座っていた私にもはっきりと聞こえるくらいの声だったので、一瞬、客席の雰囲気が変わりかけてしまい、もう少し周りに影響がないようにスマートに注意できるといいのにな、と思わなくもなかったけれど、こうしてきちんと毅然と対応すべきだと思う。

 二幕は3人で「五徳猫」を演じる。ではなくて、朗読する。
 原作をそのまま読んではとても時間が足りないし、かといった一部を抜き出すとどんな話なのかさっぱり判らなくなるということで、ほとんど書き下ろしに近いような感じでこの朗読会用に再構成したのだそうだ。
 この再構成した全文が掲載されているということで、つい、パンフレットを購入してしまったのだった。

 やっぱり、面白い。
 原作を知らないで聴いたらストーリーは理解できないんじゃないかと思ったけれど、でもストーリーを理解できなくても、1人何役も務めるお三方を見てその声を聴いているだけで満足だ。
 京極夏彦本人が中善寺秋彦と榎木津礼二郎を演じているところが、また魅力的だ。
 最後のフリートークで、大沢在昌が「榎木津と(京極夏彦は)キャラが被っている」と言っていたけれど、中善寺秋彦とも被っているんじゃないかと思ったりした。

 とても、楽しかった。
 何より、お三方が本当に楽しそうに朗読して、声色を使い分けて、舞台にいらっしゃるのが伝わってくる、温かい朗読会だった。

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コメント

まこ様、コメントありがとうございます。

 まこさんもリーディングカンパニーにいらっしゃったのですね。会場のどこかですれ違ったりしていたかもしれませんね。

 幕間のトラブルは、スタッフの方の注意のように受け取っていたのですが、おっしゃるとおり客同士のやりとりだったのかも知れません。そちらの可能性は頭に浮かびませんでした。本文の方に訂正を入れておきます。ご指摘ありがとうございます。
 いずれにしても、あのトラブルは残念でした。

投稿: 姫林檎 | 2006.11.12 10:52

はじめまして。リーディングカンパニーの感想文をさがしていて、おじゃましました。おっしゃるように「温かい朗読会」でしたね。たのしかったです。
幕間のトラブルは残念でした… 暗くてよく見えなかったので、おかしな客同士のいさかいだと思っていました。スタッフの方だったのか… 女性の態度がわるかったのでしょうが、ちょっとどぎつい注意でしたね。

投稿: まこ | 2006.11.12 10:46

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