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2007.08.19

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「LOVE 30〜女と男と物語〜」
演出 宮田慶子
音楽 稲本響
「北向きの女」
作 青木豪(グリング)
出演 純名りさ/内田滋
「アルゼンチンにて」
作 赤堀雅秋(THE SHAMPOO HAT)/田村孝裕(ONEOR8)
出演 鈴木砂羽/尾美としのり
「箪笥の行方」
作 田村孝裕(ONEOR8)
出演 小西美帆/羽場裕一
観劇日 2007年8月18日(土曜日)午後3時30分開演
劇場 パルコ劇場 B列25番
料金 7000円
上演時間 1時間50分

 実際には30分3本勝負よりも少し長めだった。
 開演ギリギリに劇場に着いたので、パンフレット等の物販はチェックしそびれてしまった。
 客席は、比較的空席が目立って少し勿体ない。今日以降の公演では、終演後に出演者や作者によるアフタートークが開催されるそうだ。ロビーではチケットを5000円で販売していたようだけれど、当日券はどうなのだろう?

 多分ネタバレありの感想は以下に。

 とにかくイタイお芝居たちだった。
 どのお芝居も、30分強という短さを感じさせないし、舞台の上に2人という少なさも感じさせない。
 セットも微妙にチープな感じだけれど、その白い大きな屏風(というか衝立というのか)を向きを変えたり裏表を使ったりすることで場面転換がされるのも楽しい。

 純名りさ演じる社長の愛人である女と内田滋演じるその後輩の男がモデルルームに2人。
 最後には、男が社長に女と別れさせるために仕組んだことだと告白するのだけれど、あなた達、何年か前には言わなかったけどお互い好きだったのね、という感じが漂い続ける。
 女も「自分に正面から向き合わない」「何にも一生懸命にならない」「妻子ある人しか好きにならない」ととんでもない女風なのだけれど、盗聴器を仕掛けて、女が自分に言い寄るように仕組んで、そして弾劾するこの後輩の男ってどうなのよ、と思う。
 お芝居は、この男を正当化する方向でずっと進み、女が最後に「卵焼きから練習するか」とこの男のおかげで前向きになった(ように見える)ところで終わるのだけれど、何だか釈然としない。
 女も何を考えているのか、これだけ心情を吐露する台詞があるのに実はピンと来なかったのだけれど、この男だって相当にイヤな奴だし、大体、盗聴を許すわ自分で決断できないわ部下に別れ話をさせるわという姿を現さないこの社長が実は一番イヤな奴何じゃないかと思う。私だったら、この社長と部下と2人を並べて、間違いなくグーで殴る。
 この、モデルルームが「北向き」。

 鈴木砂羽演じるもうすぐ結婚する女と尾美としのり演じる10年前に付き合っていた男。2人は高校の同級生で、2次会のカラオケが終わり、3次会に移る前のひとこま。
 男が、付き合っていた頃にベッドで撮った写真を女に見せ、女は「これは脅迫なの?」と返す。
 寄りを戻したいのか戻したくないのか、2人の駆け引きのお芝居だ。
 多分、2人とも真剣で迷っていて腹を立てていて成りゆきでどちらにも転ぶつもりでいて、でも、相手に「どうぞ選んで」と言われると腰が引ける。決めたのは自分じゃないと思うための駆け引きだ。
 どうしてカラオケボックスに「だるまさんがころんだ」をやるだけのスペースがあるんだと言いたいけれど、キーは「だるまさんがころんだ」に勝つかどうか。
 相手が目隠しをして向こうを向いているところと、「だるまさんがころんだ」を言う方がいくらでもタイミングを決められるところがポイントだ。
 このお芝居が一番イライラしたかも知れない。
 女は、「だるまさんがころんだ」に勝つことなく、カラオケボックス「アルゼンチン」を出て、婚約者が待つ3次会に向かう。
 これは「前向きな結末」なんだろうか。

 小西美帆演じる「あと半月で30才になる女」と羽場裕一演じる40になったバツイチの男が、3年の同棲を経て新居に引っ越そうとしていたところ、その前日になって女が急に別れると言い出す。
 割とすぐ、「別れる」と女が言い出したのは、男に引き留めてもらい、プロポーズしてもらいたいからだということが判る。見ている客席には自明のことなのに、いつまでもぐだぐだうじうじと男は情けな〜いことを言い続ける。
 それでも、このお芝居はハッピーエンドで終わる。そう確信できたら、もの凄く安心して見ていることができる。特に女の側にイタイ話が2本続いた後だから、余計にリラックスできる。
 この3本目の途中で地震があり、ビルの9階にあるパルコ劇場は結構ゆれた。ざわつく客席も建物の揺れもものともせず演じ続ける2人。それなのに、途中で小西美帆がミネラルウォーターを飲むシーンでむせてしまい、羽場裕一が「水を飲め」とアドリブでフォローしたシーンでは、なかなかむせたのが治らなかった世もあると思うけれど2人とも素に戻って苦笑いしているのが可笑しい。
 女が「やっぱり私じゃダメだってことだね」と言い置いて去ってゆく。戻ってきて「プレッシャーをかけるつもりで30才になる前に結婚したいって言っていたけど、実は32才なのっ!」と怒鳴って再び去る。
 裏側にプロポーズの言葉を書いたから譲りたくなかった箪笥の裏を見ると、彼女が「結婚しよう」という言葉に大きくバツをつけ、「自分で言え!」とさらに大きな字で書いてある。
 彼女を追いかけて幕、である。よし! という感じがする。

 多分、女の年齢は1本目から3本目に向けて下がってゆく。
 3本目は「40才と29才」とニアミスさせたのねと思っていると、やっぱり女は30代であることが最後に判る。
 この3本はこの並べ方しかない、という感じがする。
 1本目に出演していた内田滋が、2本目の後、引っ越し業者さんのような格好をして場面転換を手伝い、尾美としのりに「そんなに出たいの?」と突っ込まれているのも可笑しい。
 楽しい仕掛けの、それでもやっぱりイタイお芝居だった。

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