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2008.11.18

「ヨーヨー・マ チェロ・リサイタル 」を聴く

「ヨーヨー・マ チェロ・リサイタル 」
演奏 ヨーヨー・マ(vc)/キャサリン・ストット(Pf)
曲目 シューベルト :アルペッジョーネ・ソナタ イ短調 D821
    ショスタコーヴィチ :チェロ・ソナタ ニ短調 op.40
    ピアソラ :ル・グラン・タンゴ
      休憩
    ジスモンチ :ボーダス・ヂ・プラタ(銀婚式)〜クアトロ・カントス(4つの歌)
    フランク :ヴァイオリン・ソナタ イ長調(チェロ用編曲版)
      アンコール 
    ガーシュウィン :プレリュード
    エルガー :愛の挨拶
    サン=サーンス :白鳥
公演日 2008年11月16日(日曜日)午後7時開演
場所 サントリーホール 2階PB列37番
料金 10000円
公演時間 2時間10分

 一昨日の日曜日に、ヨーヨー・マのチェロとキャサリン・ストットピアノのリサイタルに行って来た。
 たった2人で演奏するたった2台の楽器が、びっくりするくらい何層にも聴こえる瞬間がある。

 ところで、このコンサートのチケットは5段階で、S、A、B、C、Dだった。
 きっと舞台後ろの席がD席なのだろうと考えてC席のチケットを取ったのだけれど、これが舞台後方の席だった。
 一体、D席というのはどの辺りの席なのだろう?

 舞台後方の席は、確かに演奏者からは近く、ピアニストの指もピアノに映ったものがばっちり見えるし、ヨーヨー・マがチェロを演奏するときに意外と背もたれに体重をかけていることや、2人が息を合わせている様子などもよく見えて楽しい。
 演奏が激しくなると、ヨーヨー・マは椅子ごと5cmくらいは跳んでいたようにも見える。
 でも、やっぱりチェロの音もピアノの音も前に向かって響くようにできているのであって、どうしても後ろから聞いていると籠もっているように聞こえる。
 コンサートの後半に行くに従って、音が冴えてきたように感じられたから、席のせいではなくお二人の演奏ももしかしたら前半はあまり調子が良くなかったのかもしれないと思ったりもするのだけれど、それが確認できないのが寂しい。

 1曲目は優しい感じの曲調だったので、穏やかで少し籠もったような音も似つかわしいように感じられて気にならなかった。
 いったん、舞台袖に下がるキャサリン・ストットの表情がかなり硬く見えて、それで、やっぱりあまり調子が上がっていないのかなと思ったくらいである。

 2曲目に、少し激しい感じの曲調になると、やはり、何となく音に冴えがなくて随分と籠もっているように感じられた。
 全く何の根拠もないのだけれど、本当はもっとキレがいいはずなのに、という気がする。

 3曲目のピアソラは、この曲が収められたCDを持っていることもあって、私にとってはかなり馴染み深い曲である。そのためもあると思うし、ほとんどピアノとチェロで闘っているかのような音のぶつけあいがあって、それで何だかすっきりした気がした。

 休憩は20分間。

 後半に入って、2曲とも「聴かせどころ」のはっきりした(と感じられる)曲だったこともあると思うのだけれど、音の伸びがよくなって、すっとした冴えのある音が聴けるようになったと思う。
 音がクリアになったというのが正しいのだろうか。幕が1枚取れたかのようである。
 2人の椅子は予めセットされているのだけれど、その位置も心なしか近くなり、ヨーヨー・マがかなりキャサリン・ストットに近づいて呼吸を図ろうとし、かなりピアノの方を向いて演奏していることもあって、チェロを弾く弦がキャサリン・ストットにぶつかるんじゃないかと何度もヒヤっとしたくらいである。

 アンコール3曲は、小品を優雅にちょっとサロン風に演奏されて、耳になじみのある曲だったこともあって、ちょっとほっこりとして嬉しかった。
 日曜夜の公演だったせいか、ぱらぱらと帰り始める人もいたのだけれど、大拍手が鳴り止まず、3曲目のアンコールのときには流石にヨーヨー・マが首に手を当てて「死んじゃうよ」というジェスチャーをしたせいか、客席の1/4から1/3くらいがスタンディング・オーベイションとなり、終演となった。

 何だかんだ言っても、暖かい雰囲気の楽しいコンサートだった。

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