「抜け穴の会議室」を見る
Team申第2回公演「抜け穴の会議室」
作・演出 前川知大
出演 仲村トオル/佐々木蔵之介
観劇日 2007年11月23日(金曜日)午後2時開演
劇場 赤坂REDシアター H列1番
料金 5000円
上演時間 1時間35分
ロビーでは、パンフレット(1000円)のほか、2人の直筆サイン入りポスターやTシャツ、手ぬぐいなどが販売されていた。
第1回公演のDVDも販売されていて、終演後はそちらに出演していた(らしい)佐藤隆太が売り子を務めていた。
特にこれといった問題があったわけではないのだけれど、客入れのスタッフの案内が今ひとつ気持ちよくなかったような気がする。何故だろう。もうちょっとピリピリしないでもいいんじゃないかという感じがした。
感想は以下に。
仲村トオルと佐々木蔵之介の二人芝居である。
白っぽい上着にベージュのパンツという格好のせいなのか、テレビなどで拝見しているとがっしりと大柄な人たちだという印象があるのに、驚くほど華奢に見える。
廃墟なのか岩山なのか、不思議な質感の部屋に机と椅子、いかにも病院にあるようなベッドに、本がずらりとある。
実は2人は死んでいて、仲村トオル演じるいかにも営業チックな名刺の出し方をした故に「部長」と呼ばれることになった男が先客、佐々木蔵之介演じる医者であったことを真っ先に思い出した故に「先生」と呼ばれることになった男が新たにその場所にやってくる。
そこは死者のための場所で、やってきた当初は誰もがまっさらで記憶が全くなく、そこで自らの人生を復習し、気が済んだところで来世に向かう。
そういう設定のようだ。
始まりはゆるい感じである。
いかにも年寄り風のしゃべり方をする「先生」に対して、やたらと爽やかな感じの「部長」が現状を少しずつ伝えようとする。
近い部屋に配属された2人は、生きているときも近い関係にあったらしい。
たくさん散らばっている本には、実は2人が生きていたときに起こった出来事が書いてあって、しかも2人が同時に触るとフラッシュバックで追体験をすることになる、らしい。
このお芝居がエンターテイメントの方向へ行くのか、ダークな方向へ行くのか、その見極めがつかないまま、この設定を理解するとかなりハラハラ感が強いし、引き込まれてしまう。
最初のゆるさは、このお芝居の導入に相応しいということが、終わってみるとよく判る。
佐々木蔵之介が「上手い」のはもちろんなのだけれど、仲村トオルが意外と言っては失礼だけれど、でも意外なくらい「上手い」。
前世に戻って学生時代に偶然出会ってその後も医者である「先生」が勤める病院に「部長」の娘が入院したり、さらに前の前世に戻って岩手弁をしゃべる兄弟の設定になったり、そして今の「死後の世界」と、キャラクターと設定がくるくると変わり、場面が変わってもフラッシュバックしていたときのキャラが残るなんていう複雑なことをしているのに、それがもの凄く判りやすい。
前々世で兄弟だった2人は恋敵でもあり、それが高じて「先生」は唯一兄である「部長」に勝るフリークライミングをしている途中、兄を見殺しにしてしまう。
その事実を思い出してからの展開はやはり重い。
でも、もっと重くしてもよかったような気がする。
「いったい、いつになったら本当に死ねるのか」という疑問が、口に出されただけで終わってしまうのは余りにも勿体ない。それなら、その疑問はこのお芝居の中で出さない方がいいような気もする。
前々世では「部長」に借りを作った形の「先生」が、実は、前世では再生不良性貧血だった「部長」の娘のドナーとなっていたということが判り、思い出し、少しだけわだかまりがほどける。
「復讐」の貸し借りでなく「感謝」の貸し借りをしていこう、という前向きな気持ちが出てくる。
そして、前世で2人を中尊寺で偶然に出会わせた「おばちゃん」が、実は前々世で2人が取り合った女性だったことを思い出し、大笑いし、「部長」は来世に向かうことにする。
そして、恐らく来世だろう場所で、2人がすれ違い、振り向く。
そこで幕である。
私の中の気持ちとしては、「上手いっ」というのと「勿体ない」というのが交錯した。
でも、最初から最後まで、笑ったり、息を止めて見入ってしまったり、集中して見てしまった。
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