「ナイス・エイジ」を見る
「ナイス・エイジ」NYLON100℃
作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演 峯村リエ/大倉孝二/みのすけ/松永玲子
長田奈麻/新谷真弓/安澤千草/廣川三憲
藤田秀世/喜安浩平/大山鎬則/吉増裕士
杉山薫/植木夏十/皆戸麻衣/柚木幹斗
佐藤誓/志賀廣太郎/原金太郎/坂田聡
池谷のぶえ/加藤啓/立石凉子
観劇日 2006年12月23日 午後6時30分開演
劇場 世田谷パブリックシアター 2階B列34番
料金 6200円
上演時間 3時間45分(15分間の休憩あり)
ロビーではパンフレットやDVDなどが販売されていた。ナイス・エイジ(初演なのか、前回公演なのか)のDVDもあった。
NODAMAPもそうだったけれど、NYLON100℃でもパンフレットとは別にCASTやSTAFFが書かれた紙が配られるのが有り難い。
ネタバレありの感想は以下に。
NYLON100℃のお芝居にはちょっと苦手意識があるのだけれど、今回のお芝居は何だかすんなりと、時間を忘れて見てしまった。何故だろう。
題材としてはタイムトラベルもので、何故か越してきたアパートがタイムパトロールの本部になっていて、お風呂の湯加減を見るとその温度によって適当な時代にタイムトラベルさせられてしまう、という設定は荒唐無稽だ。
どうしてお風呂の湯加減なのか。
お芝居の「今」は2000年8月12日で(最初はずっと2006年だと思って見ていたので、計算が合わないと思っていた間抜けな私)、長女が亡くなった1985年や、父と母が出会った1964年や、1945年のそれぞれ8月12日に飛ぶ。湯加減で決まると言いつつ、何故か日付は動かない。
1985年8月12日は日航機の墜落事故が起こった日だし、1945年8月12日は終戦3日前だ。
最初は「夢だ」と言い張っていた父もいつの間にか順応するし、長男はパンをかっぱらって食べつつやっぱりいつの間にか自分の親の家に居候を決め込む。
女性陣の方が順応はやっぱり早くて、次女は1985年だと気づいた次の瞬間には「お姉ちゃんを助けなくちゃ」と走り出すし、母は未来に飛んでしまい自分の孫から「どこの家にも2〜3台はあるけど絶対使っちゃいけない」タイムマシンを借りてやっぱり長女が亡くなった1985年に向かう。
映像がところどころで効果的に使われ、ダンスシーンが入り、始まりも終わりも家族は壊れている。
「王道を行く」という印象だ。
だから、ストーリーに突っ込みを入れても仕方がないような気がする。面白かったし、時間を忘れて見ちゃったし、3時間45分という長い上演時間を感じさせないお芝居だった。引き込まれるように見てしまった。
でも、どんなお芝居だったのかと聞かれるととても困る。
何だか感想が浮かびにくいのは何故なんだろう。「物語」を感じさせる設定はたくさんあって、伏線もたくさん張られていて、いくらでもベタな物語の世界に持って行けるように思うのに、何故か私には「物語」拒否しているように受け止められた。
長男は手先が器用ででも思った通りの物は作れない発明家(?)なのだけれど、彼とタイムマシンとの間には何の関係もない。
タイムパトロールは全人類のうち7人しかいないらしいのに、どうしてこう時間旅行者とすれ違っても取り逃がすような人がやっているのか。しかも、とうとう切れちゃって、俳句を五九八にしたりといういたずらをやり放題。
そのいたずらが限度を超えて、物語の最後には、やっと一家揃って2000年に帰ってきた廻家で、少しは家族も上手く行きそうになったのに、5分後にはいたずらでぐちゃぐちゃになった世界を立て直すために最小限必要な記憶を残して全てリセットされる。
リセット後、どうも「「最小限必要な記憶」すら残っていないか、その判断を間違ったんじゃないかという感じの会話があって、幕だ。
この後も廻一家の物語はどんどん増殖しそうな感じがする。でも、しない。
とにかく、面白かった。
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