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2007.09.18

「金と銀の鬼」を見る

「金と銀の鬼」X-QUEST
作・演出・出演 トクナガヒデカツ
出演 伊勢直弘/佐藤仁美/市川雅之/荻窪えき
    清水宗史/塩崎こうせい/大西小西/谷口洋行
    野路春秋/高田淳/金木孝明/横内亜弓
    片桐はづき/宮脇愛/猪狩敦子/上杉晋平
観劇日 2007年9月17日(月曜日)午後1時開演
劇場 シアターVアカサカ E列4番
料金 4000円
上演時間 2時間20分

 知り合いにお声をかけていただいて、おまけにチケット予約もしていただいて、見に行って来た。最近は冒険をしなくなっているので、初見の劇団のお芝居を見るのは久しぶりのことだ。
 ロビーではパンフレットの他、Tシャツなども販売されていたようだけれど、詳しくはチェックしなかったので不明である。

 ここしばらく、「誰かと一緒に芝居を見る」ということをしていなかったので、隣の席に知っている人がいて、見終わった後にお芝居の話をするということを久々にやって、とても楽しかった。

 X-QUESTの公式Webサイトはこちら。

 ネタバレありの感想は以下に。

 「殺陣ありダンスありのお芝居」という風に聞いて見に行ったのだけれど、まさにその通りだった。
 「秋味」の頃の新感線を彷彿とさせる殺陣のシーンで始まり、ダンスもありの大音響、ところどころに出てくるギャグはアドリブに見せかけてはいるけれど全てが「仕込み」のようである。
 決して広いとは言えないシアターVアカサカの舞台上で、結構な人数で殺陣を見せ、ダンスを踊る。
 終わったときには、ふーっと息を吐いてしまったから、舞台と客席が近くてダイレクトだったし、途中で息をするのを忘れてしまっていたのかも知れない。

 最初の登場シーンで斬られ役が目隠しをしているのは、怪しげな雰囲気を出すためというよりも、恐らく、すぐ後にメインの役で登場したときの違和感をなくすためだと思う。上手いやり方だ。

 見た感じと、配布された配役表の「闘う色男の狂宴」という惹句から、最初は若い劇団でもっと若い役者さん達だと思って見ていたのだけれど、ところどころに挟まれたサブカルのギャグで「これを書いた人は同年代だ」と確信した。
 (ちなみに、「北斗の拳」を見ていなくても、「北斗の拳」が共通語になる世代だということである。)

 タイトルのとおり、鬼の里を治めている、「金(こんじき)」と「銀(しろがね)」という名の鬼の兄弟の物語である。
 最初に字幕で「本当の兄弟ではなかった」と見せる辺り、後になって思うと「大映テレビを見て育った世代ね」という親近感が湧く。もちろん、見ているときにはそんなことは判らず、「謎が謎を呼ぶ」ストーリーなんだな、と思っただけである。

 そのとおり、意味ありげな登場人物たちが次々と登場しては絡んでゆく。
 鬼を退治しにモモ太郎とミドリ丸がやってくる。
 鉄(くろがね)という鬼が下克上を試みる。
 銀(しろがね)は、空を飛ぼうと飛行機づくりに精を出していた人間の兄弟と仲良くなる。
 鬼の里の蔵の中には、鬼を斬ることができる「鬼斬りの剣」が眠っている。
 「鬼斬りの剣」を守る、桜満(多分、劇中で名を呼ばれることはなかったと思う。何と発音するのか最後まで判らなかった)という人形がいる。この「人形」が、「鬼斬り」を「おにぎり」と発音するもので、いつの間にか洋風おにぎりの話になり、その脱線が延々と続くのはご愛敬である。
 一緒に見に行ったお二方に「どの役をやりたいですか?」と尋ねたら、口を揃えて「洋風おにぎり」と即答されていた。

 鬼を統べていた「金」は、実は人間の「鬼子」で、それを「銀」が助け、自分の角を与えていたのだということが最後に判る。
 いったんひねって、「銀」の方が、人間の子なのではないかと思わせる辺りが上手い。
 どうして「銀」は「金」を助けたという記憶を失っていたのか、鬼は触れられないとされている「鬼斬りの剣」に普通に触ることができたのか、劇中で説明されないのがちょっと消化不良なのだけれど、それはダンスと殺陣の迫力でお釣りが来る。

 その、真実が判るクライマックスで全ては桜満と「金」の口から語られているのだけれど、何故だか聞き逃してしまい、実は私はこの物語の本当のところを見逃しているし聞き逃しているんじゃないかという風に思っている。
 それは、「今、大事なことが語られた」という感覚だけが残っているというのではなくて、「今、はっきりとテーマが語られた」という確信があるのだけれど、何故だか耳に入らず、頭で理解することができなかったのだ。
 私の頭がアホ過ぎて単純に漢字変換ができなかっただけのような気もするけれど、それだけではなく、多分、台詞に思い入れがありすぎたんじゃないかという気がした。

 見終わって感想を聞いていたら、お二方とも「**のお腹が割れていたよね」「二の腕の筋肉が凄かった」という風におっしゃって、そんなところは見もせず、当然のことながら記憶にも残っていない私は驚いてしまった。
 ミドリ丸(高田淳)、青龍(大西小西)、紅龍(猪狩敦子)の殺陣が非常に美しかったということも強調されていた。
 やはり、自分で踊ったり殺陣をやったりしている方達は見るところが違うのだなと納得した。

 本当に久しぶりに「初めて見る劇団」のお芝居を堪能して楽しかった。
 次回公演もチェックしようと思う。

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