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2009.05.29

「喜劇 日本映画頂上決戦〜銀幕の掟をぶっとばせ!〜」を見る

伊東四朗一座・熱海五郎一座合同公演
   「喜劇 日本映画頂上決戦〜銀幕の掟をぶっとばせ!〜」
作 妹尾匡夫
演出 伊東四朗/三宅裕司
出演 伊東四朗/三宅裕司/渡辺正行/ラサール石井
    小宮孝泰/小倉久寛/春風亭昇太/東貴博
    伊東孝明/河本千明/中村メイコ/小林幸子
観劇日 2009年5月27日(水曜日)午後7時開演
劇場 青山劇場 1階XB列20番
料金 10500円
上演時間 2時間40分(15分の休憩あり)

 ロビーで、パンフレットはもちろんのこと手ぬぐいやエコバッグやTシャツなどたくさんのグッズが販売されていたけれど、お値段やラインアップはチェックしそびれてしまった。

 ネタバレありの感想は以下に。

 伊東四朗オフィシャルサイトはこちら。

 前から2列目の中央に近い(通路から2番目)という特等席で私なんかが見ていいのだろうか、と思ってしまった。
 周りの年齢層が高すぎる。
 絶対に私は浮いているに違いないと思った次第である。
 休憩明けにも、役者さんたちが(もちろん芝居で)、「今日の女優さんはベテランが多いので、御手洗いから戻ってくるのに時間がかかっているんですね」なんて台詞をしゃべっていた。

 昭和40年代(っぽいと思ったけれど、正確な時代設定は不明である)の日本映画界が舞台である。
 本当にそんなものがあったのか、完全な創作なのかはよく判らないのだけれど、「五社協定」という役者もスタッフも所属する映画会社の映画にしか関わってはいけないというルールを決めて映画界への新規参入を阻もうとする古参の会社と、新しく立ち上げた映画会社との大抗争劇、になる筈の物語である。

 もちろん、タイトルに銘打ってあるように「喜劇」であるので、大抗争劇にはならない。
 というか、はっきり言って、最初のうちはかなり緩い感じで進む。
 三宅裕司が「あんたが黙るとみんなが心配するんだよ!」と伊東四朗にツッコミを入れていたくらいである。あれはアドリブだったのか、仕込みなのか、確信が持てなかった。
 しかし、三宅裕司が台詞を遅らせて「私はときどき台詞が遅くなるんだよ。みんなで協力して乗り切ろうよ」と言っていたのは恐らくアドリブだったんだろうと思う。
 さらにその後、伊東四朗が「黙ると心配されるのは私だけじゃないんだよ」と言ったのは、きっとアドリブに違いない。

 伊東四朗の息子である伊東孝明が「銀幕のスター」役で出ていたり、そのスターに、親子の役でも何でもない伊東四朗が「おまえがお年玉を全部ガチャガチャに費やして、キン肉マン消しゴムだらけになったときには本当に腹が立ったんだよな」と言ったり「おまえの子どもの頃の好物は納豆と糠漬けだったろう」と言ってみたり、緩いことこの上ない。
 伊東孝明といえば、私の中では「伊東四朗との親子二人の旅番組出演者」であるので、これはこれで楽しい。
 楽しいが「これで10000円取るの?」と思っていたことも事実である。

 ストーリーの大筋は、新興会社のドル箱女優がプロデューサー業に専念することとして古参会社のスターを引き抜き、映画監督を連れてきて、が古参会社の社長が金庫にしまい込んである「五社協定」の協定書を盗もうとする。
 その金庫の鍵番号を知っているおじさんが実は100億という資産を持っていることが判って、彼を主演に映画を撮ることにする。
 それまで新興会社で働いていたスタート映画監督は仕事を取られてしまった腹いせに寝返り、協定書を盗み返す。
 さて、協定書を取り返した古参会社は、新興会社の映画撮影を中止させようとするが、という感じである。

 しかし、このストーリーを思い出すのが大変なくらい、脱線しまくりである。
 そして、休憩後の後半、ますます楽しくなってきて、笑う頻度も上がり、チケットの値段が気にならなくなってくる。
 その最大要因は、「コント赤信号復活」でもなく、巫女に扮した伊東四朗と地蔵役になったその息子役の小倉久寛でもなく、やたらと「かっこつけ」がハマっていた伊東孝明でもなく、東八郎がけなされる度に反応していた東貴博でもなく、あんなに滑舌が悪かったら落語はできないんじゃないかと思わせる春風亭昇太でもなく、近くで見るとかなり綺麗だった小林幸子でもなく、「中村メイク」という名前のメイク係に扮していた中村メイコでもない、と思う。

 最大要因は、2幕が映画の撮影シーンで始まったときに、巫女役に扮した伊東四朗を中心に見事に揃ったダンスを見せたダンサー達だったと思う。
 これが、また、見事なのである。
 思わず「よく揃えたなぁ」と呟いてしまったくらいだ。

 この「伊東四朗を囲んだダンス」のシーンとともに、このお芝居の白眉だったのは、もちろんラストシーンである。
 この舞台のラスト、「大婦人」という訳の判らない映画のクライマックスシーンとして、小林幸子が「もしかして」を歌う。
 青山劇場だし、「大」婦人なのだし、どう考えても小林幸子は衣装ではなく装置にハマっている筈なのに、何故だか小さい風車しか背負っていない。
 おかしい。

 そう思っていたら、やはりその「小さい風車」はダミーで、小林幸子はやけにデカい(というかデカ過ぎる)日本の農村風景の中で田植えをしていれば似合いそうな「婦人」の掌の上で歌っていたのだった。
 その「大」婦人の全貌が明らかになると同時に、同じ格好をしたダンサーが現れて、その日本の農村風景には明らかに似合わない、揃って見事なダンスを披露する。
 うわ。格好良すぎるでしょう。

 前に何かのインタビューで「小林さんから、今までの紅白の衣装はどれを使ってもらっても構わないと言われている」と伊東四朗がしゃべっていたのだけれど、これはどう見ても明らかにこのお芝居のために作った「衣装」である。
 案の定、カーテンコールで、伊東四朗が小林幸子に向かって「青山劇場で上演したのは、このセットのためです。これに一番お金がかかっています。よろしければ年末にお使いください」と言っていたのが可笑しかった。

 そして、伊東四朗一座恒例(だと思われる)アンケート紹介がカーテンコールで行われていたのもどことなく嬉しい。青山劇場でアンケートを読む!

 何だかんだ言いつつ2時間40分、伊東四朗健在! 喜劇健在! という感じで、たっぷりと楽しみ、大笑いさせてもらった。

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