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2009.01.12

「祈りの道 サンティアゴ巡礼の道と熊野古道」展に行く

 昨日(2009年1月11日)、2008年12月16日から2009年3月15日まで、相田みつを美術館で開催されている「祈りの道 サンティアゴ巡礼の道と熊野古道」展に行って来た。
 ルイス・オカニャ氏と六田知弘氏の写真展である。

 もちろん、相田みつを美術館で開催されているのだから、「相田みつを こころの道」特別企画展とのカップリングで開催され、その3つの道のコラボというのが企画展の狙いだと思うのだけれど、私の目当ては写真展だったのである。

 第1ホールは主に相田みつをの書が展示され、展示室の一室では写真と書を並べて展示するなどが行われていた。また、解説も詳しい。
 失礼ながら、こんなにたくさんの人、しかも思っていたよりもずっと若い人が多く見に来ていて驚いた。デートコースにもなっているらしい。

 友人と午後2時に待ち合わせをしたのだけれど、ちょうどその時間から第2ホールでギャラリー・コンサートとしてバイオリン演奏が行われていて、なりゆき上、コンサートを聴き、第2ホールの写真展から見ることになった。
 ちなみに、30分のコンサートの曲目は以下のとおりである。

1 バッハ「無伴奏パルティータ第2番より シャコンヌ」
2 クライスラー「レチタティーボとスケルツォ」
3 マスネー「タイスの瞑想曲」

 そのまま、第2ホールで開催されていた「祈りの道 サンティアゴ巡礼の道と熊野古道」展を見始めた。
 友人にも言われたのだけれど、サンティアゴ巡礼の道と熊野古道の組み合わせなんて私のツボど真ん中である。

 この写真展は、サンティアゴ巡礼の道と熊野古道が姉妹道の提携をして10周年になることを記念したもので、これまで和歌山、パリ、スペインで開催され(この書き方はチラシのとおりなので念のため。和歌山、パリと来たら、スペインではなくマドリッドなど開催都市名が来ないとバランスが悪い。)、そして相田みつを美術館に来たものなのだそうだ。
 ルイス・オカニャ氏が熊野古道を、六田知弘氏がサンティアゴ巡礼の道を撮影している。
 ちなみに両氏とも写真がモノクロなのは、打ち合わせの結果なのだろうか。

 六田知弘氏のサンティアゴ巡礼から見始めた。
 何となく、行ったことのないところの写真から見た方がいいような気がしたのだ。

 例えば「葡萄の丘」というタイトルが付けられた葉っぱの落ちたぶどう畑が丘を越えてうねるように続く写真や、「峠道」というタイトルが付けられた枯れ草の中を続く一本のわだちのような道の写真(この写真は少し傾いで飾られていて、それが気になって気になって仕方がなかった)などの風景の写真も、何というか名前もついていないだろう何でもない場所が選ばれていて、景色やビューポイントというよりも「光」が真ん中に据えられているように感じられる。
 そして、そういう写真よりも例えば「柱頭彫刻1(フローミスタ)」や「木の扉の鉄飾(ビラール・デ・ドナス)」というタイトルのとおり、何か木になった部分をクローズアップして、サンティアゴ巡礼の道をあまり意識させない写真が多かったし、そちらの方がより好きだなと思う。

 友人は「エキゾチック」と評していたけれど、確かに、石の彫刻をクローズアップした写真など、「これはアンコールワットで撮った写真だよ」と言われたら信じたのじゃないかと思う。
 友人は「木の皿」と題された、本当に木のお皿がズームアップされた、その置かれた場所の手がかりもほとんどないくらいの写真を気に入ったようだった。
 私は「木の扉の鉄飾(ビラール・デ・ドナス)」が印象に残った。
 やはり、サンティアゴ巡礼の道には行ってみたいけれど、映像コーナーで巡礼をしている人達のインタビュー番組が流されていて、「4週間ずっと歩いている」「とても大変な場所があるので次はいい自転車で回りたい」というような話を聞くとかなり躊躇してしまう。

 熊野古道の写真は一転して、「スポット」を忠実に撮っている感じがした。
 「近露王子」「熊野本宮大社」「那智の滝」など「撮りたい」「撮るべき」と感じさせるスポットが、サンティアゴ巡礼の道よりも多いのかも知れないし、写真家ルイス・オカニャ氏の嗜好なのかも知れないし、写真を見ていて思ったのだけれど恐らくこの人は熊野古道を歩いたのではなく、熊野古道を車で回って「ここは**ですよ」と案内されて車を降りて写真を撮ってという撮り方をしたのじゃないかなという感じもした。

 好みとしては「サンティアゴ巡礼の道」の方が楽しいけれど、熊野古道は自分がその場所に立ったところが多く写されていたので、そういう意味で楽しい。
 うわあ、ご神体の鏡を撮影しちゃっているよ、よく許可がもらえたな、などと余計なことも考えてしまったりするけれど、そうか、この視点から撮ることを選ぶのか、という興味もある。
 そんな感じで、なかなか楽しく見ることができた。

 展示されていた写真は、熊野古道が23枚、サンティアゴ巡礼の道が24枚である。
 2つの道の写真をそれぞれ指定された順路で見ると、最後に、相田みつをの「逢」という一文字の書にたどり着くという趣向はなかなか楽しかった。

 そして、第1ホールに戻って、「相田みつを こころの道」を見た。
 写真展に時間を取られたのであまり丁寧に見ることはできなかったけれど、裏山の散歩道(だったと思う)をイメージしたという空間になっており、まずそれが居心地良い。
 正直に言って相田みつをの書にそれほどの関心があるわけではないのだけれど、休憩用のベンチがあちこちにあったり、ちょっとした仕掛けがあったり、気持ちのよい空間だと思う。

 今回は立ち寄らなかったけれどカフェからコーヒーのいい香りがしていて、あそこでのんびりくつろいでみたいと思った。
 ミュージアムショップも充実していて、かなりの混雑具合だった。
  
 相田みつを美術館の公式Webサイトはこちら。

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