第二章「流れ姉妹〜ザ・グレートハンティング〜」を見る
真心一座 身も心も 第二章「流れ姉妹〜ザ・グレートハンティング〜」
作 千葉雅子
演出 河原雅彦
出演 河原雅彦/千葉雅子/坂田聡/村岡希美
高田聖子(2代目ゲストレイパー)/小林顕作/政岡泰志
伊達 暁/信川清順/相島一之(2代目ゲストラバー)
観劇日 2007年10月21日(日曜日)午後1時開演
劇場 赤坂RED/THEATER C列9番
料金 5500円
上演時間 2時間15分
千秋楽の一本前の回。
カーテンコールに出てきた河原雅彦が「1時って早いよね。」とボヤキともつかないことを言っていたのが可笑しかった。
第一章では間に合わなかったパンフレット(900円)も作りましたと宣伝されていたのだけれど、迷った末に買わなかった。Tシャツはすでに売り切れていた。チラシの絵柄をそのままTシャツにしたのだと格好良かったかも。
ネタバレありの感想は以下に。
2代目ゲストレイパーがどうして高田聖子なんだ? という疑問がこのお芝居の肝であり全てだと言ってもいいくらいじゃないかという感じがした。
チラシを見て、てっきり女性の役で登場するのだとばかり思っていたから、彼女が旅回り一座の座長として登場したときには驚いたし、しばらくは「うーん、旅回りの一座の座長を務めるために男装している女性という設定なのか?」と真剣に考えていた。
第一章では、姉のたつこの相手の男はやたらと格好良くて、妹のかつこの相手の男はやたらと情けなかったような気がしていて、今回もその設定は変わらないのかと思っていたのだけれど、今回はどちらかというと妹のかつこの相手の男の方が格好良かった。
そのやたらと筋の一本通った格好いい男を高田聖子が演じるから、格好良すぎることなく、ときどき笑いが起こる。それが何だかいいバランスである。
最初は九州にいた妹のかつこと、札幌にいた姉のたつこなのだけれど、かつこは一座の公演地である境港に、たつこは警察で知り合ったサラリーマンの男が「一緒に行こう」と言った境港に、それぞれたどり着く。
妹のかつこは姉を捜しているのだけれど、姉は妹を捜しているのかどうか、謎だ。
その旅回りの一座と、かつこに惚れたらしい相島一之演じる男がニアミスしたりするのも、緊張感を高める。
坂田聡演じる刑務所の看守だった谷村もかつこを追って一座に入り込むし、河原雅彦演じるかつこの保護監察司である男もかつこの前に現れる。
いつの間にかトラブルを引き寄せる妹と、その妹が毅然と対処できないことに苛立つ姉、その姉は苛立ちの余り乱暴に攻撃を仕掛ける。自分のために罪を犯す姉に、やってもいない罪を被る妹。そもそも、姉妹で自分たちの母親を殺しているという罪を背負っているからなのか、妹が自分の罪を被ったことが原因なのか、たつこはいい男が寄ってきても、最後には受け入れられずに終わってしまう。関係性として救いがなさ過ぎる。
今回もそのパターンは踏襲されて、かつこは「清潔だ」と思っていた一座の座長に襲われる。それでも、「濡れ場を演じることができずに上演できなかった、一座の持ち芝居のためだ」と相手の男を許してしまうところも同じだし、妹が「許す」ことが信じられず苛立つ姉も同じだ。
この構造がある限り、この姉妹は幸せにはなれなさそうである。
というか、この「流れ姉妹」のシリーズは、そういうシリーズである。
谷村が見る夢で幕が開くところや、たつこが恋する相手とかつこが陵辱される相手が必ず現れるところ、たつこがバスタオル姿になるところ、何より2人が幸せにはなれなさそうなところまで、二作目にして「水戸黄門」や「寅さん」のような安定感ある「おきまり」がたくさんあって、しかもそれがマイナスに働かずに逆に幅を広げている感じなのが凄い。
でも、今回の新たな展開は、たつこが座長を絞め殺そうとし、かつこが姉を止めようとしたとき、二人の脳裏にかつて殺した母親が甦る。
いつの間にか、座長は姉妹の母親に姿を変えている。
これがあるから高田聖子だったのかと、そのシーンにはぱっと目の前が晴れたような、「やられた!」と言いたいような、爽快な気持ちになった。
ラストシーン、保護監察司が持ってきた郵便物の中に母親からの手紙を見つけ、姉妹は大阪にいる母親に会いに行くことになる。
もちろん、座長とも、サラリーマンから境港で旅館の客引きに転職した男とも、ここでお別れである。
ワニと真剣に闘う千葉雅子は相変わらず格好良いし、着物を半分脱がされて背中を見せた村岡希美は綺麗だ。
第一章から出演し、相変わらず一人何役もを演じ分ける小林顕作、政岡泰志、伊達暁、信川清順の"豪華がや陣"も楽しい。
第三章も見なくては、と思った。
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