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宝塚宙組公演 Musical entertainment 「Paradise Prince(パラダイス プリンス)」
作・演出 植田景子
グランド・レビュー「ダンシング・フォー・ユー」
作・演出 中村一徳
観劇日 2008年11月27日(木曜日)午後6時30分開演
劇場 東京宝塚劇場 1階16列22番
料金 8000円
上演時間 3時間(30分の休憩あり)
宝塚劇場には改装前後を通じて初めて入った。
流石にグッズ売場が充実している。店内に入らなかったので、ラインアップやお値段などの詳細は不明である。
客席はやっぱりほとんどが女性だったけれど、以前から見ている人は「前はもっと男性は少なくて、客席に男性がいると周りから視線が集中するくらいだった」と言う。
いずれにしても、宝塚は舞台上も客席も女性の世界らしい。
感想は以下に。
前半はミュージカルというよりは音楽劇という印象である。
今回の演目が現代物だったからかも知れない。
始まって10分くらいで大体のストーリーが掴める、最後は大団円のラブコメ(という言葉ももう古いのかも知れないし、そういえばそもそもコメディの要素があったかどうかは自信がない)で、「やっぱり安心感が必要なのね」と思ったりしていた。
でも、これまた以前から見ている人によると、宝塚の王道は「ベルサイユの薔薇」のような宮廷物の悲劇なのだそうだ。
宝塚の舞台といえば、トップの2人の2人勝ち(あるいは、男役トップの1人勝ち)が許されていて、許されているというよりもそれが売りなのだと思っていた。
でも、少なくとも今回見た宙組のトップ2人はそういう「2人勝ち」という感じの組み合わせではないようだ。
劇中でもどちらかというと、周りに支えられ盛り立てられているという印象で、2人だけで歌って踊るシーンというのは少なかったような気がするし、そもそも劇の作り自体が「群像劇」という風で、ポイントとなるシーンや人が次々と変わっていく感じだった。
意外だったのは、女性が男役を演じているときにそれほど違和感がなかったことだ。
違和感がなかったどころか、ときどき、女性が演じているということを忘れていたくらいである。
「絶対に入れなければ」という風にキスシーンを入れるよりも、サラっと流してしまった方がさらに違和感を感じさせずに自然な動きになったような気もする。
それから、宝塚の強みは、例えば会社の同僚とか、大物プロデューサーの取り巻きとか、学生時代の友達とか、そういった役を演じている役者さんたちが同じ訓練を受けてきて同じバックボーンを持っているということのような気がする。
例えばダンスを踊ったときに「これが理想」というものが揃っているし、個々のクセのようなものもそれほど目立たない。
歌ったり台詞を言ったりしているときに一人だけ発声が違うということもない。
この均質さは、ときには面白みがないという方向に行ってしまうのかも知れないけれど、それを強みに変換するシステムが宝塚ではすでに確固として構築されているように見える。
そして、宝塚といえば後半のグランドレビューだし、大きな羽根飾りをつけて大階段を降りてくるシーンを見なくては帰れない。
これまた、いつものことなのか宙組の特徴なのか、その辺りはよく判らないのだけれど、やはり「トップ2人の2人勝ち」ではなく、それぞれが得意分野を持ち寄って次々と繰り出していくという感じである。
そもそも、トップ2人だけでなく、「この座組の中心は3人」という舞台構成だったようにも思う。
このレビューを見ながら、こんなに歌って踊れる人が揃っていて、アンサンブルもこれだけ大勢を用意することができて、しかも訓練が行き届いている。
構成を考えて演出をする人はもの凄く楽しかっただろうなと思った。
そして、やっぱり最後は大きな羽根飾りをつけて大階段を降りてくるシーンで幕だった。
意外だったのは、アンコールもカーテンコールも全くなしで、スパッと舞台が終演になったことだ。
アンコールやカーテンコールの代わりに「出待ち」というのがあるのかも知れないと思った。
これは華やかな世界だし、ハマって「次も見たい」と思う人が多いのも判るし、端の方で踊っていた贔屓の人がどんどんセンターに近づいていく様子を見守りたいという気持ちになるのも判る気がする。
判る気はするのだけれど、どうも私はハマりそうにないということも判った。
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