2007年4月14日から7月1日まで、東京都庭園美術館で開催されている「−ホノルル美術館所蔵品より−大正シック」のチケットを友人にいただき(ありがとう!)、行って来た。
昨日の土曜日(2007.5.19)の午後に行ったのだけれど、館内に入ると意外と人がいて、展示室に3〜5人くらいずつという感じだった。
これくらいの人数だと、監視の方の視線を集中して感じることもなく、でもゆっくり見られてちょうど良い。
ホノルル美術館に所蔵されている作品の中から、ホノルル美術館の学芸員の方が選んだ大正時代から昭和初期にかけての作品が集められているそうだ。
2002年にホノルルで開催され、その後アメリカ合衆国内各地を回って、日本にやってきたそうだ。5年がかりで回って来たということだろうか。
絵について何も知らない私が見ると「浮世絵寄り−竹久夢二寄り」の絵が集められているという印象だ。
鷺娘の掛け軸(だったと思う)があるかと思えば、洋装で揺り椅子に腰掛けた女性の絵がある。
この「T夫人」という絵は、モデルになった女性の写真も横に掛けられていて、写真の部屋は和室なのに、絵のバックは洋室なのが何だか可笑しかった。
この揺り椅子をイメージした椅子が3階のウィンターガーデンに置かれていて、「ウィンターガーデンでだけは写真を撮ってもかまいません、椅子に座って記念撮影はどうですかという張り紙もある。入口で教えておいてくれたらいいのに、と(カメラを持ってもいないのに)思ってしまった。
その他、印象に残った絵は山川秀峰の「三人の姉妹」と武藤嘉門の「日光」という絵だ。
どちらも和装の女性が描かれているのだけれど、「三人の姉妹」の方は日立の創設者の令嬢方だそうで、そのうちの1人がカメラを持っている。最初は小さなバッグを持っているのかと思ったのだけれど、近寄ってよくよく見てみるとどう見てもフォルムがカメラだ。大正時代からこんなコンパクトなカメラがあったのね、若い女性が普通に(ではないかも知れないけど)持っていたのね、と驚いた。
「日光」の方は、東照宮を観光している和装の女性2人が描かれていて、そのうちの1人が「みざる いわざる きかざる」にカメラを向けている絵だ。記念写真ではなくて「さる」だけを撮りたいのね、と思って、やっぱり何だか可笑しかった。
一方で、「七夕」と題された絵では、女の子が身を清めるために髪を洗い、もう1人の女の子が井戸をのぞき込んでいる。のぞき込んでいる井戸の向こうに笹が見えて七夕だと判るのだけれど、そういえば前に時代小説を読んでいて、江戸時代には七夕には井戸さらいをする習慣があったのだと読んだなと思い出した。
この習慣は大正時代まで続いていたのだろうか。それとも「見なくなってしまった風習」を描いたのだろうか。
大正時代の絵がそうなのか、ホノルル美術館学芸員の方々の選択基準がそうだったのか、女性を描いた絵ばかりだ。
それに、女流画家が多いのも意外だった。男性の画家も、どことなく女性っぽさを感じさせる名前(雅号というべきか)をつけている。
絵と共に着物も何点か展示されていて、大胆なデザインのものが多いのにびっくりした。
なかでも、ミロの絵のような柄の着物と、エメラルドグリーンの地に大きくショッキングピンクと蛍光イエローと白の大きな(20cmくらいはあったと思う)のハートが重なるように一面に描いてある羽織があって、「これ、着てたの? 誰が?」と思ってしまった。
着物も(多分)全てが女性のものだった。袷よりも単衣が多かったのは、ホノルル美術館所蔵だからだろうか?
庭園美術館は、美術館自体を見るのも楽しい。
前回行ったときと比べて、今回新しく浴室が公開されていた。かなり広いのだけれどユニット式になっていて、バスタブとシャワーと洋式トイレと洗面台が同じスペースに納められていたのが意外だった。
のんびりゆっくりできて楽しかった。
東京都庭園美術館の「−ホノルル美術館所蔵品より−大正シック」のページはこちら。
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