「だれも知らなかったアルフレッド・ウォリス」に行く
2007年2月3日から3月31日まで、東京都庭園美術館で開催されている「だれも知らなかったアルフレッド・ウォリス」のチケットを友人にいただき(ありがとう!)、行って来た。
門から美術館に向かう道は意外と人がいて、これはかなり混んでいるのかも知れないと思ったのだけれど、元々この美術館はゆったりと絵が配置されているし、気に入った絵の前で立ち止まれるくらいの余裕は十分にあり、部屋に1日きりになってしまうようなことはない程度の、ちょうどいい感じだった。
アルフレッド・ウォリスという人は、漁船に乗り、船具を扱うお店を営んでいて、70才になってから全く独学で絵を描き始めたという人なのだそうだ。
解説によると「一件稚拙だが、絶妙な構図の感覚、ある種の自由さ、生命感」といったものがある絵だという。
正直に言って、よく判らない。
最初に見た印象は、「書き割りのような絵だな」ということだった。何というか、無理に立体に描くことをしておらず、見えるまま平面に写しているという感じなのだ。
「厚紙」に描かれたと書いてあるのだけれど、その厚紙には折り目がついていたりして、お菓子の空き箱を開いて裏に描いているんじゃないかという感じの絵も多い。四つ角のある四角い絵はほとんどなかったのじゃないだろうか。
ベン・ニコルソン、クリストファー・ウッドという若い画家の目に止まらなければ、今の日本で個展が開催されることもなかったに違いない。
70才を超えたウォリスが昔を思い出し、様々な船の変遷を描き分けているという。船に全く詳しくない私にはその「描き分け」は判らないのだけれど、甲板に舵がある船があったり、帆船もあるし、汽船もある。自分の生業だった船と海に愛着があることは、判る。
それは、空は時々塗っていなくて厚紙の地が見えている絵もあるのに、海を塗っていない絵はなかったり、魚は船と比較して不思議なくらい大きく描いてあるのに飛行船は鉛筆でちょこちょこっと描き足してあったりかもめも絵筆でちょこちょこっと描いただけのように見える感じだったりすることからも伝わる。
絵にはタイトルが付いているのだけれど、多分、このタイトルはアルフレッド・ウォリス本人がつけたわけではないのではないかという感じがした。
のんびりゆっくりできる楽しい絵画展だった。
東京都庭園美術館の「だれも知らなかったアルフレッド・ウォリス」のページはこちら。
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