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2007.05.05

「ひばり」のテレビ放映を見る

「ひばり」
作 ジャン・アヌイ
翻訳 岩切正一郎
演出 蜷川幸雄
出演 松たか子/橋本さとし/山崎一/壤晴彦
    小島聖/月影瞳/松下砂稚子/品川徹
    二瓶鮫一/塾一久/稲葉良子/横田栄司
    益岡徹
2007年2月7日〜2月28日 シアターコクーン

 2007年3月25日にNHK教育で放映された、舞台「ひばり」を録画しておいたものを、やっと今日になって見た。

 感想としては、やっぱり生の舞台で見たかった、ということに尽きる。
 劇場の3時間と、家のテレビで見ている3時間とはここまで時間の流れ方が違うものかと驚いてしまう。

 ジャンヌ・ダルクという名前は知っているけれど、よくよく思い返してみれば、フランス軍の先頭に立って闘って敵を追い払い、最後は魔女の烙印を押されて火刑に処せられたということしか知らない。
 ジャンヌ・ダルクって誰と闘ったんだっけ?
 いつの時代の人だっけ?

 その程度の知識で見ていたので、まず裁判の場で、橋本さとし演じるナントカ公爵と益岡徹演じるナントカ司教がどうして対立しているのかが判らず、二瓶鮫一演じる異端審問官と呼ばれる人の役割が判らず、判らないまま「格好いい声だよなぁ」と聞き惚れてしまった。
 格好いい声といえば、山崎一演じるシャルル王太子の愛人役の小島聖の声も艶っぽくて良かった。

 それでも、やっぱりこの舞台は「ジャンヌ・ダルク」一人勝ちの舞台で、つまりジャンヌ・ダルクを演じる松たか子一人勝ちの舞台だ。
 圧倒的な台詞の量で、正面を向いて、15歳そこそこの少女から一体何歳まで演じたのかはこれまた知識が足りなくて判らなかったのだけれど、くるくると動く瞳で少女を演じ、落ちくぼんだような隈の浮き出た目で闘う女を演じ、低く抑えた声で天使ミカエルの声を演じる。「迫力」の一言だ。

 それでも、松たか子が演じるジャンヌ・ダルクは決して迷わない宗教的確信だけに裏打ちされた人ではなく、時に迷い恐怖する普通の人間に見える。
 勇気を出す方法は先に恐がれるだけ恐がってしまい、「もう私は全身で恐がってしまったのだからもう怖くない」と思うことだ、と言う。私には実践できそうにないけれど(それに、先回りしてまだ起こっていないことを恐がることが勇気に繋がるというのも今ひとつピンと来ないけれど)、「聖女」っぽくなくて「人間」っぽい感じがする。

 彼女の「説得」を、やっぱり生で直に聞きたかったと思った。

 ラストシーンが火刑の場面ではなく、恐らくジャンヌ・ダルクが一番誇らしかっただろうシャルル王太子の戴冠式の場面だったのも、この場面を演じさせてやってくれと元部下が現れるのも、何だかよい感じだった。

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