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「ア・ラ・カルト〜役者と音楽家のいるレストラン〜」
出演 高泉淳子/白井晃/陰山泰/羽場裕一(visitor)
中西俊博(violin)/竹中俊二(guiter)/林正樹(piano)
クリス・シルバースタイン(bass)
観劇日 2008年12月21日(日曜日)午後5時開演
劇場 青山円形劇場 Bブロック35番
料金 6800円
上演時間 3時間(10分の休憩あり)
今年で「ア・ラ・カルト」も20年だそうだ。
ロビーの奥の御手洗いに続くスロープにこれまでのメニューと舞台写真が飾られていて、私は1995年から見ているということが判明した。
20周年ということでパンフレット(1000円)が販売されていて、20日の「グッドナイト スリープタイト」に続いてつい購入してしまった。
その他、出演者のCDや、高泉淳子が書いた「ア・ラ・カルト」を元にした小説も販売されていて、終演後に高泉淳子のサイン会が行われるようだった。いつものことなのか、今日の公演に限ったことなのかは不明である。
ネタバレありの感想は以下に。
15周年にもゲストで登場した羽場裕一がゲストで登場し、少しずつさりげなく20周年を演出して、新しいところとスタンダードなところが絶妙の配分で届けられる、相変わらず楽しくて居心地のよいレストランである。
やっぱり、私の年末の風物詩はこれだ! という感じだ。
開店前のお掃除のとき、「お皿投げ」に白井晃も参加したのは去年からだったろうか。
テーブルを整えてクロスをかけ、いつもなら裏表反対に2人が持ってくるっと回るところを、今年は一発でクロスが広がったと思ったら、お花が2輪。「20周年記念のお花なんですが」ということで、客席の希望者がもらっていた。
こういうことができるのも、舞台と客席の距離が近い青山円形劇場ならではである。
オープニングのアペリティフは、今年は「ウィスキーフロート」だった。
女性1人の客がやってきて、カクテルを頼み、アラカルトで食事をしてゆくことになる。
高泉淳子演じるタカハシと白井晃演じる典子さんのカップルがやってくるのも、やっぱりいつもと同じ。
料理を選び、ワインを選ぶ。
ウエイターとタカハシの間には、今年もやっぱり密約があるようだ。
時は進み、8年前に2人は結婚していて、今年はお店の20周年記念と相まって、「プロポーズの時のメニューを再現」し、ついでにプロポーズのときの大騒ぎも再現してしまう。
やっぱり2人は今年もメインディッシュは眺めただけで食べられないのだった。
フランス料理の料理教室で知り合った高泉淳子と羽場裕一の2人は、前菜から始まってメインディッシュまでいただくことになる。
せっかくの「いい雰囲気の会話」に白井晃演じるオーナーが妙なフランス語で乱入した上で茶々を入れまくり、雰囲気をぶち壊すのもいつものことで楽しい。
シーンとシーンの間は、生演奏の音楽が奏でられ、そちらの雰囲気も暖かいのが魅力的である。
最初の頃に「アンプの調子がおかしい?」と思うシーンもあったのだけれど、無事に問題解決したようで中盤以降は気にならなくなった。
去年はお花を集める「フラワーボーイズ」が登場したと思うのだけれど、今年は白井晃演じる(というよりは、扮する)ペギー冨岡へのプレゼントはご遠慮申し上げます、ということになっていた。
ロビーに「プレゼント受付」があったのも功を奏してか、見事に誰一人としてプレゼントを手渡そうとする人がいなかったのは流石である。
20周年記念メドレーは、かなりの迫力である。
こっそり書くと、白井晃のドレスの背中がとても綺麗だったのにもびっくりした。
去年のアフロヘアを羽場裕一がリクエストしたのか、今年もアフロヘアの4人が激しく歌って踊っていたのも楽しい。
去年はゲストが筒井道隆だったから、白井晃たちは「君、30代でしょ」と彼に後を任せて大息をつきながら引っ込んでいたけれど、今年はそうは行かなかったらしい。上がった息で男3人、そのまま次の曲に突入していた。
ショータイムの後は10分の休憩である。
ソフトドリンクはフリー、ワインは1杯300円である。
休憩後に高泉淳子演じるマダムがゲストを引き連れて登場し、「お芝居は色々な方の・・・」と宣伝するのもいつものことで、嫌みにならないのが凄い。
このゲストとの会話はアドリブなのか、マダムが中西敏博の最初のCDの帯には「バイオリンの貴公子」と書かれていたと暴露し、思わず笑った羽場裕一に「あなた、失礼ですよ」とツッコミを入れて、羽場裕一が中西敏博に最敬礼で謝っていたりするのを見ると、ついにやにやしてしまう。
中西敏博が最後に演奏したのは「CUTE」という曲で、「あたくしのことね」と言うマダムにきっぱりと「いえ」と否定し、やっぱり大笑い。マダムが後ろを向いてこっそりと「何故、否定する」とボヤいていたのも可笑しい。
アドリブなのかどうか、ぜひ知りたいところである。
そして、ちょっとこまっしゃくれた女の子と、離婚して今は一緒に暮らしていない父親とのデザートタイムでは、彼女が恋に悩んでいたりして、やっぱり「時の流れ」を感じさせる。
年老いた夫婦のコーヒータイムとダンスで締めくくられるのもいつものことである。
このシーンが好き。
一言もしゃべらない老婦人の高泉淳子の真骨頂はここにあるのではあるまいか。
シーンは最初にやってきた女性客に戻る。
彼女の前には食後酒であろうアイリッシュコーヒーが置かれている。
20周年のお祝いにシャンパンを持ってきた羽場裕一も加わり、それぞれがこっそりと隠し持っていたグラスを取り出して最後の乾杯である。
ダンスシーンも好きなのだけれど、ウエイターの陰山泰が、キャンドルを消しに来て、その炎で「1日の終わりの一服」を吸うシーンも好きだったりする。
たった一人、照明も落とされた中で、煙草の白い煙が流れる。格好良すぎである。
いつもの最後の歌も「20周年特別バージョン」だったし、アンコールのハンドベルも20周年特別バージョンなのかいつもよりも長めでハーモニーも綺麗だったように思う。
とにかく、定番と新しいことがバランス良く配置され、年末の風物詩なのだけれどマンネリにもワンパターンにもなっていない。新しく始めたことがいつの間にか定番になり、ずっと前に定番だったことがときどきスペシャルバージョンとして顔を出す。
音楽もとても親密である。
1年の締めくくりに相応しい、楽しくてリラックスできてにこにこしてしまう舞台である。
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