「ぼんち」を見る
音楽劇「ぼんち」
原作 山崎豊子
脚本 わかぎゑふ
演出 マキノノゾミ
音楽 coba
振付 南流石
出演 沢田研二/土居裕子/田中隆三/木下政治
野田晋市/出口ルナ/佐藤綾/原尚子
山口智恵/有馬自由/宴堂裕子/小椋あずき
加納幸和/土田早苗
観劇日 2008年4月12日(土曜日) 午後6時開演
劇場 紀伊國屋サザンシアター 2列19番
料金 8500円
上演時間 2時間40分(15分間の休憩あり)
ロビーでは、沢田研二のCDやこのお芝居のDVDが売られていたけれど、パンフレットやその他の物販はなく、何となく意外な感じだった。
意外なことに、客席はまばらな感じだった。
ネタバレありの感想は以下に。
脚本・わかぎゑふ、演出・マキノノゾミに惹かれて見に行ったということもあるのだけれど、「もう少し小さい劇場で、音楽劇ではなく、ぎゅっと詰め込んだラックシステムの感じが似合いそうなお芝居だな」とついつい思いながら見てしまった。
恐らく、スピーカーから近い席だったせいもあって、マイクの拾った声に違和感があったことも、そう思ってしまった一因だと思う。
大阪の船場にある、老舗の足袋問屋の沢田研二演じる「ぼんち」が5代目を襲名したときから、空襲でその店が焼かれてしまう日までを描く物語である。
タイトルにもなっている、遊び人でもあるけれど商売も上手い「ぼんち」だけれど、この足袋問屋は代々女系家族らしく、小椋あずき演じる母と、土田早苗演じる祖母が奥向きは万事仕切っている。
彼女らは、商売に口は出さないものの、「ぼんち」のお嫁さんを追い出し、女遊びはチェックし、生活を支配しようとしている。
「音楽劇」と銘打っているとおり、歌も踊りもあるのだけれど、ミュージカルという印象ではない。
感じとしては、こまつ座のお芝居に近いように思った。
ネットなどを見てみると「沢田研二が2001年から続けている音楽劇」と紹介されていた。
確かに沢田研二の歌が多かったし、彼のファンだろうと思われる一際大きな手拍子を送る観客もいたけれど、全体として「沢田研二一人勝ち」な舞台になっていない、そのバランス感覚はなかなか難しいことを達成しているのではないかと思う。
かなり前の方の席に座っていたこともあって、沢田研二が「まだ30にも届かない」と言うのに、それは無理でしょうとつい考え、土居裕子が「18です」と答えるのにも「もっと上に見えます」とツッコミを入れたくなるのが困りものである。
見た目が最初から最後までほとんど変わらず、劇中では恐らくかなり長い時間が流れているのだけれど、その時間を感じ取れなかったのも残念な気がする。
「ぼんち」を囲む女性たちを演じた女優さんが、何だかそれぞれに格好良くてファンになった。
役名とお名前が一致させられないのが残念である。
「ぽんた」という名の芸者さんは明るくぶっ飛んでいるし、「ひさこ」と呼ばれるモガのお姉さんは割り切ったドライな感じが素敵、いかにも「姐さん」な感じの「ふく」という女性は一番好みだった。
土居裕子演じる「いくこ」は、どちらかというと芸者をやっているのが場違いなくらいに家庭的で堅実な女である。
その気の弱そうなというか、はかなげな感じを見つつ、確か音楽座で夏目鏡子を演じていたときの土居裕子もこんな感じだったよな、ちょっと不幸そうで気弱そうだけど芯の強い女ってはまり役だなと思った。
野田晋市、木下政治、有馬自由、加納幸和ら、私には「お馴染み」の感が強いメンバーが、安定して舞台を支え、盛り上げる。
彼らの存在はとても大きい。
お座敷のシーンで、野田晋市演じる太鼓持ち(で正しいのだろうか)の男が、加納幸和演じるライバルの足袋問屋主人に「二子玉屋」なんて声をかけていたりして、ほとんど気づいた人はいなかったのじゃなかろうかというそんな遊びもこっそりと楽しい。
一幕目からぼろぼろ泣いて見ていたし、楽しいお芝居だったのだけれど、私の中では、それでも消化不良な感じが何故だかある。
原作を読んでみたい。
それから、できたら、もっと「ぎゅっ」とさせた再演を見てみたいと思った。
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