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「キーン」
作 ジャン・ポール・サルトル
演出 ウィリアム・オルドロイド
出演 市村正親/須藤理彩/鈴木一真/高橋惠子
中嶋しゅう/西牟田恵/廣田高志 /樋浦勉
小林正寛/田原正治/飯野めぐみ/高山春夫
大橋一三/村松えり/松本 翔
観劇日 2008年10月4日(土曜日)午後5時30分開演
劇場 天王洲銀河劇場 C列6番
(10月7日まで「本多劇場」と書いてあったのは間違いです。
大変失礼いたしました。
kan様、ご指摘ありがとうございました。)
料金 9000円
上演時間 2時間45分(15分間の休憩あり)
ロビーでは、パンフレット(1500円)や、市村正親が描いたシェイクスピア劇の絵はがき3枚セット(500円)、シェイクスピア劇の本などが販売されていた。
その他、今後の市村正親出演作品のチケットも販売されていて、ちょっと迷ったのだけれど、手元に手帳がなく他の観劇予定との調整が取れなかったので諦めた。
ネタバレありの感想は以下に。
シェイクスピア劇の名優が、私生活ではハチャメチャのぐちゃぐちゃで、とんでもない人物だった。
一言でいうと、多分これはそういうお話で、舞台はイングランド、シェイクスピアが生きていた頃からそんなに時代は下っていない。
そうなると、もうこれはよく判らないの一言に尽きる。
劇中劇で、キーン主演によるリチャード3世から始まり、ハムレットが稽古されたり、ロミオとジュリエットが稽古されたり、最後はオセローで締められる。
この頃のお芝居は、今日はオセローの最後の場面、明日はハムレットのこの場面、といった感じで上演されていたらしいという話は聞いたことがあって、このお芝居のキーンもそういう感じで毎日違うシェイクスピア作品を演じているようだ。
高橋恵子演じるデンマーク大使夫人を巡って市村正親演じるキーンと鈴木一真演じる英国皇太子とが恋のさや当てを演じている。
市村正親演じるキーンを巡って、デンマーク大使夫人と須藤理彩演じる女優志願のアン・ダンビーという町娘とが恋のさや当てを演じている。
それはいいのだけれど、何というか、その頃の時代背景とか「社交界」のお約束が判っていないと、これがさっぱり意味が判らない。
誰に感情移入すればいいのか、その相手が見つけられず、演じられている時代が古いのだから当たり前だけれど時代がかった台詞や考え方がピンと来なくて、最後まで入り込めなかったのが残念である。
アン・ダンビーがキーンという「欲しいモノを手に入れる」ためにしたことは何だったのか(多分、ニューヨークで芝居をするよう誘われたと嘘をついたことだと思うのだけれど)、デンマーク大使夫人が最後まで拘っていた「私の名誉」というのは一体何なのか、何だか釈然としないし、台詞が全然入ってこない。
「人格は破綻しているけれど名優」といえばいいのか「名優だけど人格が破綻している」といえばいいのか、実はこういう役は市村正親の十八番で、その「名優」の演じている様子も含めて演じられてしまうところは実はもの凄いことなのだと思うのだけれど、でも「どこかで見たぞ」という感が強いことも否めない。
それでもやはりこのお芝居は、市村正親の名優ぶりを楽しむのが正解だと思う。
キーンの市村正親とサロモンの中嶋しゅうとのやりとりやちょっとした間の外し方で緊張感をほぐし、笑いを誘う、その呼吸が見事だし楽しい。
ただ、それがこのお芝居の狙いかというと、違うような気がしなくもない。
そういえば、お芝居の途中で、オセローを演じているキーンが皇太子に向かって刀を振り回し、その挙げ句にバッタリと倒れてしまうシーンがある。
そこで、黒いTシャツに黒いズボンの「日本人」スタッフとしか見えない(つまり、当時のイングランドの人っぽく作っていない)2人が駆け寄って幕を閉め、客電も明るくするので、一瞬、本当に市村正親が倒れたんじゃないかと思わされて、どきっとした。
サロモンが幕の間から姿を見せて「これ以上は続けられません」と言ったところで安心するという趣向は、ちょっと趣味が悪い。
カーテンコールは、最終的には全員、普段着というのか稽古着というのか、とにかく衣装や鬘は全部取ってしまって「素の姿」に戻ってのご挨拶だった。
それも何だかいい感じだった。
カーテンコールまでがお芝居で演出されていると堂々と主張するのも、潔いと思う。
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コメント
kan様、コメントありがとうございます。
そして、間違いのご指摘をありがとうございます。
上記のとおり、訂正させていただきました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿: 姫林檎 | 2008.10.07 22:54
いつも参考にさせていただいています。
コピペのミスかと思いますが、これって「天王洲銀河劇場」
ですよね?(^^ゞ
投稿: kan | 2008.10.07 13:57