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2009.05.14

「上野伊三郎+リチ コレクション展 ウィーンから京都へ、建築から工芸へ」に行く

 先週末、2009年4月11日から2009年5月31日まで、目黒区美術館で開催されている「上野伊三郎+リチ コレクション展 ウィーンから京都へ、建築から工芸へ」に行って来た。

 上野伊三郎は祖父の代まで宮大工で、本人もその修行を積んだのだけれど、早稲田大の建築学科に進み、さらに、卒業後はベルリンとウィーンに留学したという人物だそうだ。
 ウィーンで上野伊三郎が働いていた建築事務所のボスであるヨーゼフ・ホフマンがウィーン工芸学校で教授を務めており、同校を卒業後テキスタイルデザインなどを行っていたリチと上野伊三郎が出会って結婚し、結婚後は夫婦揃って京都に移り住んだということである。

 京都で夫妻は上野建築事務所でともに働き、インターナショナルデザイン研究所を立ち上げ、上野伊三郎の建築家としての側面とリチの工芸作家としての側面を活かした仕事を行った、その軌跡を追ったのが今回の展覧会である。

 もちろん、私はこの夫妻のことは今回の展覧会で初めて知った。

 これまであまり知られていなかったという上野伊三郎の建築家としての業績については、日本インターナショナル建築会を結成して園田意表となり、「インターナショナル建築」という雑誌を発行したり、京都市役所貴賓室、スター食堂・スターバーなどでは、上野伊三郎が設計し、ミチが内装を担当するなどの共同作業が行われていたようである。
 でも、この立体図を見ていると、何だかやけに手前の部分がひしゃげているように見えて、落ち着かなかった。

 そういうわけで、やはり上野リチの、テキスタイルデザインに目を惹かれた。
 プリント服地や壁紙としてデザインしているためか、その原画は、ほぼ必ず色違いが用意されていたのが楽しい。
 そうだよね、そうだよね、色違いのこの色遣いをどうするかを考えるのが楽しいんだよね、とそこだけ妙に共感してしまう。

 でも、そうしたプリント地の原画、巻物のように横に長い絵、七宝焼きやマッチ箱デザインなども展示されていた中では、やはり実際に「布」になっているものに心惹かれた。
 デザインだけを見ていると、可愛らしいというのか、イラストちっくというのか、ファンシーな女の子っぽい感じがする。その一方で色遣いはかなり大胆で、「うーん、これを壁紙にするんですか?」「この壁紙に囲まれていたら落ち着かないんじゃないですか?」と言いたくなる雰囲気である。

 目黒区役所の応接室や日生劇場の地下レストランのごく一部が複製・復元されている。
 この応接室の壁紙などは、デザイン画で見たら恐らくは「これが役所の応接室の壁紙ですか?」という色遣いと模様だと思う。ちょっと女の子らしすぎませんか、という感じなのである。
 でも、光る素材の布を使い、ピンク系だけれどほとんど地の色に沈むように描かれた植物文様の壁紙の貼られた壁がそこにあると、意外なくらい落ち着いて見えるのが不思議である。

 そして、日生劇場の地下レストランは、壁紙の一部が復元され、かつ、バーチャルリアリティの画像でレストランを一周することができるようになっている。
 その壁紙の地の色は、もともとは銀色(確か表面にアルミを貼ったと解説にあったような気がするのだけれど、違ったろうか)だったのだけれど、長年の褪色なのか着色なのか、取り壊し当時には金色に光っているように見えていたようである。
 これは計算なんだろうか。

 レストランの内装だから、デザインは大胆で、部屋中に大きな藤の花が咲き誇っているように見える。
 そのバックが金色に光っているのだから、かなり派手だ。
 でも、壁から天井にかけて曲線でつなぎ、壁面自体も波打つように造られているせいなのか、「ひとつの世界」を形作っているように見える。
 もっとも、この内装のレストランでは高級そう過ぎて、私には入れなかったとは思う。

 友人にチケットをいただいて出掛けていったのだけれど、全く知らない人の全く知らない業績に関する展覧会が意外なくらい楽しかった。
 それに、多いときには同じ展示室に10人以上の人がいたのが、(失礼ながら)意外だった。もしかして「カルト的な人気を持つ」人達だったんだろうか。
 いずれにしても、友人に多謝! である。
  
 目黒区美術館の公式Webサイトはこちら。

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