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「舞台は夢 -イリュージョン・コミック-」
作 ピエール・コルネイユ
演出 鵜山仁
出演 堤真一/秋山菜津子/高田聖子/田島令子
川辺邦弘/松角洋平/窪田壮士/三原秀俊
坂田聡/磯部勉/金内喜久夫/段田安則
観劇日 2008年12月10日(水曜日)午後2時開演
劇場 新国立劇場中劇場 19列24番
料金 7350円
上演時間 2時間10分
ロビーでパンフレット(800円)が販売されていた。
それから、「友達」に出演していた今井朋彦をロビーで見かけた。
あまりにも舞台で拝見するままだったので、ちょっと驚いた。
平日の昼公演ということもあって、客席にはお年を召した方が多かったように思う。
ネタバレありの感想は以下に。
今日(2008年12月10日)の読売新聞夕刊の劇評で思いっきりネタバレしてあったけれど、未見で観劇の予定のある方は絶対に読まない方がいいと思った。
舞台はオープンで、真ん中に一段高くなった回り舞台があり、その周りに小さな円形の舞台と、布の掛けられたセットが置かれている。
そして、前後から客席が挟むようになっている。
開演前には回り舞台に布が掛けられていて、そこに磯部勉演じるドラントと金内喜久夫演じるプリダマンという2人の男連れがやってくる。
プリダマンの行方不明になっている息子を捜してくれるよう頼みに、段田安則演じるアルカンドルという魔術師を探しに来たのだ。
この魔術師の住処が洞窟という設定のために舞台が暗いのかと思っていたのだけれど、もちろんそれもあるのだろうけれど、ずっと舞台の明かりは暗めで、もうちょっとよく見せて! と何度も思ってしまった。
そして、回り舞台にかけられた布が浮き上がり、アルカンドルの首がその布をマントのようにして飛び上がって登場する。
イリュージョンだ、と妙に納得してしまう。
もちろん、タイトルの「イリュージョン」はそういう意味ではないと思う。
アルカンドルは、堤真一演じる行方不明の息子グランドールの「家出したその後」を見せてあげようと、幻影達を呼び出し、プリダマンの前で展開させ始める。
グランドールは、家を飛び出した後、段田安則が二役で演じるマタモールというほら吹きの隊長の秘書のような小間使いのような役をしている。
いわゆる「お付きの者」といった感じである。
ほら吹きで、てきとーで、強い振りをしているのにてんで弱く、剣は差していても抜くことはほとんどなく、「隊長」というよりも「道化者」を演じている段田安則が滅茶苦茶はまっていて可笑しい。
ちょっと前まで威厳ある魔術師を演じていたのに、その差がさらに可笑しさを誘う。
一方のグランドールは、いかにも「道化者」の仮面を被ってはいるものの、実は主である隊長を莫迦にしきっているし、虎視眈々と「上に行くチャンス」を狙っている。
堤真一の「作った道化」は「作っていること」を観客に小出しに見せて笑いを誘い、段田安則の「根っからの道化」はボロを出すことで笑いを誘う。
上手すぎる。
そこに、グランドールが捕まえたチャンスの尻尾である、秋山菜津子演じるイザベルが登場する。
彼女は今のグランドールにとっては、身分も高く、家にはお金があり、「上に行くチャンス」そのものである。
高田聖子演じるイザベルの小間使いであるリーズは、グランドールに横恋慕しているのか、グランドールがコナかけたのか、グランドールが好きで、でも同時に腹も立てているようである。
この2人は掛け合いをするというよりも、それぞれが勝手に「自分の中のストーリー」を演じているという役どころなのだけれど、交替に舞台を背負う様がやっぱり見事なのである。
このお芝居はこの4人の掛け合いと駆け引きとの勝利だという感じがする。
誰かが突出するわけでも、誰かが引いてしまうわけでもなく、絶妙のバランスを保ち続ける。
イザベルに恋していたマタモールを出し抜いて、グランドールとイザベルは恋仲になるのだけれど、やっぱりグランドールを憎むことにしたリーズの策略でグランドールはイザベルの家の者に捕らえられてしまう。
でも、ここが今ひとつ判らないのだけれど、リーズは牢屋の番人と恋仲になる振りをしてまで、グランドールを処刑前日に救い出し、4人でイザベルの家の財産を持ち出して逃亡を図る。
このときのリーズの選択が、私にはどうしても判らなかった。
判らなかったのだけれど、物語はさくさくと進む。
グランドールを心配する父のツッコミをよそに、舞台は逃亡から2年後に飛ぶ。
グランドールは上手くやって、相当の出世をしているようである。
でも、調子よく策士だった性格が出世をして表に出てきたのか、自分を引き立ててくれた隣家の大公の奥様と不倫に及んでいるらしい。
それも自宅の庭で逢瀬を重ねているというのだから大胆である。
それに気がついたイザベルは止めるリーズを振り切ってグランドールに詰めより、グランドールは何故かあっさりと反省して田島令子演じる大公妃と別れようとする。
ここのあっさりと改心するグランドールもよく判らない。
しかし、情熱的に言い寄る大公妃に負けかけ、押し戻し、やっぱり負けたところで、隣家の兵士に2人もろとも刺し殺されてしまい、イザベルは大公の元に連れ去られてしまう。
息子の死を知ったプリダマンは自殺しようとするのだけれど、アルカンドルに止められる。
続きを見るように促される。
その続きというのが、何故か回り舞台の上で展開される「舞台裏」である。
「逃亡から2年後」以降に展開された物語は、逃亡した4人が生活のために始めた「舞台」の作品であり、4人はパリで役者として人気をはくし、尊敬される立場となっていたのである。
そうとアルカンドルに語られたときには「やられた!」と思った。
これぞイリュージョンであったか、という感じである。
アルカンドルがプリダマンに「息子さんの人生を彩る服装だ」と言って、最初の頃に様々な衣装(中には女性が着るドレスもあった)を見せたのだけれど、それはほとんどが「舞台衣装」であったのだ。
アルカンドルも最後には舞台に上がり、「役者」としての顔を取り戻す。
ここが実は意外というかよく判らなくて、最初はマタモールに戻ったのかと思っていたのだけれど、よくよく考えたらマタモールは「逃亡から2年後」の世界には登場していないのだから、演じていた役者がいるはずもないのである。
それとも、アルカンドルがプリダマンに見せた全てがグランドール達が演じていた舞台で、前半は事実に基づき、後半は作りごとだったということなんだろうか。
でも、そういう細かいところは取っ払って、とにかく「やられた」感が強い(これはもちろん褒め言葉である)舞台だった。
私の方がベストコンディションではなかったのが申し訳ない限りである。
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