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「ア・ラ・カルト〜役者と音楽家のいるレストラン〜」
演出 吉澤耕一
構成・出演 白井晃
台本・出演 高泉淳子
音楽監督・出演 中西俊博(vn)
出演 陰山泰/筒井道隆(visitor)/クリス・シルバースタイン(b)
竹中俊二(g)/林正樹(p)
観劇日 2007年12月15日 午後6時30分開演
劇場 青山円形劇場 Bブロック31番
料金 6800円
上演時間 3時間10分(10分間の休憩あり)
毎年恒例の「ア・ラ・カルト」に今年も行って来た。
昨年、公演期間の割と早めに行っていた私は知らなかったのだけれど、昨年の公演の途中から、ワインのフリードリンクサービスができなくなったのだそうだ。
白井さんが「有料なら自己責任ということだそうですので」と説明していて、なるほど、フリーだと飲酒運転その他を助長しているという扱いになってしまうのねと納得した。
ソフトドリンク(りんごジュースと紅茶)がフリーで、ワインは1杯300円で提供されていた。
ネタばれありの感想は以下に。
もう何回行っているか判らなくなってしまっているのだけれど、毎年恒例の「ア・ラ・カルト」でピアニストの指が見える位置の席だったことは、記憶の限りでこれまでなかった。
今回の席は、ピアニストの指がばっちり見えて嬉しい。
そして、特にピアニストの彼が、フロアの様子を窺い窺い、慎重に間合いを取っている様子が見えて、それも楽しかった。
いつものように、開店準備の風景から始まる。
このお皿投げが楽しい。今年もつつがなく成功。さい先が良い。
ここで自転車に乗った筒井道隆が登場した。このシーンにゲストが登場するのは珍しい。
ところで、バイオリンの中西敏博が、割と早いうちに弓を取り落とすアクシデントがあった。演奏には全く影響がなかったのだけれど、バンドメンバーが楽しそうに笑い、陰山泰は退場する途中で彼に向かって大拍手、クリス・シルバースタインは同じように弓を取り落とす振りをしてみせて笑いを誘う。
そのたび、男泣きに泣く真似をしてみせる中西敏博を見て、私の頭の中には「エンターテナーだねぇ」という台詞が浮かんだ。
高泉淳子演じる女性客が1人で現れたところで、レストランの開店である。
今年のカクテルは、ノンアルコールのプッシー・フットだった。ワインのフリーサービスがなくなったことと何か関係があるのかというのは邪推だろう。
彼女の今日の「お任せ」メニューが、お芝居の中味であるという趣向は毎年のことである。
タカハシとノリコさんは、めでたく結婚5周年の木婚式を迎えたそうだ。
相変わらずのでこぼこぶりが楽しい。タカハシがワインのテイスティングで「香りを楽しみます」とフガフガさせ、大笑いし、「楽しみました」とコメントすると知っているのに、それでもやっぱり可笑しい。
今年の彼らの話題は「エコ」。
エコバッグにもの凄い行列ができたという話は記憶に新しいけれど、そんな話も取り混ぜつつピリっと胡椒が効かせてあるのが嬉しい。
タカハシの将来に幸あれ、と祈りたくなる。
ここ数年、高泉淳子と男性ゲストが「さあ、恋を始めるぞ」という雰囲気まで持って行く過程を丁寧に見せているメインディッシュの主人公は、酒屋の娘と10歳年下の隣のそば屋の息子だった。お互い店を継ごう、一緒にやって行こう、この際だから結婚しちまえ、というところまで話が進む。
てきぱきと全てを進めそうな彼女からではなく、どことなくのんびりしていそうな彼の方から「結婚しよう」と何でもないことのように言われるのが可笑しい。
この可笑しみは筒井道隆ならではなのだろう。
お料理やワインの説明をもの凄く熱心にオーナーとウエイターの2人がかりでやっているのに、じーっと聞いた挙げ句に「期待してます」と彼が言うと、やっぱり笑えるのだ。
そして、筒井道隆はここでレストラン「ア・ラ・カルト」に見習いとして入店する。
ショータイムはもちろん、いつもの通り。
フラワーボーイズの登場は去年か一昨年からだったと思うのだけれど、今年は筒井道隆も若葉マークをつけて参加していた。白井晃扮するペギー冨岡が「彼にあげているんじゃないのよ」とコメントしているのが可笑しい。
筒井道隆は、ダンスをしていても、(多分)50代のレギュラー陣より30代の彼の方が何となくぎこちなく、目が泳ぎ、ワンテンポ遅れているように見える。
「Fly Me To The Moon」を歌いながら、客席でスポットが当てられた女性をじーっと見つめ、見つめつつ歩み寄り、最後に「ご協力ありがとうございました」と挨拶しただけで場内は好意的な笑いにつつまれる。人徳だよな、という感想が浮かぶ。
ペギー冨岡が「見えないお花をどうもありがとう! って言っていたら、お花がもらえるようになった。今度は見えない札束ありがとうって言ってみようかしら」と言ったら、客席から本当におひねりを渡す人が現れてびっくりした。白井晃も相当に驚いていたようだけれど、これが流行というか定番にならないといいなという気がした。
ここで、10分間の休憩。
休憩時間が終わり、マダムとゲストである筒井道隆の会話がまた可笑しい。
筒井道隆はほとんど「はい」しか言わないのだけれど、それがやっぱり可笑しいのだ。
マダムに「一緒に(中西敏博の家にお酒を飲みに)行きましょう」と言われて「いえ、一人で」と手を振ったり、マダムに「ウクレレの先生を紹介するわ」と(確か)言われて「お気持ちだけで」と答えたりしている。それを横で聞いていた中西敏博が「だんだん上手くなってきたね」とコメントしていたから、この筒井道隆は完全に素なのかも知れない。
一昨年かそれくらいまでは、デザートは両親が離婚して母親に引き取られた娘とその父親という組み合わせだったのだけれど、今年は昨年に引き続いて離婚した両親が登場した。
あのこまっしゃくれた女の子が結構好きだったので、また復活して欲しい。
ラストのコーヒータイムは、年老いたご夫婦が登場。
レストランの席につき、プレゼント交換し、ダンスをし、そして帰ってゆく。その後、陰山泰演じるギャルソンが出てきて、テーブルのろうそくの火で煙草を吸う。
この一筋たちのぼる煙草の煙の格好いいことといったらない。煙草は嫌いだけれど、この1本は許せる。
そして、最初の彼女が登場し、レストランのオーナーとギャルソン、見習いの彼も一緒に乾杯し、幕である。
アンコールの、ベルで奏でる「When I Wish Up On A Star」が妙に崩れていたのは、やはり筒井道隆が犯人なのじゃないかという気がするけれど、でも、ここまで暖かな笑いを作ってくれた彼らしいと言うべきだろう。
「我こそはエンターテナー」というゲストがショータイムを乗っ取って活躍する「ア・ラ・カルト」も楽しいけれど、今年のような「ア・ラ・カルト」も楽しい。そういえば、女性ゲストの年や、複数のゲストが来た年もあった筈だ。
これからも、もっと色々な「ア・ラ・カルト」が見られると嬉しい。
来年は20周年だそうである。
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