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2008.08.16

「崖の上のポニョ」を見る

「崖の上のポニョ」
原作・脚本・監督 宮崎駿
音楽 久石譲
出演 
 リサ 山口智子
 耕一 長嶋一茂
 グランマンマーレ 天海祐希
 フジモト 所ジョージ
 ポニョ 奈良柚莉愛
 宗介 土井洋輝
 婦人 柊瑠美
 ポニョのいもうと達 矢野顕子
 トキ 吉行和子
 ヨシエ 奈良岡朋子
配給 東宝

 「崖の上のポニョ」公式Webサイト

 映画をほとんど見ない私だけれど(確認してみたら、去年のゴールデンウィーク中に見た「モンゴリアン・ピンポン」以来だった)、スタジオジブリの映画はやっぱり大きなスクリーンで見たい。
 昨日、仕事帰りに行って来た。

 友人は「夜の回なら空いているよ」と言っていたけれど、夏休み中だし、金曜夜だし、ほぼ満席だった。
 久しぶりに映画館に行ったら、やけに椅子が良くなっていて驚いた。映画館だけでなく、劇場の椅子もこれくらい良ければいいのにと思う。

 感想は以下に。

 「崖の上のポニョ」は、「もののけ姫」の写真のような緻密かつ精密な絵とも違うし、「ハウルの動く城」のいかにもアニメな感じの絵とも違う。
 色鉛筆で描いたようなタッチの絵と、アニメっぽい(「アルプスの少女ハイジ」っぽいと思った)絵とが、ひとつの画面に同居している。
 不思議な感じである。
 最初は「色鉛筆っぽいところとそうでないところの描き分けには何か意味があるのでは」などと考えていたのだけれど、答えが出ないまま、そのうちそんなことはすっかり忘れて見入ってしまった。

 別の友人が「ポニョを見た後だと、赤ちゃんがみんなポニョに見える」と言っていた気持ちがよく分かる。
 お魚の姿のポニョって本当に「ポニョ」という感じ。名付け親の宗介はエライ。

 ストーリーとしては、「人魚姫」である。
 お魚の姿のときに宗介と出会ったポニョは、一度は父親であるフジモトに連れ戻されるのだけれど、宗介と会いたいばっかりに自力で手足を獲得し、宗介のところに出かける。

 どうも人間らしいフジモトって何ものなのかとか、ポニョはどうして魔法を使えるのかとか、フジモトが溜めていた薬品(なのか?)がどうもポニョのパワーをアップさせているようなのだけれどそれは何故かとか、フジモトは名字からして日本人ぽいのにどうしてポニョに何やらドイツのお姫様風の名前をつけたのかとか、ポニョのお母さんであるグランマンマーレは何ものなのかとか。
 「人魚姫」だと、魔女に頼んで人魚姫は自分の声と引換に足を得るのだけれど、そこをどうしてこう置き換えたのか、疑問に思わなくもないのだけれど「そういうものか」と思って見続ける。
 その辺りのねじ伏せ方は流石に宮崎アニメである。

 ポニョも可愛いし、宗介が5歳のくせに光信号(あれはモールス信号なのか?)を駆使したり、ポニョが大きくしたおもちゃの船を操縦したり、やたらとデキた姿には惚れちゃいそうである。
 でも、もっと惚れたのは、宗介の母親であるリサだ。
 最初のうちは「おぉ、山口智子の声だぁ」と思って聞いていたのだけれど(彼女の声だけは、かなり普段しゃべっている声に近かったような気がする)、そのうちその格好良さに惚れてしまった。
 その潔さも、船に乗っている旦那が帰宅予定を延ばして船に残ったことにふて腐れる姿も、宗介をこんなにデキる男に育てているところも、全てが格好良い。
 しかも、海から来た赤い金魚だった筈のポニョが人間の女の子の姿になって嵐を連れてやってきても、全く動じない。
 この、肝が太いというのか、あるがままに全てを受け入れているというのか、この動じなさはいっそ理不尽なくらいである。

 ポニョが連れて来た嵐は、宗介の父親が乗っている船をどこか不思議なところに連れて行き、リサが勤める老人ホーム(のように見える)を孤立させ、街をほとんど水没させる。
 ポニョが宗介の両親を奪っても宗介はポニョを守るのか、という超ビターな展開になるのかとかなりドキドキしたのだけれど、流石にそこまでビターではない。
 でも、そういう展開を予測していたので、グランマンマーレとリサが2人きりで話し、宗佑がグランマンマーレに「お魚のポニョも半魚人のポニョも人間のポニョも好き」と宣言し、ポニョが「魔法を捨ててよい」と答え、ついでに車いすに乗っていたホームの老女たちがみんな元気に走り回れるようになりました、父親の船も戻ってきました、という終わり方にえらく肩すかしをくった気持ちになった。

 え? ここで終わっちゃうの?
 もう終わり?

 もっと長くポニョと宗介の物語を見ていたかったと思った。
 でも、考えてみるといわゆる「おとぎ話」というものは、こういう「めでたしめでたし、で、その後は?」という終わり方をするものだよなという気もしたのだった。

 「崖の上のポニョ」は、面倒くさいことは考えず、無心に楽しんで正解の映画だ、と思う。

 でも、やっぱり「もののけ姫」のキャッチが「生きろ。」で、「崖の上のポニョ」のキャッチが「生まれてきてよかった。」であることは気になる。
 全く作風の異なる(と思う)この2本のアニメは、でも、底の方でかなり強くつながっているのだと思う。

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