「ダイアログ クリスマスまっくらコンサート」を聞く
「ダイアログ クリスマスまっくらコンサート〜誰かの幸せを願う気持ち〜」
出演 ダイアログアテンド音楽家たち
隊長こと松村道生(パーカッション)/はーちゃんこと大石亜矢子(ビアノ+ソプラノ)
つなっちこと綱川泰典(フルート)/さとちゃんこと佐藤尋宣(CAJON)
長澤晴浩(ピアノ)
曲目 おもちゃのチャチャチャ
子守歌 作品15(ドップラー)
ブエノスアイレスの冬(ピアソラ)
チャールダーシュ(モンティ)
コンドルは飛んで行く
ベラノッテ(わんわん物語より)
MERRY CHRISTMAS TO YOU(辛島美登里)
どきどきっ(大石亜矢子)
ココア(大石亜矢子)
white Xmas
クリスマスソングメドレー
すてきなホリデー(竹内まりや)
きよしこのよる(アンコール)
公演日 2009年12月22日(火曜日)午後2時30分開演
場所 ダイアログTOKYO会場
料金 5000円
公演時間 1時間50分
本当の真っ暗闇の中で演奏されるコンサートに行って来た。
なかなか楽しい、得難い体験だった。
感想は以下に。
ダイアログ・イン・ザ・ダークが開催されている会場の、通常はロビーとして使われているスペースで、今日だけコンサートを開催するという特別バージョンである。
ダイアログ・イン・ザ・ダークのコンサートなので、もちろん、会場は真っ暗闇の中だ。
椅子もソファや木の椅子やスツールのようなものまで様々である。
定員50人ということだったけれど、平日の昼間だったせいか、客席はもう少し少なかったかも知れない。
演奏者も、普段はダイアログ・イン・ザ・ダークでアテンドをされている方がほとんどだった。
ロビーを真っ暗にするために暗幕で予め「目張り」されているせいなのか、暖房が少し強めに入っていたせいなのか、早めに到着してしばらく待っていた間、何だかちょっと息苦しい感じがした。
コンサートが始まって私は落ち着いたけれど、お客さんの中に少し外に出たいと申し出た方がいらっしゃったから、多分、私だけが感じていたわけではないと思う。
でも、その分、空間が濃密なのは確かである。
フルートの方が、フルートという楽器は見た目よりもずっとハードな楽器で、今日は息の辛いところまで判ってしまうのではないかと心配、と言って笑いを誘っていたけれど、フルートの息づかいはもちろんのこと、パーカッションの方の息の乱れまで判るくらいに近いし、空気が濃い。
いつもよりも空気にこもっている情報量が多い気がする。
そしてまた、演奏者と客席の距離が近い。
それは、物理的に距離が近いということはもちろんだけれど、客席にアテンドとしての演奏者をご存知の方が混ざっていて(それはもしかしたらスタッフの方だったかも知れないのだけれど)、声をかけたり手拍子を呼ぶ声に応えて真っ先に大きな拍手を響かせたりしていたのも大きな要因だったと思う。
心理的に演奏者と客席との距離が近かったのだ。
一歩間違うと、内輪受けっぽくというのか逆に距離を感じてしまう人も出てきてしまうかも知れないのだけれど、そこは空気の暖かさが見事に救っている感じである。
目を開けても真っ暗だと判っているのに、集中して聞こうとすると目をつぶってしまうのが我ながら謎である。
手拍子を打ったり、耳をすませたり、のんびりソファに寄りかかって聴いたり、暗くてもというべきなのか、暗いからというべきなのか、とにかく楽しい。
大石亜矢子さんのオリジナルの曲も爽やかで穏やかでよかったし、パーカッションのお二人の掛け合いというのか暴れている感じも楽しい。その分、大石さんがポップス系の歌い方をしているときのボーカルとパーカッションが同時に演奏されると、ちょっとボーカルが聞こづらくなってしまって残念だった。
それは、私の席がパーカッションに近い方だったからかも知れないのだけれど、ちゃんと歌詞も聴きたかったし、正直にいうと、ここだけでもマイクを使ってくれたらな、と思ったりもした。
一番楽しかったのはフルートのコーナーで、知っている曲が続いたこともあったけれど、ブエノスアイレスの冬(ピアソラ)、チャールダーシュ(モンティ)、コンドルは飛んで行くの3曲が楽しい。
特に、チャールダーシュは元々はバイオリンのための曲だそうで「フルートの限界に挑戦」とおっしゃって演奏が始まったのだけれど、超絶技巧という感じがして、そして楽しい演奏だった。
「最後の曲です」と言われたときには思わず「えー!」という声が上がってしまったくらいあっという間で、その曲が終わったら即アンコールを求める拍手が鳴り響いたのは、やっぱりこのコンサートが、ダイアログ・イン・ザ・ダークというイベントに一部として楽しいのはもちろんのこと、コンサートとしてとても楽しかったからだと思う。
アンコールでは「きよしこのよる」を全員で斉唱ということになった。
暗いと、「知らない人と歌う」というのも普通にできてしまうのが不思議である。
コンサート終了後、ろうそくを一つともすところから初めて(最初は、ろうそくの灯りひとつだけでも眩しい)、ゆっくりと照明を戻してゆく。
ろうそくが2つ(3つだったかも)灯ったところで、演奏者の方々が再登場してくれたときにはちょっとほっとした。
やっぱり視覚に頼っているということだと思うのだけれど、演奏者の方が見えないというのはちょっとだけ不安なものである。
いいクリスマス・コンサートだった。
例えば春に「桜」をテーマにしたコンサート、夏に「海」をテーマにしたコンサート、秋に「月」をテーマにしたコンサートなど、季節ごとくらいに開催されるといいなと思った。
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