「劇的リーディング~旅する編~」を聴く
「劇的リーディング~旅する編~」―小さな本から広がる劇的世界の旅―
企画・構成・演出 土井美和子
ピアノ・作曲 園田優
出演 平田満/竹下明子
上演作品
「使いみちのない風景」村上春樹 〜「使いみちのない風景(中公文庫)」より
「街歩き」「新宿」長田弘 〜「感受性の領分(岩波文庫)」より
「ゴルフと遊園地」江國香織 〜「赤い長靴(文藝春秋)」より
「ノモンハンの鉄の墓場」村上春樹 〜「辺境・近境(新潮文庫)」より
「ひぐれのひまわり」安房直子 〜「夢の果て−十七の物語−(瑞雲社)」より
「花の下」倉橋由美子 〜「夢の通い路(講談社)」より
「猫町」萩原朔太郎 〜「猫町(岩波文庫)」より
「もうひとつの時間」星野道夫 〜「旅をする木(文春文庫)」より
アンコール
「猫との旅」村上春樹 〜「使いみちのない風景(中公文庫)」より
観劇日 2007年4月6日(金曜日) 午後7時開演
劇場 赤坂区民センター 区民ホール D列21番
料金 3200円(Kissポート価格)
上演時間 1時間45分
Kissポート財団の案内では、上演予定作品が「モンゴル紀行(司馬遼太郎)/海辺のカフカ(村上春樹)ほか」と案内されていて、そのラインアップに惹かれたのだけれど、ぴあで案内された上演予定作品情報が正しかったことが判明した。
でも、結果としては、このラインアップで十分に楽しんできた。
3日公演の千秋楽ということで、アンコールに「猫との旅」も読んでもらえてラッキーだった。客席に空席が目立っていたのがとても勿体なかった。
感想は以下に。
生演奏のピアノがあって、朗読に合わせて風景だったり猫だったり朗読されない一節だったりが舞台奥に映像で映し出される。
その他は、ときどき木箱というか木枠というか、そのようなものがいくつか持ち込まれ、椅子代わりにされたり、「揺れている世界」を表したりしていただけで、舞台セットはとてもシンプルだ。
紺に近いブルーの表紙をつけた台本を手に、平田満と竹下明子が朗読する。平田満の声ってこんなの渋かったっけ、と思ったくらい格好良い。竹下明子は独特のイントネーションで不思議な感じを醸し出す。
2人とも基本は立って正面を向いて止まって朗読していたけれど、時々場所を変えたり歩きながら読んだり、後ろ向きに立っていたりする。もうちょっと動かなくても良かったかも知れない。
やはり、「使いみちのない風景」「ノモンハンの鉄の墓場」という、自分が読んだことのある2編が聴きやすかった。
でも、読んだことがあったのに、「ノモンハンの鉄の墓場」がモンゴルでの出来事を書いている一編だということをすっかり忘れていたことに気がついた。覚えていたら、2006年8月のモンゴル旅行の前に再読していた筈だ。
家に帰ったらもう一回読もうと思った。
今まで読んだことがなかった中では、倉橋由美子の「花の下」が一番印象に残った。
実は西行法師であった佐藤さんと一緒に佳子(けいこ)さんが「西行法師の時代の桜の木」の下に立つ物語だ(と思う)。ちょうど桜の時期だし、「願わくば」の歌は私でも知っているくらい有名だし、佐藤さんの台詞以外のほとんどを読んだ竹下明子の雰囲気にも合って、何だかとても印象に残った。
原作を探して読んでみようと思う。
もう一編、読んでみようと思ったのが星野道夫の「もうひとつの時間」だ。
最近、カナダのクィーンシャーロット諸島が気になっていて、インターネットで検索をかけると星野道夫の名前によく出会う。私の中ではどちらかというとアラスカというイメージが強い写真家だし、今回の物語もアラスカで出会った鯨がモチーフになっていた。
でも、こういう「意外な出会い」は大切にしなければ。
まずは「旅をする木」を読んでみようと思った。
小さな空間で、とても近いところに朗読者のお二人がいて、ちょっと贅沢な2時間弱を過ごせた。
今度はやっぱり「旅する編」で、違うラインアップの物語たちで聴いてみたいと思った。
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