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2008.12.02

「月の輝く夜に」を見る

「月の輝く夜に」
脚本 飯島早苗
演出 寺秀臣
出演 大地真央/岩崎大(Studio Life)/諏訪マリー/福井貴一
    河野洋一郎/ヨシダ朝/花房徹/小林美江
    三鴨絵里子/上條恒彦
観劇日 2008年11月29日(土曜日)午後0時開演(千秋楽)
劇場 ル・テアトル銀座 20列19番
料金 9800円
上演時間 2時間50分(20分の休憩あり)

 パンフレットが900円だったのがとにかく意外だった。

 ネタバレありの感想は以下に。

 原作というのか、元々は映画だそうなのだけれど、そちらは見たことがないし、ストーリーも知らなかった。
 2日前に宝塚を見ているせいか、非常に似たものを感じる。
 大団円のハッピーエンドが予定されていて、「ロマンチック・コメディ(決してロマンティックではない。いずれにしても古い言葉かもしれないけれど)」というジャンルに括ることができそうで、始まって15分くらいでストーリーが判ったような気がして安心して見ることができる。

 びっくりするほど役者さんが揃っていて、これだけ揃っているのに歌わず踊らないのが本当に勿体ないと思ってしまう。
 特に諏訪マリーが、いかにも「お母さん」な感じで、かついかにもアメリカにいそうな感じの年配の女性にほとんどなりきっている。
 実年齢でいけば、諏訪マリーと大地真央と、少なくとも親子になれるほどの年齢差はないと思うのだけれど、大地真央は若々しいし、諏訪マリーは貫禄たっぷりでほとんど違和感は感じさせない。
 そして、同じ役者さんが、ちょっとぶっ飛んでいる美容師を知らんぷりで演じてしまうのだから驚きである。

 映画を見ていないので何ともいえないのだけれど、飯島早苗が台本を書いていることでもあるし、恐らく映画よりも「コメディ」色が強くなっているのではなかろ
うか。
 ところどころで、大地真央というキャラクターを活かした笑いが生まれるのが楽しい。
 よくよく考えると、福井貴一演じるジョニーと婚約した翌日か翌々日に、ジョニーは危篤の母のためにイタリアに帰っていて、そのジョニーに頼まれて岩崎大演じるジョニーの弟のロニーを訪ね、そこでロニーと寝てしまう大地真央演じるロレッタというキャラは無茶苦茶である。
 それまで、「バツイチの堅物の会計士」という風情だったことを考えると、その大胆さというのか、無節操さというのか、こういう言い方はどうかと思うけれどジョニーはいい面の皮である。酷すぎやしないか。

 その後、ロニーに「1回だけ一緒にオペラに行ってくれれば諦める」と言われて、目一杯ドレスアップするのはまだ判る。
 判るけれど、結局、そのままロニーの部屋に泊まることを選択するロレッタの気持ちはよく判らない。
 正確に言うと、このときにロレッタを引きとめようとするロニーの言葉だったり態度だったりに全く気持ちが動かされなかった。こらこら、この程度の口説きにそんなに簡単になびいてどうする、という感じが強かった。

 判らないといえば、実は、ジョニーがロレッタとの婚約を解消する理由もよく判らなかった。
 ジョニーがロレッタに「君とは結婚できない」と告げたときにロレッタが憤慨するのは笑いを取るためのお約束として、どうもジョニーが非常にマザコンであり、お母さんもジョニーを猫かわいがりしている(第一、危篤だという話なのに、弟のロニーは全く帰国する気配も見せていないのである)ことも関係あるのだろうか。

 いずれにしても、ロレッタとロニーが結婚したとしてどうもストレートに幸せにはなれそうにないなという感じは受ける。
 なのに、ジョニーとの結婚に大反対していた父親も含めて、ロレッタの周りの人々がこの結婚を祝福するのはどうしたことか。

 上条恒彦演じるロレッタの父親のコスモは三鴨絵理子演じる若い女と浮気をしており、諏訪マリー演じるロレッタの母のローズはそのことを知っている。
 それでも、ローズは1人で食事に出たレストランで、同じく1人で来ていた大学教授と食事を一緒にし意気投合しながらも、浮気をしようとはしないのである。
 何を象徴しているのかは判らないながら、何だか象徴的な感じがする。

 象徴的といえば、タイトルにもなっているとおり、月が効果的に使われていて、背景いっぱいの満月が舞台のポイントポイントで現れる。

 思っていたよりも楽しめたし、背景いっぱいの満月は大きな舞台ならではという気もするけれど、役者さん10人で上演されている舞台だし、もっとずっと小さな劇場でぎゅっという感じで上演するか、このメンバーでこの大きさの劇場で上演するならいっそのことミュージカルにしてしまった方が浮世離れした感じも却って生きてきていいんじゃないかと思った。

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