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2006.11.25

「タンゴ・冬の終わりに」を見る

「タンゴ・冬の終わりに」シアターコクーン・オンレパートリー2006
作 清水邦夫
演出 蜷川幸雄
出演 堤真一/常盤貴子/秋山奈津子/段田安則
    毬谷友子/高橋洋/月川悠貴/新橋耐子
    沢竜二 他
観劇日 2006年11月25日 午後2時開演
劇場 シアターコクーン 1階A列7番
料金 9000円
上演時間 3時間(15分の休憩あり)

 ロビーで、パンフレット(多分、1800円)の他、Tシャツや今回のお芝居の出演者が出演している舞台のDVDなども販売されていた。

 ネタバレありの感想は以下に。

 幕開けでいきなり度肝を抜かれる。
 でも、度肝を抜かれつつも既視感もあるのが不思議だ。
 舞台いっぱいに階段状に客席がしつらえられ、そこにたくさんの若者が詰めかけている。何かの映像を見ながら興奮している。映画で盛り上がっていたり、スポーツ中継で盛り上がっているにしては、そこに集まっている人々が怪我をしていたり、服が破れていたりしている。では、一体何に興奮しているのだろう? ニュース映像だろうか。

 スローモーションで若者達が去った後、そこには「せいさん」と呼ばれる堤真一演じる「引退した俳優」が残っている。
 そこに、秋山奈津子演じる彼の妻がやってくる。舞台上で突然引退宣言をし、故郷に戻り、実家であるつぶれかけた映画館にいる俳優を追って来たのだ。その映画館は、高橋洋演じる末弟が、毬谷友子演じる従業員とともに苦しいながらもやっていたけれど、ついに新橋耐子演じるおばさんに売ることが決まったところである。
 この「おばさん」が何だか凄かった。とてもじゃないけれど「頭痛、肩凝り、樋口一葉」で幻のような存在の「蛍」を演じた人と同一人物が演じているとは思えなかった。どうみても「その辺の田舎のちょっとやり手のおばちゃん」だった」

 「引退を惜しむ人々が自分にカムバックを誘いにやってくる」という思い込みから、俳優はどんどんと自分だけの世界に入ってゆく。
 映画館の中には彼にだけ見える空中ブランコに学生時代の友人が乗り、理科実験室から盗み出した孔雀が飛び、多分幻なんだろう「親戚のおじさん」が現れる。
 彼は妻を「姉さん」と呼ぶようになる。その「姉さん」はもう何年も前に自殺して亡くなっている。

 献身的な妻は、献身的に尽くすうちに、あるいは元から狂気の世界に入っていたのか、俳優の振りをして、彼の元恋人を呼び出す。本人曰く「何かの刺激のきっかけになれば」ということだ。
 でも、常磐貴子演じるその元恋人の女優は、実は俳優が若さや希望や夢やそんなものを取り戻すために恋人役に選ばれただけだった、しかもそのシナリオを書いたのは俳優自身ですらなくその妻だったということが明らかになる。常磐貴子は、生硬な印象が役にとても合っていたと思う。
 彼女の現在の夫である段田安則演じる男も、彼女を追って映画館にやってくる。

 俳優はこの元恋人のことはすっかり忘れている。忘れているけれど、再び恋に落ちる。
 彼女の方も、彼と話しているうちに「完全に利用された」という思い込みから、「最後には本当に恋されていた」という納得にシフトすることができる。
 そして、この2人が踊るタンゴは本当に綺麗だった。
 黒一色の堤真一と、白いワンピースの常磐貴子、何だか端正で優雅なダンスだった。

 でも、妻の方は、このダンスを見て何かがプツンと切れてしまったようだった。
 「もう妻も、姉さんも、女も、全部の役を降りる!」と叫ぶ。

 座布団を「これは孔雀だ」と言い始めた俳優に、元恋人は「それは単なるぼろだ」と言い、逆上した俳優に殺されてしまう。
 妻を殺された男は、俳優を刺し殺す。
 最後に残ったのは、俳優の妻だ。「どうすれば良かったのか判らない」と彼女は独白するけれど、彼女が全ての役を降りたから、俳優は生きることができなくなったんじゃないかという気がした。
 「ほっ」と言いながら片手をあげる挨拶をすれば良かったんじゃないかという気もした。

 そして、ラストシーンは幕開けのシーンと同じだ。大勢の若者が再び舞台狭しと集まり、叫び、興奮している。何故、何に興奮しているのかは、やはり判らない。
 けれど、これは、俳優が若い頃に演じた芝居の一部であったことが判る。多分、そうなんじゃないかと思う。
 正直に言うと、舞台全体を通して、私にはとても判りにくかった。多分、私が受け止めたこのお芝居の形は、どこか足りないところがあるように思う。でも、とてもとても集中して見てしまうお芝居だった。 

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コメント

 都弥乃さま、コメントありがとうございます。

 お立ち寄りいただきまして、こちらもありがとうございます。
 お楽しみいただければ幸いです。

 そうですね。少なくとも、堤さん、段田さん、高橋さんは「幻に〜」と重なっているんですね(他にも仮名鳴っている方がいらっしゃるかも知れませんね)。狂気の世界にいる、狂気の世界に行くまでは第一人者というか一線にいた、という堤さんが演じたキャラクターもそういえば似ています。

 高橋洋さんは、「間違いの喜劇」(だったと思う)での道化っぽい役が印象に残っています。コミカルな役がとてもハマっていました。

投稿: 姫林檎 | 2006.11.26 22:36

60000ヒット、おめでとうございます。
これからも寄らせていただきます。

私も先日、「タンゴ~」観て来ました。

私には、「幻に~」よりもわかりやすいかな?と
思いました。
思っただけで、難しいことには変わりないんですけどね。

休憩挟んで、3時間。
長いけれど、あっという間でした。

高橋洋さん、この頃感情を表に出す役が多いですよね。
ちょっとひねくれた役より好きかも。

投稿: 都弥乃 | 2006.11.26 19:33

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