「A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM」を見る
北九州芸術劇場 Presents「A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM」~THEじゃなくてAなのが素敵~
原作 ウィリアム・シェークスピア
翻訳・演出 G2
出演 山内圭哉/竹下宏太郎/神田沙也加/樹里咲穂
菜月チョビ/藤田記子/小松利昌/出口結美子
権藤昌弘/新谷真弓/植本潤/コング桑田/陰山泰
観劇日 2008年6月22日(日曜日)午後1時開演
劇場 東京芸術劇場中ホール Q列20番
料金 5800円
上演時間 2時間15分
東京初日だということに、行ってから気がついた。
もっとも、すでに北九州で2日、大阪で3日の公演が終了している。劇場は変わっているわけだけれど、特別に「東京初日だから」ということはなかったような気がする。
ロビーではパンフレット(1200円)や、G2プロデュースのDVDが販売されていた。
ネタバレありの感想は以下に。
確かどこかで、「山内圭哉座長公演」という文字を目にしていて、「夏の夜の夢」なのだから、山内圭哉はパックを演じるのかと思っていたら、実はディミートリアスを演じていてちょっと驚いた。
英語に疎い私には「THE」じゃなくて「A」だから、どういう風に意味が違うのか、実は全くピンと来ておらず、芝居を見終わった今になってもその意味が判っていないという状態である。
それはともかくとして、ディミートリアスが出てきて、パックが出てきているところからして、チラシから受ける印象よりも、はるかに基本ラインに忠実な「夏の夜の夢」だったのではないかと思う。
チラシによると「スィンギン・ロンドンな感じのレトロ・ポップな仕上がりにしたい」とG2は宣言していて、「スィンギン・ロンドン」も「レトロ・ポップ」も正確な意味は判らないのだけれど、恐らく前者は山内圭哉がギターを担当していた(いかにもな格好をしているのに、両足を揃えてモジモジしているように演奏するのが可笑しい)音楽に現れていて、後者は主に衣装に現れていたのではないかと思う。
話の筋書きとしても、音楽と衣装を別にした見た目にしても、かなり古典に忠実なシェイクスピアが展開されていたという印象である。
現世の王(名前を忘れた)と妖精の王、現世の女王と妖精の女王を同じ役者が演じ分ける演出も、ライサンダーとハーミアとディミートリアスとヘレナの4人の男女のもつれ具合も、職人達の芝居の出来も、ロバの頭にされてしまうニック・ボトムも、妖精パックのいたずら好きも、見た目は奇抜にしていても実は伝統的な基本のラインから外していないし、外さないように印象を変えることに腐心しているようにも感じられる。
音楽劇と言ってもいいくらいに、出演者がマイクを持って歌うシーンは多く、それもフルコーラス歌ったのじゃないかというくらいに「聴かせる」シーンが多い。
芝居を上演しようという職人たちのシーンでは、ダンスも見せる。
舞台で見る神田沙也加は結構好きである。自分が可憐なことを知っているハーミアも、ライサンダーに捨てられて怒りに我を忘れるハーミアも、安心して見ていられる。思い切りもいいし、時々何を言っているのか伝わらなくなるのだけれど、滑舌も相当にいいのではないだろうか。
ディミートリアスを演じる座長は、時々、素でボヤいているように見せて笑いを誘う。この芝居の「笑い」の部分は、このディミートリアスと、怪しげな顔色の悪い死に神のような風情と可愛い女の子の声とを自在に使い分けた植本潤演じるパックと、この2人でかっさらっていたように見える。
王を演じたコング桑田の歌はやっぱり絶品だし、職人達のリーダーを演じた陰山泰がさりげなく要所を締める。
正直にいって、どうせやるならもっと崩しまくった「夏の夜の夢」でもよかったんじゃないかと思わなくもないのだけれど、一見はちゃめちゃ風で実は古典と伝統に則ったシェイクスピアも、何だか「ついうっかりお勉強させられちゃったよ」という感じで新鮮だった。
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